知るコト知るコト

ケノコト独自の視点から、様々な人や場所、物を取材して、WEBをはじめとする色々な場所で公開します。

調理法 2017.04.26

『信州の発酵食』からみえる丁寧な暮らし方のヒント

Pocket

食べることは生きること。生きることは食べること。
毎日の暮らしをより豊かに、彩りあるものにしてくれるひとつが「食」。
自然と向き合う暮らしの中で、わたしたちは古くから知恵を巡らせ、その恩恵を食卓の中へ取り入れてきました。
春夏秋冬とめぐる四季折々の味を、一年を通じていつまでも味わっていたい。例えばそんな思いは、「発酵」という過程を通じた保存食を作りだし、わたしたちの日々の食卓にそっと寄り添っています。

なかでも長野県のご当地本である『信州の発酵食』(しなのき書房発行)には、彼らの身近にある発酵食との生活や知恵・食文化がありのままに綴られています。
信州が自然と育んできた丁寧な暮らし方から、生活のヒントを見つけてみませんか。
『信州の発酵食』からみえる丁寧な暮らし方のヒント食卓

『信州の発酵食』から感じられるめくるめく季節の手しごと

はじめに語られるのは、移り変わる季節とともに感じられる四季の手しごと。信州の暮らしは四季の移ろいと共にせわしなく過ぎていくのです。
桜のつぼみがうっすらと見えはじめるころ、農家はせっせと味噌を仕込み、梅雨の時期となれば店先には漬物瓶が高く積み上げられる。緑茂るころ、夏野菜たちが食卓に顔を連ね、晩秋のころ、来たる冬に備え甘味をつけた菜っ葉たちは漬物桶で出番待ち。
この本から垣間見えるのは、今日は味噌漬け、明日は粕漬けと、手を変え「味」を変え漬物桶と向き合う姿。そして一年の恵みと向き合える、喜びに満ちた彼らの笑顔。
「今年は菜っ葉の味が濃いね。」
「随分と冷え込んだからね。」
そんな会話を交わしながら、漬物桶に手を入れる夫婦の姿が浮かんできます。
『信州の発酵食』からみえる丁寧な暮らし方のヒント発酵食を仕込んでいる

「発酵食」との暮らし方―『信州の発酵食』

長野県民は発酵という方法をうまく食生活にとりいれ、「発酵食」文化を構築してきた、と『信州の発酵食』は語っています。

信州味噌―『信州の発酵食』

発酵食の代表といえば、味噌。
長野県の味噌は3年熟成させた長期熟成のものが主流のようで、全国的にも信州味噌の美味しさは知られていますね。
味噌蔵それぞれが、代々一生懸命味噌を作ってきたからこそ、信州の暮らしにはさまざまな味噌料理が根付いています。
『信州の発酵食』に紹介されている味噌をつかったレシピからは、毎日の味噌づかいのヒントが描かれています。まるで田舎のおばあちゃんがこっそり教えてくれた秘密のレシピのよう。
『信州の発酵食』からみえる丁寧な暮らし方のヒント。味噌汁

信州の地酒―『信州の発酵食』

それから酒。
酒づくりに大切なのは寒い気候と米と水です。3つの条件がうまく重なることに加え、昔から酒づくりを続けてきたことがおいしい酒を生み出しているのだとか。なぜなら古い蔵にはその蔵独自の酵母が棲みついており、いわゆるその「家つき酵母」が良い発酵しごとを担っているからなのだそうです。

信州の漬物―『信州の発酵食』

そして信州の発酵食といえば、やはり漬物。
ふきの糠漬け、大根の麹漬けなど、その種類は挙げればきりがないほど。ページをめくるたびに出会う新しい漬物たちに、どんな味なのだろうか、どう食してみようか、今年は自分で漬けてみようかと、まるで頭の中は漬物に思いを馳せる旅に連れて行かれたよう。
地菜といって、地域ごとに異なる菜っ葉を漬けた漬物があるようで、次の旅行は「地菜を巡る旅」にしてみるのも、その地域の暮らしが見える気がして楽しそうではないですか?
『信州の発酵食』からみえる丁寧な暮らし方のヒント麹

『信州の発酵食』からみえる丁寧な暮らし方のヒント。野沢菜

信州の自然と共に歩む丁寧な暮らし―『信州の発酵食』

信州が長い時間をかけて構築してきた食文化である「発酵食」。
その時期にだけ採れる食材を、その時期にできる方法で保存し、時間をかけて食す。自然と共に歩むその丁寧な暮らし方こそが、本当の豊かさと言えるのかもしれません。
信州の暮らし方をありのままに教えてくれる『信州の発酵食』は、
「お疲れ様。これ食べてちょっと休みなさいよ。」
と優しく語りかけてくれるおばあちゃんのよう。
そんな飾らない優しさと愛情が、まるで漬物のように体の奥深くまでホッと染み渡るのです。
『信州の発酵食』からみえる丁寧な暮らし方のヒントご飯に野沢菜をのせている

『信州の発酵食』からみえる丁寧な暮らし方のヒント。本
『信州の発酵食』
発行:しなのき書房
著:小泉武夫/横山タカ子

 

記事/たびのたね
12903461_898326880278329_554774143_o
「たびのたね」は、旅行ガイドや観光地を特集した雑誌、日本全国各地の出版社が発行する「ご当地本」を購入できる電子書籍ストアです。
「記事を部分的に欲しい」というニーズにもお応えできるよう、エリアや特集単位でお得に購入できる「抜粋版」電子書籍もラインナップしています。
ホームページ

その他のおすすめ記事

『続・名古屋の喫茶店』からみえる名古屋人の喫茶愛と足し算文化

『続・名古屋の喫茶店』からみえる名古屋人の喫茶愛と足し算文化

『下仁田ねぎの本』からみえる歴史と地域に根づく食材の力

『下仁田ねぎの本』からみえる歴史と地域に根づく食材の力

『家庭でつくる 沖縄の漬物とおやつ』から感じるおばぁのぬくもりと島の飾らない家庭の味

『家庭でつくる 沖縄の漬物とおやつ』から感じるおばぁのぬくもりと島の飾らない家庭の味

Pocket

コメント

コメント欄


次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

instagram-iconみんなのInstagram

人気の記事

2017.10.13

おしゃれなワイヤレススピーカー『ソニー グラスサウンドスピーカー』担当者に聞く、こだわりと想い

2017.10.11

焼き菓子にも大活躍!『季節の味覚 ドイツの生プルーン Zwetschgenのコト』

2017.10.03

圧力鍋でも炊飯器でもふっくら『美味しい玄米ご飯の炊き方』

2017.10.02

ほっこり優しい味『バターナッツかぼちゃのスープ』

2017.09.30

色を暮らしに活用しよう『都会的であり粋なカラー”銀色”がもつ秘密ゴト』

2017.09.28

~保存食のある暮らし~鮮やかな色出しのコツ『秋みょうがと新生姜の甘酢漬け』

2017.09.26

米麹の発酵が生み出す身体に嬉しい効果『知って得する甘酒の成分と保存方法』

2017.09.24

材料ふたつで!『料亭の味?かぼちゃの塩昆布煮』

2017.09.19

編集部おすすめ『週に1度の作り置きレシピ「なす」の常備菜』

2017.09.17

作り置き常備菜シリーズ『お弁当に!しいたけの旨煮』

編集部おすすめ記事

2017.10.17

冷凍パイシートで簡単、お洒落なお店の味!『秋鮭とマッシュポテトのキッシュ』

2017.10.08

思わずにっこり!『プチプチ玄米の栗あんおはぎ』

2017.10.04

地域に根ざす新しい空間『築90年以上の空き家から生まれるシェアオフィスへの想い』

2017.10.03

酸味+辛味で身体の芯からぽっかぽか!舞茸香る『秋の酸辣チゲ鍋』

2017.10.01

【ケノコトInstagram企画】10月の「日常のコト」を『#神無月のコト』で投稿しよう

2017.10.01

都心から約1時間半のドライブ!『きのこ狩りを楽しみに青梅へ行こう』

2017.09.27

ズボラでも使い方を覚えたい!『発酵食品 酒かすマスターになる』

2017.09.26

米麹の発酵が生み出す身体に嬉しい効果『知って得する甘酒の成分と保存方法』

2017.09.24

作り置き調味料シリーズ『ハーブガーリックオイル』

2017.09.21

地域密着型不動産会社 エヌアセット代表 宮川氏が語る『エヌアセットのこれまでとこれから』

月間人気記事

2017.07.16

こんな症状は危険かも『スマホのウイルス感染症状7つをチェック』

2017.09.19

編集部おすすめ『週に1度の作り置きレシピ「なす」の常備菜』

2017.03.31

脇の下を押すと痛くない?『脇コリの解消は 肩こり解消にもつながる』

2016.08.11

知らなかった!こんなにも多い『ウリ科の野菜の種類とあれこれ』

2015.08.07

部屋を彩る"緑"をおいた暮らし方『都内のおすすめ観葉植物店』をご紹介

2017.03.07

頭が重いすっきりしないときに試してほしい『簡単ほぐしマッサージ』

2017.04.25

組み合わせおかずシリーズ【きゅうり×ハム】作り置き常備菜『きゅうりとハムの中華サラダ』

2016.12.29

編集部おすすめ『週に1度の作り置きレシピ「トマト」の常備菜その1』

2016.08.20

この夏のBBQの定番間違いなし!『仕込みスペアリブで絶品BBQごちそう』

2017.05.18

缶詰を入れて炊くだけ『旨みたっぷりさばの味噌煮の炊き込みご飯』