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ケノコト独自の視点から、様々な人や場所、物を取材して、WEBをはじめとする色々な場所で公開します。

取材 2016.10.15

100人100色ー仕事は「真剣勝負の遊び」。靴業界とIT企業で15年半経験を積み起業したシューフィッターー松本久美さんのお話し

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それぞれの立場、個々の考え方によって「働く」ことへのスタンスは異なります。正解なんてありません。
「100人100色」では、100人の「働く女性」に登場いただき、等身大の姿を語っていただきます。
年齢、環境、キャリア全ての背景が異なる人たちの100とおりの『想いや生き方』の中に、きっとあなた自身にとってのヒントが見えてくるはずです。

今回は、昨年6月に会社を立ち上げた松本久美さん(38)をご紹介します。
靴業界で13年かけてほぼすべての職種を経験し、IT企業へ転職して2年半勤務。良い靴を作るため、そして起業という目標のために経験を重ねてきた女性です。今までのキャリアについてや、仕事への情熱、そして現在の仕事の根底にある、女性の美しさや生き方への熱い思いを伺いました。

 

―これまでのキャリアや現在の仕事内容を教えてください。

高校卒業後はファッション系専門学校で洋服の勉強をしていました。でも在学中に服よりも靴の収集に夢中になり、進路も靴のメーカーに。
その後13年間で、靴の業界を9社経験。
職種もデザイナー、型紙、縫製、生産管理、営業、販売、コンサルティングと、ほぼ全職種を経験しました。
こんなにも職種を変えた理由は、「作りを知らないと良いデザインができない」、「よいデザインがないと職人の腕が活かせない」、「もっと良い靴を作るには?」という事を探求した結果です。
その後、起業を考えていたのですが、靴の業界しか知らない事に不安になり転職。幸運にも、通信系IT企業の新規事業部にて、営業職を2年半経験することができました。
ITと自分の強みを活かして、何ができるかという事を考え「バーチャルシューフィッター シンデレラシューズ」を立ち上げ、2015年6月に株式会社シンデレラという会社を作り、代表取締役となりました。

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▶おしゃれな靴につきまとう”痛み”から、女性を解放するシンデレラシューズ

現在はインターネットで買える数十万種類の靴から、自分の足の形にぴったりの靴を選べるアプリ「シンデレラシューズ」開発の傍ら、シューフィッターとして講座を開いたり、日々現場でお客様の足の計測を行い、痛くて履けない靴を調整して痛みを軽減する施術サービスを提供したりしています。

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▶施術中はこんな感じ

 

―これまでで一番忘れられない仕事のエピソードをお聞かせください。

「シンデレラシューズ」の立ち上げの際、資金調達をクラウドファンディングで行い、その目標金額を達成したことです。

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▶足の画像を送るだけでぴったりの靴に出会える、バーチャルシューフィッティングサービスの誕生を目指したクラウドファンディング

これは自分の看板で大きなお金を調達した初めての出来事だったので、達成感もひとしおでした。
途中で達成できないんじゃないかと、弱気が顔を出すことも何度もありましたが、本当にいろんな人に助けられ、応援され、達成することが出来ました。

 

―これまでにぶつかった壁はありますか?

自分で事業をスタートさせたばかりの頃、リーダーとしての資質が足りなくて大切な人たちの信頼関係を失ったことがあります。
その後、「乗り越えた」ことになるのか解らないですが、自身の「変化」として見栄を張らなくなりました。
最初は自分の思う「リーダー像」みたいな物がありました。
どんな事があっても取り乱さず冷静で、チームを引っ張って、メンバーに信頼されていて…。
今思えば、その理想の人物になりきろうと演じていたように思います。
本来の私ではなかったんです。

結局私は私で、他人にはなれず、不得意なこともたくさんあります。
もっと理想に近づくために今まで以上の努力をするという道もありましたが、苦しくて。せっかく大好きで立ち上げた仕事が、好きでいられなくなりそうに感じたんです。
それでは本末転倒だし、最近は開き直るようにしたんです。
私は器用な人間ではないので、色々全部はできないよ、と。
まだこれからどうなるかは解らないですが、とりあえずそんな私にでも付いてきてくれる人はいるんだという事を学びました。

 

―あなたにとって「働く」こととはなんですか?

とても楽しい、真剣勝負の遊び。
平日・休日はほとんど関係なく、予定があれば出かけ、なければ自宅作業という生活です。
基本的に好きなことが仕事になっているので、休日らしい休日がなくても特にストレスは感じず、常に何かしら仕事に関することをやっています。

 

―働いている時の貴方を「色」に喩えると?

赤。

仕事のここぞ!と云う時、内面的にかなり強い自分が出てきます。
ライバルなどが出てきても、基本的に負ける気がしません。
特に根拠がないところが笑えるんですが、本当に負ける気がしないんです。

もちろん不安になることも沢山あるのですが、根底には謎の自信があふれているので、強い「赤」というイメージです。

 

―これからチャレンジしたいこと、チャレンジしたいけれどできないことはありますか?

やりたい事はまだまだ、本当に沢山あるんです。
今はまずシンデレラシューズというサービスをビジネスとして確立することが最優先なので手がつけられていませんが、まったく別ジャンルの食関連のことにも興味があって。食が影響を及ぼす身体と精神の関係性に興味があるので、今は摂るものと変化する自分の身体や精神と向き合う事を通して勉強中です。

あとは女性の働き方を変えていくことにも興味があります。
男性社会での男性の働き方を女性が同じようにやることには無理があるので、女性らしく、女性であることが生かされた働き方を考えていきたいですね。

こういったことを生きているうちにどこまでできるかなぁと思うとワクワクしてきます。
もっと幅広く女性の応援ができるようになっていけたらと思っています。
今は「靴」ですが、将来的にはファッション全般に広げたり、会社での社員の雇用制度を女性のライフスタイルにフィットさせたりとか。
女性って現代社会で生きにくいとよく言われていますが、女性ならではの喜びだって、たくさんあると思います。
男性が得意なところを無理して頑張るんじゃなく、その人らしい個性を生かして、伸びのびと自然体に生きて行くことができれば、女性だけでなく男性も幸せになれると思っていて。
そして、人間って自然体の時が一番美しいと思うので、そんな美しい女性たちを増やしたいんです。

 

―今後、あなたがありたい姿と、そのために行っていることがあれば教えてください。

柔らかいメンタルを持つことを一つ目標にしています。
柔らかいメンタルというのは、「柔らかくてどんな物も飲み込んで吸収しちゃう」みたいなイメージです。
その為に私が20年間続けている事は、「一人会議」です。

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▶一人会議は自分の奥底にある“今”の声を聞く時間

週に一回は、カフェなどに篭り、今の自分の奥底の声を聞く時間を設けています。
でもこれは努力というよりは、自分の状態を保つ為に必要不可欠で、そして気分の良い時間なので、自ら喜んでやっています。

 

―あなたなりの息抜きやストレス発散の方法を教えてください。

夫との食事です。
ふたりとも食べる事が大好きで好みも似ているので、ふたりの予定が空いた日は特に記念日でなくても自宅で少し手をかけた料理を作って、いいお酒と、好きな器で楽しんでいます。

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▶家での料理がうまくできると幸せ

外食も日頃から行きたいお店リストを作り、毎月順番に訪れています。
また家にテレビを置かない生活をしているので、夫婦間の会話がとても多いと思います。
食事をしながらの会話、これが一番のストレス発散です。

 

―自分の人生で一番大切にしていることはなんですか?

「こうでなければならない」や「正解・不正解」ではなく、「好き嫌い」で生き方を選ぶこと。
これが人生の終わるときにも続けられていたら幸せだなぁと思います。
今の所、そんな感じで生きてきています。

だからと言って「好きなことならお金はいらない」みたいな思考ではなく、自分の好きな事を実現化する為にお金が必要だから、大いに稼ぎたいと思っています。
稼いだ分はドーンと使って、さらに大きなお金を掴みにいきたいですね。
でもお金だけが欲しいわけじゃなく、そのお金で得られる「自由」が欲しいんですね。
その自由で、好きな人と好きな仕事がしたいです。

————————————

ライバルに負けない自信を「根拠のない謎の自信」と語る松本さんですが、良い靴づくりのために積み重ねてきたキャリアや、自分の不得意なことを受け入れる強さなど、自信にはしっかりと根拠があるように感じられました。
自然体で美しい女性を増やしたいと願い、仕事や成長を楽しんでいる姿から感じられたのは、まさしく「赤」い情熱でした。

取材・記事/
いろんな女性の働く・暮らすを知ること 『100人100色』は、SAISON CHIENOWAとケノコトの共同記事です。

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