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新しいコト 2016.11.25

ブラジルの暮らしから『みんなの果実、街路樹になるマンゴーのこと』

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日本の裏側、ブラジルから届けられるブラジルの暮らし方。
そこに住む人々の飾らない普段の暮らしを切り取って、少しだけみなさんにお届けします。その暮らしからは、国は違えど、言葉は違えど、人という共通の優しさや暮らしの知恵が垣間見れたのでした。

マンゴーで彩られる街並み

ブラジルに来て驚いたのですが、こちらでは街路樹に、食べられる果実をならすものがたくさん植えられています。アボカドやブラックベリー、アセロラやジャックフルーツなど。それぞれ季節ごとに実をつけています。

ブラジリアはまさに今、マンゴーの季節。街中のいたるところにマンゴーの樹が植えられており、その数は約10万本。それらが、たわわに実をつけた様子は圧巻です。10月の始めには葉の色と同じように青かった実が、11月半ばの今では赤や黄色に色づき、見上げては食欲をそそられています。
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実は完熟すると自然に樹から落ちるので、「道を歩いていたら、頭上からマンゴーが落ちて来た」という状況も、ウソのような本当の話だったりするのです。
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個人宅のものでなければ、誰でも自由に採っていて、私も早速、マンゴーの樹の下を探して歩きました。草むらのかげに実を発見した瞬間は、なんだかまるで、子どもの頃に遊んだ“宝さがしゲーム”のよう。
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自然から得られる贅沢

自分で集めたマンゴーは、それぞれ味や香りに個性があります。まれに、樹上で完熟し自然に落下したものがあり、熟れすぎて腐る一歩手前のそれは、信じられないほど濃厚な甘い香りがします。果肉そのものがジャムのようにトロリと柔らかく、つやつや。調理せず、そのまま頂くのが一番の贅沢。
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青く固いものはしばらく置いて追熟させます。指で押して柔らかくなれば、見た目は青くても食べられます。皮をむくと果肉は黄色く熟れて、そしてなんと!香りはまるでレモンのようにスッキリ爽やか。 “濃厚さ”とはまた違う、マンゴーの魅力を知ったのです。

実はこの時期、お店ではマンゴーは旬のため通常よりも安く買えます。街路樹のものに比べサイズは大きく、その分可食部も多いので、私自身もデザートを作る等まとまった量が欲しい時にはスーパーで購入します。みんながみんな、街中でマンゴーを採っている訳ではありませんよ。
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▲義母に教わったおやつ。よく冷やしたマンゴーに、練乳とカラメリゼしたナッツをのせたもの。

それでも、自分で採るマンゴーには別の良さがあると思っています。マンゴーをきっかけに、この街の人々の優しさに出会えたのですから。

マンゴーから繋がる人の温かみ

とある週末、ご近所の歩道で、マンゴーを採っているおじさんに出会いました。棒をつなげて長くした先に、小ぶりのカゴを取り付けたお手製の“マンゴー摘み棒”なるものを使い、高い枝になった実を収穫中。ショッピングバッグ一杯に収穫していました。「大量のマンゴーを食べるために、何か調理方法でもあるのだろうか?」と思い、食べ方を聞いてみました。
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「全部、そのまま食べるんだよ!」と豪快に笑う姿に、「ブラジルならではの食べ方があるかもしれない」と期待していた私は少し拍子抜け!そんな私をよそに、「ほら、持っていきなさい!」と、採ったばかりのマンゴーを気前良く分けてくれました。恐縮する私をそのままに、おじさんはサッ!と、別の樹へ向かっていかれました。
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別の場所では、カップルに遭遇。こちらもお手製の“マンゴー摘み棒”を使い、2人で協力している様子が何ともキュートです。食べ方を聞くと、熟した果肉をサイコロ状に切って凍らせておき、水を加えてミキサーでジュースにして頂くのだそうです。「ほかには、サラダにしてもおいしいよ。」とのこと。そしてこの2人もまた、「沢山採ったからあげるよ、持っていきなよ。」と、その時初めて会った私にマンゴーを惜しみなくくれたのでした。
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「街のなかの果実は、みんなの果実。」そんな考えが根底にあるようです。「樹になった果実をもいで、周りの人と分け合う。」よくよく考えれば生きて行くうえで、至極当たり前の行為。とてもシンプルなだけに、今の時代、決して身近ではなくなっていると思います。それがこの街では、日常の一部として成り立っていて、それを嬉しく思いながら過ごしています。
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記事/ペルフェイトあき子
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広島県生まれ。フリーランスで「食と人をつなぐ」サポート業に携わる。早稲田大学卒業後、商社および海外進出支援団体に所属するかたわら、国内外の農場をめぐり、働き方・生き方に対する視野を拡げる。退職後、2016年9月よりブラジル在住。現在、ブラジリア大学にてポルトガル語を習得中。
ブログ:SLEEPY CITY BUGS

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