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取材 2017.02.15

100人100色―女性として企業人として仙台を元気に。葛藤した経験も社員のために活かしたい―今野彩子さんのお話し

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それぞれの立場、個々の考え方によって「働く」ことへのスタンスは異なります。正解なんてありません。
「100人100色」では、100人の「働く女性」に登場いただき、等身大の姿を語っていただきます。
年齢、環境、キャリア全ての背景が異なる人たちの100とおりの『想いや生き方』の中に、きっとあなた自身にとってのヒントが見えてくるはずです。

今回は、宮城県仙台市にお住まいの今野彩子さん(39)をご紹介します。
生まれ育った町で男の子2人を育てながら、祖父が創業した会社の取締役を務めているという女性です。子育てと仕事の両立で葛藤したこともあるという彼女に、家族のことや仕事のこと、そして「東北一、働き方を誇れる成長企業でありたい」と情熱を注ぐ会社のことを語っていただきました。

-これまでのキャリアと現在の仕事内容を教えてください。

東京の大学を卒業後、新卒で金融系の会社に入社しました。在職したのはたった2年間でしたが、とても素敵な上司、先輩に恵まれ、この職場で教わったことは今の私の仕事観の原点です。

社会人3年目に父が経営する株式会社ユーメディアに入社し、営業を数年経験し、10年ほど前から経営に携わっています。
ユーメディアは、広告・印刷・プロモーション支援がメイン事業で、お客様のコミュニケーションをあらゆるメディアを活用してトータルでお手伝いすることが主な仕事です。
当社グループでは、創刊から40周年を迎えた地域情報誌「せんだいタウン情報S-style」やコミュニティFM放送「ラジオ3」、Webメディア「せんだいタウン情報machico」をはじめ様々な自社メディアを出版・放送・運営しています。
また、当社主催の「仙台オクトーバーフェスト」や「伊達美味マーケット」、「バル仙台」などのイベントで仙台・宮城の元気を生み出していくことも事業の大きな柱になりつつあります。

写真1
▶︎毎年9月に開催している仙台オクトーバーフェスト。10日間で約10万人が来場するイベントに成長した

2年前から夫が社長を務めていて、私は経営企画本部の担当として経営全般にかかわっていますが、現在は特に人材育成や採用、社内外のコミュニケーションや広報関連に力を入れています。

-現在の家族構成、生活環境を教えてください。

生まれも育ちも現在住んでいる宮城県仙台市です。大学入学で東京に出て、卒業後そのまま東京で就職し、2年後に地元仙台に戻って以来、約15年間仙台で暮らしています。

家族は夫・長男(小3)・次男(2歳)の4人家族です。自分が3姉妹なので、男ばかりの家族になるとは想像できなかったのですが、ボーイズのにぎやかな育児を楽しんでいます。

写真2
▶︎男所帯の今野家

保育園の送り迎えは基本私がやっています。夜に会議や外部で仕事があるときには、夫が子どもをみるか、母に預かりを頼んでいます。

-あなたにとって「働くこと」とはどういうことですか?

仕事は自分の人生とほぼイコールだと感じています。

ユーメディアは祖父が印刷会社として創業し、父が“コミュニケーション支援企業”として社名変更して事業を拡大した会社です。
小さいころから、「会社を経営すること、地域で商売をやること」の意味や面白さをずっと聞いて育ったので、受け継がれてきたものを大切にしながら、どんどん新しいことを加えていきたいと思っています。
私が仕事をする姿や、日々の仕事での出来事を、子どもが彼らなりの視点で受け取ってくれているのも面白いと感じていて、仕事とプライベートが重なる今の毎日から、子どもたちに伝わるものがあったら嬉しいなと思っています。

前職は、社員数3,000人くらいの会社で職場は銀座にあったのですが、15年前仙台に戻って仕事をし始めた時は、働く企業の規模も、生活環境も180度変わってしまったこともあり、本当に毎日が嫌で東京に戻りたいとばかり考えていました。
今の会社では、最初は営業の仕事をしていたのですが、あるときコンペで受注できた仕事に一生懸命取り組んだ結果、お客様がその成果をとても喜んでくださって、「次も御社と仕事がしたい!」、といって次の仕事の相談を受けることができました。
そのことをきっかけに、中小企業だからこその、若くても任せられる仕事の裁量権の大きさに気が付いたり、地元企業のお客様と一緒に成果を追求しながら次につなげることができる、当社の仕事の面白さを感じることができるようになりました。

また、東日本大震災の経験は、自分の仕事や会社の根本を深く考えさせられる経験でした。震災直後の数日間は、すべての仕事が止まりました。身近でたくさんの命が失われ、家や家族を失った人たちがいるなかで、「私たちの広告や印刷やイベントの仕事ってなんだったんだろう」とも考えました。
数週間たち数か月経つと、伝えたい、届けたい、元気を感じたい、というニーズが様々な形で出てきました。悩みながら開催した2011年の「仙台オクトーバーフェスト」には過去最多のお客様に来ていただき、「開催してくれてありがとう」と言われたり。震災は自分たちの仕事の使命を確認し、何があってもその使命をやり抜くという覚悟をもつことができた経験でした。

-これからチャレンジしたいことはありますか?

様々な角度からユーメディアグループのブランドを高めていくことが自分のミッションです。

具体的な目標がいくつかありますが、そのうちの一つが「東北一、働き方を誇れる成長企業でありたい」というものです。
一昨年「新しい働き方委員会」というものをスタートしました。働き甲斐を高められる新しい働き方をみんなでつくっていこう、というもので「イクメン部会」「BLENDA部会」という二つの部会を立ち上げました。
これまでの取り組みには、労働局から表彰いただいたり、くるみんマークの認定をいただいたりしてきましたが、これからは意欲的な部会メンバーと一緒にもっと生産性にこだわって取り組み、働き方を誇れる会社として成長していきたいです。

労働局くるみん認定プレスリリース
▶︎労働局でのくるみんマークの認定式

それが多様な人材を活かすことにつながると信じていますし、また、当社のささやかな取り組みが、仙台・宮城の企業の取り組みのきっかけになり、働く時間に制約のある人でも成長を感じられる働き甲斐のある職場がこの地域に増えるといいなと願っています。

―働いている時の貴方を「色」に喩えると?

「白でありたい」と思っています。

多彩な才能が活きる職場をつくりたいという思いがいつもあり、「様々な能力、個性をそのまま受け止められる姿勢でいたい」という意味で。
実際は、まだまだその域まで行きつかないのですが。

-これまでにぶつかった壁はありますか?そしてどう乗り越えましたか?

9年前の長男の出産から2歳までの間が、子どもと仕事との間でものすごく葛藤したこともあり、仕事上の停滞期でした。

「この毎日は誰のためにもなっていないどころか、関わるみんなの迷惑でしかない」という思考から抜け出せませんでした。
長男は月に何度も風邪をひき、保育園に行けない、行っても呼び出される、夜は何度も起きるという状況で、会社のメンバーや関係する方々、家族を振り回し、病気の子どもを置いて仕事に出なければならない状況に自分も疲れてしまいました。
一言の文句も言わず、ひたすらフォローし続けてくれた当時の上司やメンバーには、本当に感謝しています。

幸いにしてまわりには子育てを経験した素敵な女性経営者の先輩がたくさんいましたし、一緒に状況を切り開いてくれた職場の女性の先輩がいました。そのおかげで「同じような思いをする社員がいたときに、この経験を活かすのだ」という気持ちで、苦しい時期を乗り切りました。

喉元すぎればで、なぜあそこまで思い詰めていたのかと、今となっては思います。幸い次男は0歳児から保育園に行っていますが、あまり病気をしないので拍子抜けしています。

-日課、習慣にしていることはありますか?

寝る前に子どもと筋トレをすること。長男は小1のときに腹筋が一回もできなかったのですが、毎日練習して今では100回できるように。その姿を見て、私も日々何かを積み重ねたいと感じました。

いまでは3人で筋トレをしています。2歳の次男も真似してやるのですが、背筋も腕立ても、全然筋トレにはなっていません。でも、一生懸命真似ていて…。本当にかわいらしくて「この姿をとっておきたい」と思ってしまいます。

-あなたなりの息抜きやストレス発散の方法を教えてください

実は家で料理に没頭する時間が最高に好きです。
平日は、朝に下準備したものを「いかに段取り良く、効率よく用意できるか」という勝負みたいな夕食づくりですが、休日は夫が子どもたちと遊びに出てくれることも多く、時間がかかる料理もがっつり作れます。

飲みながら作っていると、出来上がってみんなで食卓につくころには、自分は二次会くらいの気分のときもあります。

-幸せだと思う時間や瞬間はどんなときですか?

毎年、年末の3日間に家族でスキーに行くことです。

写真4
▶︎大好きな東北の山。小さいころから年末は雪山で過ごすのが定番

雪山で過ごす年末は、子どもの頃から大好きです。みんなで滑ったり、一緒にのんびり過ごす時間に加えて、日常を離れた場所で、夜にしーんとした雪の中を歩いたり、部屋の窓からナイターの明かりを見たりすると、一年間のすべてがきれいに自分の中で消化できるような感じがします。

-今後、あなたがありたい姿を教えてください

子どもたちが少しずつ大きくなっていくので、時間をつくってもっと勉強したいです。
いろいろな場で当社について話をしたり書いたりする機会が増えましたが、長男の出産以降、インプットの時間が圧倒的に減ってしまいました。
次男出産後は新聞を毎日読むので精一杯で、カラカラになっている感覚になることもあってダメだなあと思うこともあります。
経営についてももっと学びたいですし、実践と学びのバランスを大事にして良い仕事をしていきたいな、と感じています。

-自分の人生で一番大切にしていることはなんですか?

ビジョンを描くこと。
現実がどんなに難しい状況でも、こうありたいという姿をいつも忘れないこと。

経営に携わる者としても、部門を統括する立場としても、親としても、できていないことや未熟さを感じることが多くあるのですが、理想を描き、それに一歩ずつでも近づいていける毎日を送りたいと思っています。

————————————
仕事と人生がイコールだと語ってくれた今野さん。会社への熱い思いや家族への大きな愛が生んだ葛藤を「社員のために活かす」と気持ちを切り替えたというエピソードから、会社や社員たちへの責任感を感じられました。きっと子どもたちは、経営者、そして母として奮闘するお母さんの大きな背中を見て、たくましく育っていくことでしょう。

 
取材・記事/
いろんな女性の働く・暮らすを知ること 『100人100色』は、SAISON CHIENOWAとケノコトの共同記事です。

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