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取材 2017.05.17

100人100色―皆が「面白い!」と思うような体験と、クリエイティブな環境づくりをめざす会社員ー森原まやさんのお話し

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それぞれの立場、個々の考え方によって「働く」ことへのスタンスは異なります。正解なんてありません。
「100人100色」では、100人の「働く女性」に登場いただき、等身大の姿を語っていただきます。
年齢、環境、キャリア全ての背景が異なる人たちの100とおりの『想いや生き方』の中に、きっとあなた自身にとってのヒントが見えてくるはずです。

今回ご紹介するのは、神奈川県在住の森原まやさん(31)です。童話作家の祖母とイラストレーターの母というクリエイティブな環境で育った森原さん。現在はソニーでプロデューサーとして、「Life Space UX」のブランディングや新商品の開発に関わっています。ものづくりに求められるユニークで自由な発想は、どこから生み出されるのでしょうか。森原さんのこれまでの人生と仕事への思い、創造力を生み出すライフスタイルについて、お話しを伺いました。

——森原さんのこれまでのキャリアについて教えてください。

童話作家の祖母とイラストレーターの母の影響で、小さい頃から、何かを作ることが好きでした。大学では建築やメディアデザインを学び、作品づくりをしていたのですが、墨田区や荒川区の町工場に通ってプロダクト開発をしていくうちに、世界を舞台にしている日本のものづくりに関わりたいと考えるようになり、ソニー株式会社に新卒で就職しました。
入社してすぐは、映画やCM撮影用のカメラ等のプロ用機器をプロダクションに販売する法人営業を経験。その後はパソコンのマーケティングコミュニケーションのチームで、グローバルキャンペーンのプロデュースやクリエイティブの制作をしていました。次第に「新しいことをしてみたい」という気持ちが強くなり、新規事業の部署に異動。今はコンスーマーエクスペリエンスプロデューサーという肩書きで、“空間を変えることで、暮らしに新しい体験をつくりだす”というコンセプト「Life Space UX」のブランディングや、ユーザーや社外クリエイターとの共創活動による新商品開発や体験の場づくりを担当しています。

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▶銀座・ソニービルで開いた「市中の山居」をコンセプトとした展示会。レセプションパーティでコンセプトを紹介する。
 

−−これまで働き方に影響を受けたエピソードをお聞かせください

2015年に、経済産業省主催の「始動 Next Innovator」という国家プロジェクトが始まり、一期生に選抜されて参加しました。日本の次世代のイノベーションを担う若手起業家や、大企業で新規事業に携わる人たちが対象の人材育成プログラムで、スローガンは『Thinker(考える人)からDoer(行動する人)へ』。

仕事と並行しながら3か月の間、週末もがっつり使いながら新規ビジネスの事業計画を作るので、かなりパワーが必要でしたが、マインドが変わったり、色んなフィールドの知見を得られたり……とても実りのある機会でした。学生起業家や自治体から大手の新規事業担当、北海道から沖縄まで、熱いパッションがあって、何か新しいことをワクワクしながら始めて実行していける100人以上の仲間ができたことが、何にも変えがたい一番の成果でした。

−−これまでにぶつかった壁はありますか?

現在所属している新規事業の部署として初めて発売した「4K超短焦点プロジェクター」という商品の北米導入を担当した時のこと。異動してすぐに、「とりあえず行ってきて」と言われて、通算3ヵ月くらい、ニューヨークに送り込まれたんです。最初は一人でしたし、全く土地勘もない場所でビジネスをすると考えると、どこから手を付けたら良いものか…と思いました。一方で、ベースのないまっさらな状態でもあったので、思いついたことはとりあえず全部やってみようと考えました。
住む場所とオフィス探しから始まって、ビジネスパートナー探し、エキスパートインタビュー、ショールーム立ち上げ、なんでもやりました。日本とは14時間の時差があるので、昼は現地で仕事をして、夜は日本と電話会議…かなりタフな日々でしたが、発売に向けた基盤づくりという責任の大きい仕事を任されてやりがいがありました。土地も人も全然知らなかったからこそ、市場に身を置いて自ら情報を取りに行き、肌感覚を持ってプランニングから実行までするという意識や経験を持つことができました。

森原さん挿し替え用お写真
▶ニューヨークで開いた4K超短焦点ーのローンチイベント。多くのゲストで賑わった。
 

−−あなたにとって「働くこと」とはどういうことですか?

誰かのために動くこと。それは、お客さまやパートナー、それからチームのメンバーや会社そのものだったり、さまざまですが、私にとって「働くこと」とは、誰かのために動くことかなと思います。私は働くのが好きで、のめりこんでしまうときもあるのですが、もしかしてそういう時は、自分のためでもあるのかもしれません。

あとは、思いっきり自然の中で遊んだり、国内外を旅するのが大好きなのですが、遊ぶために働いて、働くために遊ぶという感覚を持っています。働き続けると息抜きが必要ですし、のんびり過ごしていると、やっぱり働いていたいとウズウズしてきます。生活の中に、心地良さと緊張感のメリハリをくれるものでもありますね。

−−働いている時のあなたを「色」にたとえると?

カラフルなカメレオンカラーでしょうか……(笑)。
周りの顔色を伺って色に合わせて変わるのではなくて、その時に自分に求められている役割や、こう動いた方が良いという直観に合わせて変わるというイメージです。

いま所属している新規事業のチームは少人数なので、一人ひとり幅広い仕事をするのですが、私の場合は、トップマネジメントとのビジョンメイキングやブランド戦略作りをしたり、展示会のプロデュースやイベントの司会をしたり、はたまたInstagram用の写真撮影やFacebook投稿のコピーライティングもします。環境に合わせて、くるくると色が変わるというか、モードが変わっているイメージです。

自分が働いている時の色で、ベースになっているのは明るい黄色。お客さまや関わっている方はもちろん、自分自身も心が弾むような、刺激し合いながらワクワクするアイデアを考えられるような状況を作れるように心がけています。

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▶クリエイターの視点で空間を捉え直すサロン形式のイベント「空間観察学」で司会を務める。
 

−−今後、あなたが「こうありたい」と思う姿についてお聞かせください。

何か新しいことをしたいと思っている人が、少しでも前に進めるように、サポートが出来るようになりたいと思っています。具体的にどうサポートしていくかは、日々模索しながら活動していますが、ワクワクしながらアイデアを出したり、インスピレーションを与えあえるような、クリエイティブな環境を作りたいと考えています。ワークショップやイベント等を開く際に、毎回色々な工夫を凝らしながら進めるようにしています。

−−これからチャレンジしたいことはありますか?

専門性や立場の違う、面白い人たちと一緒に、「これは面白い!」と言ってもらえるような体験を作りたいです。

昨年発売した、壁際に置くだけで大画面映像の出せる、ポータブル超短焦点プロジェクターという商品のマーケティングを担当していたのですが、発表時に「ソニーらしい商品が出てきた」「日本人として応援しています」と言っていただけたりして、すごく嬉しかったのを覚えています。イノベーティブと感じてもらえるような新しい価値や体験をどんどん提案していきたいです。

また、大学生の時からあちこち建築巡りをしているのですが、なんらかの形でちゃんとまとめておきたいと思いながら、なかなか出来ないでいます。仕事に限らず、自分の視点や感性として発信できるものを増やしていきたいです。あとは、母の絵をもっとたくさんの人に楽しんでもらえる機会づくりもしていきたいですね。

−−毎日の日課や、習慣にしていることはありますか?

アイデアのヒントにしたり、新しい視点やインスピレーションを得るために、気になるイベントや美術館、新しいお店などに行くようにしています。

今はソニーの新規事業のチームにいて、「居住空間の中での新しい体験」の提案に携わっているのですが、より良いアウトプットをするためには、自分自身に、世の中にある色々な「体験」そのものをインプットする必要があると思っています。もともと純粋に好きで、そういった場所に足を運んでいましたが、体験を生み出すための自分の引き出しにすることや、提案のためのヒントを探すという視点も増えたので、よりいろいろな見方が出来るようになりました。

−−あなたなりの息抜きやストレス発散の方法を教えてください。

自然の中で遊ぶために旅に出ることが、何よりもリフレッシュになります。
私の遊びのテーマは、「地球遊び」。社会人になってからロッククライミングや登山を始めて、年に1~2回は長めのお休みを取って、東南アジア、カナダ、スペイン…とあちこち登りに行きました。非日常的な感覚や、大自然の圧倒的なスケール感が好きで、この楽しさを知ってしまうと、普通の遊びじゃ物足りなくなってしまうかも……ダイビングやスキー等もしますが、最近はまっているのはサーフィン。波に乗ってぐんとスピードが上がる感じや、波を待ってゆらゆらしているのも気持ち良い。忙しくてどこにも行けない時は、海外航空券の値段を調べたり、旅関係のメディアを見て、知らない土地に思いを馳せています……(笑)。

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▶マレーシアのボルネオ島にある東南アジア最高峰、キナバル山での登山。
 

−−生活の中でのこだわりや、お気に入りについて教えてください。

母がイラストレーターで、家の中の壁という壁に絵が飾られている家で育ちました。しまっておく場所もないので、壁が倉庫代わりだったんですね。実家を出た時に、一番気に入っていた大きな絵をもらって、いまはリビングに飾っています。陽気な魔女が、クラシックなオープンカーで青い森を走っているシーンなのですが、この色味がとても気に入っています。日常的に絵や好きな物に囲まれているので、それだけで気持ちが和らぎます。

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▶リビングに飾ってある、イラストレーターの母が描いた絵。

あとは、ピアスが大好きで毎日違うものを付けられるんじゃないか……というくらい持っています。特に思い入れがあるのは、旅先で買ったもの。あとは、自分でも作ります。お気に入りのデザインのものを付けていると、気分も上がりますが、ただ愛でるだけのものもあります(笑)。
 

−−幸せだと思う時間や瞬間はどんなときですか?

家族や友だちと、美味しいゴハンとお酒を楽しみながら、わはは!と笑いあっているときが幸せです。家に友だちが遊びに来て、笑い声で空間が満たされる感じが、一番好きですね。
ものすごく盛り上がって話して、しばらくして思い返しても何のことを話していたか覚えていないような、くだらないことやちょっとしたトピックスだったりするのですが、そんな風に、笑い合いながら一緒に時間を過ごせる仲間がいるということが、とても嬉しくて幸せなことだと思っています。

−−自分の人生で一番大切にしていることはなんですか?

大切にしているのは、自分の世界を広げるために、出来るだけいろんなことを経験すること。いろんな場所に行って、見て、体験して、そしていろんな人と話すこと。私はくるくると動き続けるのが好きな方で、仕事も趣味でも、初めてのことや新しいことをするとワクワクします。今までなかった新鮮な視点や感覚が得られますし、普段接点のない人に会えたりします。活動的に過ごしていることが、私らしく過ごせる時間や仲間、自分らしい人生を作っていってくれている気がします。もちろん、動き続けると疲れてしまうこともあるので、無理せずに楽しむことも大事にしています。

ーーーーーーーーーーーーーー
お話しを聞いていると、こちらまでワクワク、楽しくなってしまう森原さんのライフスタイル。ご自身の将来について、「“あのばあちゃん、やるぅ!”と若者に言われるような、アクティブで元気なおばあちゃんになりたいです」と語ってくれました。どっしりと落ち着いて、可愛いおばあちゃんをめざしたいとのこと。自由な発想、インスピレーションを求めていきいきと動く森原さんの生き方を見ていると、数十年後に魅力的なおばあちゃんとなった姿が目に浮かぶようです。

 
取材・記事/
いろんな女性の働く・暮らすを知ること 『100人100色』は、SAISON CHIENOWAとケノコトの共同記事です。

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