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ケノコト独自の視点から、様々な人や場所、物を取材して、WEBをはじめとする色々な場所で公開します。

取材 2017.05.06

100人100色―日常の「ケ」の食の大切さを子どもたちに伝えたい。和食育の教室を主宰するーみつはしあやこさんのお話

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それぞれの立場、個々の考え方によって「働く」ことへのスタンスは異なります。正解なんてありません。
「100人100色」では、100人の「働く女性」に登場戴き、等身大の姿を語っていただきます。
年齢、環境、キャリア全ての背景が異なる人たちの100とおりの『想いや生き方』の中に、きっとあなた自身にとってのヒントが見えてくるはずです。

今回ご紹介するのは、横浜市青葉区在住のみつはしあやこさん(32)。和食と食育を合わせた「和食育教室こころ」を主宰し、手前味噌や梅シロップ・干し野菜をつくるなどの季節の手仕事や和食の要である発酵調味料を子どもたちに伝えています。子どもとの時間を大切にしながら手作りのおやつを、と始めたグラノーラ作りが出版社の目に止まってレシピ本を出版するなど、日々の暮らしがそのまま天職になっていったみつはしさんの、暮らしと食への思いを伺いました。

−−現在のお住まいと家族について教えてください。

田園都市線たまプラーザ、横浜市青葉区の古い家が並ぶ静かな住宅街です。今も大好きな地、鎌倉の海辺での泥んこ育児を経て、結婚当初住んでいた街に戻りました。のびのび育てすぎたのか4人の我が子たちの声が街で一番目立っておりますが、近隣の方が本当に温かで。優しい眼差しに見守られ、緑溢れる街で野山を駈けて木登りして、我が子たちらしさを貫きながら暮らしています。

−−これまでのキャリアについて教えてください。

私が食の仕事に従事する機会をくれたのは、長女なんです。こどもが生まれると節供や誕生日・クリスマス……季節ごとのイベントへの想い入れが増し、思い出深い日にしたくて。それはもう楽しみで楽しみで。

親族や友人、大切な人と囲む食卓を思い浮かべて、準備の時から幸せいっぱい。でも普段の生活に加え、来客に向け家を整え飾りをして。食事の支度も買い出しから考えると数日に渡ります。当日ももちろん、自分の身支度だけとはいきませんし、こどもの生活は変わらずなので、すぐに片づけは振り出しに……

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そんな経験を重ねるうちに、自分がハレの日を迎えるお子さまを持つお母様方の支えになれたらとケータリングを始めました。同じ頃こどもの集うこういった席でスナック菓子が机を占めるのも胸につかえていて。

ただ、3度の食事の支度以上の時間を割きおやつをつくることはこどものためと言いながら自分の意思を貫きたい故のエゴとも思えて悩んでいました。その時間公園で一緒に遊んだり絵本を読むほうが子供はうれしいでしょうし。「私ならおやつを作るなら夕飯の1品増やす」といわれたこともあります……。

そんな私が行きついたのが混ぜて焼くだけ、洗い物ひとつのグラノーラ。これなら作業は10分、子供との時間も楽しめます。ケータリングにも日々の補食にも手土産でも。

レシピが増えていった頃グラノーラのレシピ本出版のお話を戴きました。まさかそこに着眼して戴くとは!と戸惑いましたが「追われるような生活の中でも作ることができる」「我が家の定番になりました」そんな嬉しいお言葉を戴けて。以前より慌ただしさが増す最近、自分自身がグラノーラに救われる場面も増えて。

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▶出版したレシピ本『毎日食べたい!私の好きなグラノーラ』

レシピ本というより我が家のおやつ日誌のような…ページをめくるごとに子供とのやり取りを思い出す、私にとって宝物になりました。

−−現在のお仕事について教えてください。

ケータリングでハレの日の仕事に携わることで日常「ケノ日」の食の大切さを再認識し、今は和食と食育を合わせた「和食育」をこどもたちに伝えています。

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私の教室の新年度は区切りとしては中途半端にも思える2月がスタート。初回は手前味噌作りからというのがこだわりで大寒のころとなりました。1年通うと「こども和食博士」という独自の資格を認定、毎年巣立っていきます。

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同じ仲間で集うので回を追うごとに絆も芽生えて。最終回では仕上がった味噌を使ってみんなで五平餠や味噌汁を作りました。屋台のように準備した空間で、作ること食べることを楽しんで。食卓を囲むとあっという間に仲良しになれてしまうこと、台所から幸せが生まれて食卓で穏やかな気持ちが育まれること。こどもたち自身が見いだしていくのを、見守り支える場として教室を、そして芽生えた絆が途絶えぬよう、卒業生の集う機会を設けることを続けていけたらと思っています。

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−−これまでで一番忘れられない仕事のエピソードをお聞かせください。

つい先日のレッスンで……生徒のお子さまから時折お手紙を頂戴することがあって、それが宝物なんですが、その日は3年生の男の子から、残らない宝物を戴いたんです。

我が家の長女も同い年なんですが、いろんな感情が芽生える年齢です。大人びてきた彼、初回の無邪気さが懐かしく寂しくもありましたが、配ったプリントを自分で理解し彼の担当の味噌汁作りを淡々と進めてくれる姿を頼もしく思い感心し、すっかりお任せして別のチームの指導をしていました。

暫くすると彼がすっと私の隣に来たのでどうしたのかと目を向けるとその手にはお椀が。「これ、1番きれいに盛れたから先生に。」と味噌汁を差し出しました。いつも授業では生徒だけが食事をするのですが、その味噌汁は残さず戴きました。私にとって特別な大切な、忘れられない1杯です。

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−−これまでにぶつかった仕事の壁はありますか?

私自身は壁があることを苦にしない人、変わり者ですね(笑) 壁があっても上には青空、足元には草花。その場を楽しんでしまうんです。本当は前へ、上へと向上に努めるほうが理想なんでしょうけれど。のんびり道草していたら壁にツタが絡んで上りやすくなっていたり。壁って超えるだけじゃないよ、もぐらみたいに掘って下からいけるかもしれないし、壊しちゃってもいいし。本当に困ったときははしごをおさえてたり引き上げてたり家族みんなで力を合わせようってこどもたちにも話しています。そうしたら家族が多くてラッキーだなんていうのでおかしくてかわいくて。

ただ、やはり初めての出版の時は申し訳なさで苦しかったです。数行のパソコン入力すら中断中断……日中は集中して作業できないので寝ないことを選んで。経験した今なら効率よくできるのですが……丸1か月の記憶がすっぽり抜け落ちています(笑)出版関連の方のお力添えと家族の支えで、おかげさまで理想の形に仕上げて戴き感謝しかありません。子育て中ですから思ったときに思った場所へはいけませんが、そんな状況含め「みつはしあやこ」とおっしゃっていただき、レシピ開発やコラム執筆などの自宅でできる仕事を振っていただいたり極力メールで話を詰めて戴いたりで……心からありがたく思っています。

−−あなたにとって「働くこと」とはどういうことですか?

母親業を全うしながら私が社会や未来に働きかけることができる唯一の手段です。

「味噌汁1杯で平和の輪が生まれる」と本気で思っています。

−−働いている時のあなたを「色」にたとえると?

白でありたいですね、かすみ草が好きなので。

私の教室での主人公はこどもたち、家族においても子供が真ん中と考えていて。
だから私自身は花束の中のかすみ草のように主役を立てる存在でありたいです。
母親っていてもいなくてもいいような存在感でちょうどいいんです。

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花束からかすみ草だけ取り出すと頼りなくも見えますが、小さな花ひとつひとつが私の経験や想いで。子供が巣立つころにはかすみ草だけの大きなブーケとして誇らしくあれたらなと。それにかすみ草って案外長持ちで丈夫。花瓶で自然とドライになって。図太い私にぴったり(笑)ドライになって少々生成りになっても長く必要とされるように、またぽっきり折れないように心も体もしっかりした軸のある人になれるよう日々を紡ぎたいです。

——日課や習慣にしていることはありますか?

味噌味噌と…もう聞き飽きたかもしれませんが(笑)味噌汁を欠かさず飲むことです。
こどもにもすっかり浸透したようで、小学校の作文にも「味噌汁3杯がん予防」と書いていました。
夏バテには同じ発酵物の甘酒もおすすめですが、汗をかいた体に味噌汁、スポーツドリンクより何より体が喜びますし、具と味噌と出汁と……合わせ次第で無限に広がるので飽きることもありません。

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——あなたなりの息抜きやストレス発散の方法を教えてください。

本を読むことです。やはり食卓周りの風景が浮かぶような内容が好き、山本ふみこさんが好きです。読むのと同じくらい文を書くことも好きです。

−−あなたの生活の中でのお気に入りを教えてください。

愛着をもって長く大切にできるものに囲まれて暮らせたらと思っています。器や調味料も作り手の思いが感じられるものが好きです。

あとは古いものが大好き。以前使っていた方を想像し想いを馳せたり……今の家も古い家。自分たちが暮らし良いよう手を加えながら暮らしています。

私が生きる上で最も大切にしている「家族の集う食卓」も工場の作業台として使われていたもの。きれいとは言えませんが職人の刻んだ跡が美しく思えます。ぴかぴかツルツルの新しい机だったら傷がつくのは喜べないですがこの机に新たな傷が我が家のこどもたちによって重なっていくことが私の幸せで。眺めるだけで食卓を囲む家族の顔が浮かぶ、私の母としての人生を映し出すものです。今後どこに引っ越しても夫婦だけになってもこの机だけは連れていきます。

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−−これからチャレンジしたいことはありますか?

和食育の本を出版したいです。教室は年間たった10名のみの募集ですが、テキストだけでも多くの方に届けたいと思っています。

私の食へ対する心持ちの師である土井善晴先生の著書『一汁一菜でよいという提案』の子供向けのようなものを私の手で作りたいです。

−−今後、あなたが「こうありたい」と思う姿について教えてください。

究極のゴールは主人やこども・孫たちに「あやばぁのごはんが世界一」と言われる存在になること。興味深い話が次から次へと湧いて出て皆が自然と集まるような人格でないと!今からたくさん経験と学びを重ねて丁寧に時を重ねたいです。

−−幸せだと思う時間や瞬間はどんなときですか?

こどもたちが将来に夢を持っている姿です。希望に満ちた笑顔に日々幸せをもらっています。

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−−自分の人生で一番大切にしていることは何ですか?

家族と囲む食卓です。

疲れて帰っても、息つく間もない朝もたった1杯の味噌汁に体がほぐれ、心が落ち着きます。家族の平穏な日々を作り出せる。今、益々母親であることの重みと幸せを感じています。

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4人のこどもを育てながら、日々の暮らしのなかでの大切なもの、伝えたいものをこどもたちに教えるみつはしさん。何でもない日々の「ケ」の食にも楽しさを見つけ、日々のきらめきを愛おしむようなみつはしさんの暮らし方は、きっと成長するこどもたちの心に残って、次の世代へと伝える力となっていくことでしょう。
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いろんな女性の働く・暮らすを知ること 『100人100色』は、SAISON CHIENOWAとケノコトの共同記事です。

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