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生き方 2017.05.09

増田美加さんに聞く『乳がんサバイバーの医療ジャーナリストとして生きるコト』

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女性医療ジャーナリストとして、活躍されている増田美加さん。
実は、2006年にジャーナリストとして活躍しているさなか、乳がんを発病されました。治療や不安な気持ちなど、様々なことを乗り越え、今では「乳がんサバイバー」としても活動の幅を広げられています。
そんな増田さんに、仕事や病、人生についてお話を伺いました。

せっかく乳がんになったのだから、という意識転換

――2006年、女性医療専門のジャーナリストとして活躍されているなかでの、乳がん発覚。正直なところ、どんなお気持ちだったのでしょうか。

それ以前に、乳がん体験者の方には何人もお会いしてインタビューしたことがありましたし、ある程度の知識や情報も持っていましたが、やはり、どこか他人事だったんですね。検診で異常を指摘されて精密検査を行い、結果が出るまでの約1ヶ月は、「なぜ私が」「何がいけなかったのか」と動揺しました。
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でも、はっきり乳がんだとわかり、しかもそのステージが0期の超早期だと確認できてからは、治療という現実的な課題を目の前に迷いや不安は徐々に薄れ、むしろ、日々の生活をどう大事にしていくかという方向に意識がシフトしていきました。この経験を自分の人生の糧に、また同じ女性たちのために役立てようと、友人のフォトジャーナリストに治療の撮影を依頼した時期でもあります。

――そういった意識の変化のなかで、新たに始めたことはありましたか。

不安定な時期を乗り越え、悩みに悩んで治療法を決定し、がんと闘おうという前向きな気持ちが生まれたころ、まずはリラックスできる方法を身につけようとヨガを習い始めました。深い呼吸をゆっくり繰り返すことで、自然と身体の力が抜けるように。この呼吸法は、手術前後にとても役に立ちましたね。

さらに、忙しさを言い訳に逃げていた運動を習慣にできるチャンスだと思い、 ウォーキングも始めました。すると、半年後には走れるようになったんです。そうなると今度は、インナーマッスルを鍛えなきゃとピラティスをスタート。その後、筋肉についても勉強し、今ではひとつひとつの筋肉を意識して動かせるようになりました。51歳でフルマラソンにも初挑戦しましたよ。

もともと運動は苦手で、体育の成績は3しかとったことがなかった私が、乳がん発覚を機に始めて10年。今ではすっかり、運動が私の生活のなかに習慣化されています。

――運動は、増田さんが乳がんをきっかけに見つけた、ストレス解消法、体調管理法のひとつなのですね。

そうですね。仕事の合間にちょっと外に出て走ってみると、自分の体調の変化にも気づけますし、季節の移り変わりを肌で感じて気持ちが晴れ晴れとし、“しあわせホルモン”が溢れ出てきます。すると、よいアイディアも浮かんでくる。それが楽しいし、気持ちがいいんです。

何はともあれ、ストレスはためないようにしていますね。ストレスは「コルチゾール」というストレスホルモンのバランスを崩します。そうすると、たちまち女性ホルモン、成長ホルモン、甲状腺ホルモンなど、ほかのホルモンのバランスまで乱れてしまう。だから、ストレス解消の引き出しはたくさん持っておいたほうがいい。運動でも、趣味でも、なんでもいいんです。大事なのは、ストイックにならず、マイペースに続けていくことだと思います。

だからこそ、私も日々の運動に厳しいルールは設けず、たまには自分を甘やかしながらやっています。食事も、家で食べるものにはそれなりに意識を傾けていますが、誰かと一緒にお酒を飲みながらワイワイ楽しむ外食も大好き。それも、ストレス解消法のひとつですね。

じつは女性は、常に不調を抱えて生きている

――日々の体調管理という点においては、増田さんはご著書などで、“マイドクター”を見つけておくことも大事だとおっしゃっていますね。

女性は、ホルモンの波によって、いつもなんらかの不調を抱えています。そしてそこには、大きな病気が隠れていることも。いつもとちょっと違うな、というときに気軽に診てもらえるマイドクターを見つけておくことは、ストレス社会を生きる現代女性のたしなみだと思うのです。
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とくに持病のない女性は、ホルモンの知識が豊富な婦人科の医師をマイドクターにするといいと思います。通える範囲の病院を3ヶ所くらい回ってみれば医師を見る目が上がり、自分に合った医師が見つかると思います。自分に合うドクターは人によって違います。最後は自分との相性を大事にしてください。

――増田さんご自身は、どれくらいの周期でマイドクターのところに通っていらっしゃるのですか。

今、私にとってのマイドクターは、婦人科医と内科医の2人。3~4ヶ月に1度くらいのペースで通っています。そして、その時々の体調の変化、たとえば更年期障害や花粉症などの徴候に合わせて、漢方薬を処方してもらっています。それを続けていたら、自分で自分の身体の声が聞けるようになったんです。東洋医学では、病気とまではいえない体調不良のことを「未病」といいますが、それを自ら察知する“未病センサー”を持つことは、病気の予防だけでなく、日々を快適に、キレイに元気に生きていくうえでも大いに役立ちます。そういった意味でも、マイドクターの存在は重要だと思うのです。

自分にとっての価値を大切に、前向きな人生を送る

――増田さんにとって、人生における価値とは何でしょうか。

日々の暮らしを楽しみ、充実させること。それが、自分にとって大きな価値であったことに、乳がんという経験を通じて、改めて気づかされました。
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だから、仕事のやり方も大きく変えました。私っていう人間がやっていますと自信をもって言える仕事だけにしようと。それで仕事が来なくなったら仕方がないなって。そうやって楽しく仕事をして、いい結果を残したい。そのためには健康管理が大事。日々の運動や食事への気遣い、体調管理は、みんなパフォーマンスアップにつながっています。

――今、増田さんがチャレンジしていることはありますか?

私が仕事のなかで気がついて、おかしいと思うことを変えていくための活動、大げさですが、世の中に貢献できる取り組みに、積極的にチャレンジしています。最近の活動としては、乳がんサバイバーで医療ジャーナリストという立場から、2016年10月に、『乳癌のマンモグラフィ検診で「判別困難」な女性に対する結果通知方法の見直しに関する要望書』を、厚生労働省大臣あてに提出しました。

マンモグラフィ検査は、早期乳がんを見つけるために大切な検査です。しかし、乳腺濃度が高い「高濃度乳房」いわゆる「デンスブレスト」の人は、乳腺が白っぽく画像に写ってしまうため、同様に白く写し出されるがんのしこりを見つけにくく、異常なしかどうかを正確に判別できないのです。でも現状は、マンモグラフィ検査の段階で異常なしとして結果が告げられ、あとで進行した乳がんとして発見されるケースがあるのです。日本人女性の高濃度乳房の割合は50~80%にものぼると言われているなか、この体制はおかしい。それを、多くの患者団体の方々とともに、声にしてまとめ、国に要望する活動を行いました。

医療は、私たちをしあわせにする行為でなくてはなりません。信頼できる存在でなくてはなりません。患者、つまり医療消費者側が正しい知恵と知識を持てるよう、そのための橋渡し役が、医療ジャーナリストとしての私の使命。今後も正確なエビデンスに基づいた情報を発信し続けたいと思っています。

▼増田さん愛用の、筋膜トレーニング用グリッドと、マッサージ用トリガーポイントボール。出張時にも持参し、ストレス解消や疲労回復に役立てているそう。
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増田 美加(ますだ・みか)
女性医療専門のジャーナリストとして、女性のための医療・健康、美容現場を数々取材し、人気女性誌や女性専門サイトなどで執筆。約30年にわたって2000名以上の医師と会う。2006年に乳がんを経験。女性のがん検診の啓発、更年期への対策、予防医学の視点による健康で美しくイキイキと生きるためのエイジングケア等、幅広いテーマ・分野で講演も行う。著書は、『医者に手抜きされて死なないための患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)、『乳がんの早期発見と治療』(小学館)など多数。

文/鈴木友紀
撮影/浅野里美
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