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取材 2017.07.19

100人100色―大好きな「食」を仕事に。食を通して幸せを届けたい。管理栄養士ー棚橋伸子さんのお話し

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それぞれの立場、個々の考え方によって「働く」ことへのスタンスは異なります。正解なんてありません。
「100人100色」では、100人の「働く女性」に登場いただき、等身大の姿を語っていただきます。
年齢、環境、キャリア全ての背景が異なる人たちの100とおりの『想いや生き方』の中に、きっとあなた自身にとってのヒントが見えてくるはずです。

今回ご紹介するのは、東京都世田谷区在住の管理栄養士棚橋伸子さん(38)です。管理栄養士の資格を活かして大学教員、テレビ番組の出演、レシピの連載など多方面で活躍する棚橋さん。「大好きな食に関する仕事ができて幸せ」と語る棚橋さんは、フリーランスの管理栄養士・料理研究家としてどのように独り立ちしていったのでしょうか。棚橋さんが歩んだ道と、食に対する想いを伺いました。

−−お住まいと家族構成について教えてください。

東京都世田谷区に住んでいます。子供の頃から住んでいる地域で馴染みがあり、実家から3分という距離。3線利用ができ、静かなエリアなのに少しお散歩すればお店も多い便利なこのエリアから出たくなくて、結婚してからも同じ町内に住んでいます。駅から近いので、時間ロスが少なく移動ができるというのもお気に入りの点です。何より、地元という事で知り合いも多く、近所の商店街の方々の顔がわかるので安心して暮らせています。母が病弱なので、行き来がしやすいようにというのもこのエリアに住み続けている理由の一つです。

家族は夫と二人暮らし。近くに姪っ子(大学生ですが)がいて、我が子のように可愛がっています。もともと、結婚したら、できるだけ家に居て欲しい……という夫の希望もあったので、仕事よりも家庭の事を優先したいという思いもあり、家事は手を抜きません。というか、家事が好きなので。特に、もともと食べることが好きな私は、生きること=食べること!!と思っているので食事の時間はとても大切にしています。料理を作っている時間が、息抜きタイムでもあるので。毎日楽しく食事の準備をしています。

−−これまでのキャリアについて教えてください。

管理栄養士養成の大学を卒業後、管理栄養士・栄養士の養成大学、短期大学の助手として6年勤務しました。学校勤務時代に、もう少し幅広い仕事にチャレンジしたいという気持ちと海外への憧れがあり、仕事を辞め、一年間自分のやりたい事(留学)にチャレンジしてみようと思ったのですが……ちょうど同じタイミングで親友も仕事を辞めたため、二人で海外旅行三昧の一年を送ることに。ちょうど恩師の紹介でお会いした方々がベンチャー企業を立ち上げたので、海外旅行のかたわらで、そのお手伝いもしていました。

海外旅行は予定通り仕事をやめた翌月の4月に出発、パソコンを持って海外旅行をしながらSkypeで日本に連絡をとり、仕事をこなしながら旅行する日々。秋頃には、正社員としてベンチャー企業の一員となりました。三年間、会社に所属していたのですが、今までの人生の中で一番働き、多くの経験ができた三年間でした。今ではあの激務はおそらくこなせません。

この頃から母校からのお誘いがあり、非常勤講師として大学で週に数日働き始めました。学生時代は、勉強に対してあまり真面目な学生ではなかったので、助手を辞めて以降、また教員として働くとは思っていませんでした。現在は大学、専門学校の非常勤講師として「調理学実習」や「フードスペシャリスト論」等を担当しています。

ベンチャー企業は残念ながら3年で解散しましたが、その後フリーでの活動を始めました。ベンチャー時代のご縁が色々とあり、今まで営業活動をすることなく、様々なお仕事のお声がけをいただいています。

現在の仕事のメインは週2日の教員、そしてフリーペーパーでのレシピ連載です。このレシピ連載は、今年で8年目になりますが、スタート時よりページ数も増え、とても良いスタッフに恵まれ毎月楽しく撮影をさせていただいています。ベンチャー時代に、BSの番組に一年間レギュラー出演していたご縁もあり、TV関係のお仕事にも時々お声がけいただいています。本当に人との出会いに恵まれ、仕事に恵まれていると日々感謝しています。

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▶大学での授業。調理実習では和洋中、行事食など様々な料理を教えています。

−−これまでで一番忘れられない仕事のエピソードをお聞かせください。

ベンチャー時代に突然決まったTV出演。最初はMCが作る料理レシピの提供という話だったのが、打ち合わせで収録時の料理指導もすることになり、打ち合わせ後にかかってきた電話で「出演してみない?」と。あまり深く考えず、「わかりました!」と返事をしましたが、TVなんて一度も経験したことのない世界で、今考えると自分の図々しさにびっくりします。結局、週1回の30分番組に52回、レギュラー出演をしました。収録は、朝早くから、夜中までかかり、今思うと本当に体力があったな……と思います。そのTV経験があったおかげで、その後もいくつかTV関係のお仕事をいただいていますが、本当に貴重な体験をさせていただく事が出来ました。

−−これまでにぶつかった壁はありますか?

特に大きな壁にぶつかった!!という実感はなく今まで来ました。家族や周りの友人からは、仕事の環境が過酷すぎるとか、辞めた方が良い、転職しなよ!!と言われる事も多かったのですが。過酷な環境にいても、その環境を楽しんでいたのかもしれません。

−−あなたにとって「働くこと」とはどういうことですか?

大好きな食に関する事を仕事にできたのは本当に幸せなことだと日々感じています。
私が働くことで、食の大切さを一人でも多くの方に伝え、食を通して感じられる幸せを届けることが使命だと思い仕事をしています。
もう一つは両親への恩返し。我が家は普通のサラリーマン家庭でしたので、姉妹もいるのに私立高校、私立大学に進学させてもらい大変だったと思います。何の不自由もなく学生時代を過ごさせてもらい、自分の好きな勉強をし、目標としていた「管理栄養士」という国家資格を取得することができたことにとても感謝をしています。その資格を活かし、働いている自分の姿を見せる事は、両親への恩返しにもなると思っています。

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▶連載中のレシピの撮影風景。

−−働いている時のあなたを「色」にたとえると?

1色を選ぶのは迷いますが、「赤」かな?と思います。働いている時の自分は、生き生きとしていてエネルギーに満ちていると思います。メラメラと燃えるような感じ(笑)。体調が悪い時でも仕事スイッチが一旦入ると集中し、仕事に燃えている感じがありますね。

−−今後、あなたが「こうありたい」と思う姿は?

今まで出会った周りの方で「私と出会った事で食に対する意識が変わった」と言ってくれた人が沢山います。これからも、食について良い影響を与えられる人でありたいと思います。
また、未来の食の専門家を育てる仕事に関っているので、自分の経験を沢山話し、将来のヒントになれば良いなと思い、日頃から学生とも色々と話をするよう心掛けています。
連載中のレシピは、目指せ!!10年連載です。直接触れ合う事が出来ない人たちには、レシピやコラムを通じて食の大切さを伝えていければと思います。

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▶連載中のフリーペーパー『バリュープラス』は今年で連載8年目。

−−これからチャレンジしたいことは?

監修や共著という形での書籍は何冊かあるのですが、50歳までに自分の単独の名前でレシピ本出版が目標です。世の中には沢山のレシピ本がありますが、自分の強みを活かして、差別化できる本の切り口が見つからず……模索中です。

−−日課、習慣にしていることはありますか?

毎晩、夕食後のコーヒータイムです。常時数種類のコーヒー豆を用意しているので、その日の気分で豆を選び、豆を挽き、淹れたてのコーヒーを好きな器で飲む。夫婦でその日一日の出来事を語りあう大切なリラックスタイムです。

−−息抜きやストレス発散の方法を教えてください。

定期的に大好きなハワイに行き、充電しています。毎年12月には、ホノルルマラソンを走っています。今年も走ります!(9回目)ハワイの為に仕事をしていると言っても過言ではないくらいです。
何か行き詰まった時、進路に迷ったとき、ハワイに行くと必ず良い方向に物事が進みます。贅沢なストレス発散方法ですが、ハワイに行く予定に向けて、色々と頑張れるんです。パワーの源です。

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▶ホノルルマラソンの完走証 毎年、ゴールする事を目標に走っています。

−−あなたの生活の中でのこだわりや、お気に入りは?

お気に入りのものは、包丁と食器。毎日の食事作りに欠かせない包丁は、定期的にメンテナンスし、いつも良く手入れされたものを使っています。切れ味の良い包丁は、料理していて気持ち良いですし、料理の仕上がりにも影響してきます。そして、料理を盛り付ける食器。どんどん増えて困りますが……

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▶お気に入りの包丁を使って作った料理をお気に入りの食器で。

こだわりは、緑グッズです。家の中の物が緑だらけです。ソファ、椅子、ハンガー 初めて遊びに来た友人が「緑だらけだね(笑)」と必ず言います。友人からのプレゼントやお土産はみどりのものを自動的に選んでくれます(笑)。PC作業で疲れた目を、緑色が癒してくれます。

−−幸せだと思う時間や瞬間はどんなときですか?

自分が作った料理を喜んで食べてくれている笑顔を見た時。家族はもちろん、友人も。我が家には、良く人が集うのですが、出来立ての美味しい瞬間を食べて欲しいので、ほとんど席に座ることなく料理を作り続けます。いつも、ずっと料理をしている私を皆が気にしてくれますが、料理を作っている時も幸せだし、その料理を喜んで食べてくれる瞬間に幸せを感じます。

−−自分の人生で一番大切にしていることはなんですか?

チャレンジ精神です。自分の限界を決めず、何でもチャレンジする気持ちを大切にしています。

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仕事で大きな壁にぶつかった実感がないという棚橋さん。周囲から見れば過酷な環境でも、棚橋さんは「その環境を楽しんでいたかもしれません」といいます。「食」という自分の好きな分野だからこそ、どんな壁でも乗り越える力があったのでしょう。食の大切さを広め、食を通じた幸せを届けたいという棚橋さんのまっすぐな想いが、これからどんな仕事を生み出していくのか楽しみですね。
取材・記事/
いろんな女性の働く・暮らすを知ること 『100人100色』は、SAISON CHIENOWAとケノコトの共同記事です。

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