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地域 2017.07.17

“助け合い”の気持ちが溶け込む『フィンランドのやさしい暮らし』

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人に助けを求めること。簡単そうに見えて、実は難しいことの一つではないでしょうか?
さらに、それが海外でのことだと、なおさら気を使ってしまいそうですよね。でも、フィンランドで暮らすことで、「助け合い」の大切さ、気軽さが見えてきた、そんなお話をご紹介です。

ーーーーーーーーーーー
私はフィンランドで、Aika Felt Works という私一人きりの会社を設立し、そこでウールフェルトの商品をデザイン・製作し、主にオンラインで販売している。
ウールの暖かなイメージのためか、注文は秋から春に集中し、特に1月、年が明けると週末に注文が重なって入るようになる。多くは受注後に製作を始めるオーダーメイドの商品なので、作り置きして備えることができない。一方で、冬から春にかけて日本人ガイドの仕事もするので、夏は暇なのに冬は忙しすぎて、私の仕事量は年間を通じてとてもバランスが悪い。

この前の冬もそうだった。受注生産の納期は長くとってあるものの、私がはたらける時間には限りがある。締め切りが迫っているものを端からやみくもに作って、間に合わないとなると週末にもはたらく。それでもダメだと、子どもの保育園への迎えを夫に頼み、夜もはたらく。もちろん家事には手がまわらなくなる。だんだん私を見る夫の目が険しくなってくる。
もう、一人で抱え込まずに、誰かに手伝ってもらうしかない、とわかっていた。わかっていたけれど、なかなかそうすることができなかった。
6今年の春、夫の両親が所有する、ロヴァニエミから車で40分ほどの距離にあるコテージをクリスマスぶりに訪れた。こんなに美しい自然が近くにあるのに、忙しすぎると視界にも入ってこない

ラップランドの人はフレンドリー

フィンランドに住む日本人で、私とはまるで反対に、たくさんの人の助けを借りて、そして自分自身も多くの人に手を貸しながら、ワイワイと賑やかに暮らす友人のミキさん(仮名)がいる。ミキさんも私と同じ2001年に日本から移住してきて、一から人との繋がりを築いていかねばならなかったという点で状況は同じ。けれど、移住して16年が経とうとする今、ミキさんのフィンランド人、日本人、そのほかの国籍の人も含めた人付き合いの豊かさが、私の目にとても眩しく映ることがある。

ミキさんに言わせれば、フィンランド人のほうが日本人より、人間の関係性における敷居は低いのだそうだ。だから、日本にいた頃よりも、もっとラフにいろんなことをお願いしあえる。

ミキさんは01年からの7年間ヘルシンキに住んでいたけれど、ヘルシンキの人と比べても、ラップランド(ロヴァニエミ以北の北フィンランド)の人はフレンドリーだという。確かに、私がラップランド大学に在学していたとき、教授と学生は友人のような関係だったし、地位のある人に何かお願いするにも誰かを通さず直接連絡でき、それで失礼には当たらなかった。街を歩いていても、「いいお天気ですね」などと、年配の人から話しかけられることも多い。

5ヘルシンキの街並み。「フィンランド人は優しい」というのが多くの日本人観光客の感想だけれど、日本と同様、都市と地方とでは人懐っこさに差があるようだ

根っこが日本人でも…

とは言っても、私の根っこは日本人だ。人の手を借りたいほど大変なときでも、相手にとって迷惑ではないだろうか、できれば一人で問題を解決したい、と考えるのはどの国にいても同じこと。
友人のミキさんも元々、私と同様、誰かに助けを求めるのが苦手だったという。「日本では、過度に遠慮したり余計な気を回しすぎて疲れたり、嫌なのに断れなかったり、人に何かを頼めば相応のお返しをしなくちゃと思ってお願いができなかった。日本ではずいぶん窮屈な生き方をしてたなと思う」とミキさんは言う。

ミキさんが当時より人に助けを求めるのが容易になり、肩に力が入らなくなった理由は何か。それは助けを求めなくてはやっていけない状況に追い込まれたからだった。持病があり、言葉の問題がある中で4人の子育てをしなければならなかった。日本の両親はもちろん、フィンランドの義理の両親も遠方に住んでいるため、普段は頼りにできない。近くにいる人に助けを求めざるを得ない状況に、彼女は置かれたのだった。

助けを求めるに当たって、「PAY FORWARD」――誰かに受けた親切をまた別の誰かに返す――そんな考え方もミキさんの背中を押したようだ。助けてくれた本人に恩返ししなくても、自分がしてもらったことを同じように困ってる人にしてあげればいいんだという考え方を知り、ずいぶん気持ちが軽くなったという。

2ヘルシンキに住む夫の妹が手早く作ってくれたベーグルサンド。ベーグルは市販のものだけれど、仕事で忙しい中でも私たちを招いてくれ、歓迎の気持ちが伝わってきた

ミキさんは、自分の限界以上のことはしなくなったという。「以前は『家に遊びに行っていい?』と聞かれると、絶対にデザート付きの手作りの料理じゃないと自分を許せなかったけど、市販のデザートを出したり子どもに任せたり、料理をテイクアウトしてもいいと思うようになった。大切なことは来てくれる人との交流を楽しむことだから、もうちょっと肩の力を抜いた生き方をしたいんだ」。
フィンランドに住み、フィンランド人と触れあう中で考え方を変えたミキさん。彼女の言葉から、私が学ぶことは大きい。

文/浦田 愛香
記事/ハレタル
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