
介護先進国スウェーデンに学ぶ 『認知症ケアの秘訣』は心遣い
目次
驚くべきことに、認知症介護の先進国・スウェーデンでは、認知症の高齢者のうち実に45%もの方々が一人暮らしを継続されています。いったいどんな仕組みが認知症患者さんを支えているのでしょうか?
スウェーデンの病院の数は日本より少ない
スウェーデンは、1972年に世界でいち早く高齢社会を迎え、高齢者ケアの軸足を「医療中心」から「福祉中心」に転換しました。医師から「アンダーナース」をはじめとする福祉ケアに携わる人々に切り替わり、高齢者の「見守り」と「自立支援」を徹底的に行う流れになります。
アンダーナースとは?
基礎的な医療の勉強を修めた介護スタッフのこと。認知症チームをはじめ、在宅リハビリチーム、在宅看取りチームなど、チームによる専門性を活かす試みが始まっています。
在宅訪問は1日わずか15分間
スウェーデンでは、短い訪問で、認知症の人が在宅生活を維持できています。エスロブ市では1軒・1人あたりの平均訪問時間は、わずか15分というから驚きです。
訪問の間、アンダーナースと利用者は途切れなく会話を続けています。短時間で効率よく済むのは、アンダーナースの業務から家事援助の“掃除・洗濯”を、2週間に1度程度のサービスパトロールチームの仕事として切り離したこと。そして真空パックの調理食で、料理の手間をなくしたことが、15分訪問を可能にできるんですね。
心遣いある支援=「オムソーリ」ケアとは?
すべてのアンダーナースが共通して取り組んでいるのは、「オムソーリ(Omsorg)」と呼ばれるケアです。
オムソーリとは、スウェーデンに古くからあった言葉で、 「悲しみや幸せを分かち合う」という原義です。なかでも認知症ケアにおける、オムソーリを構成するキーワードは、次のようなものです。
・ポイントを絞ったニーズケア
その人にとっての必要なケアは何か、よく観察し、ポイントを絞る
・できることは手伝わず、できないことだけを援助する
「お世話」ではなく「自立支援」、を常に念頭に置く
・チームプレー
いつでも助け合えるように、利用者の状態をチーム全員で把握しておく
・非マニュアル
「クリスマスまで生きたい」という末期患者がいれば、季節外れでもクリスマス飾りをする
・入念で丁寧なケアをする
公的なケアを受け入れてくれない利用者がいれば、時には60回も通って利用にこぎ着ける
・機転をきかせて、臨機応変に
家に入った瞬間、相手の状況をみてその日の優先順位を組み立てる
・介護者自身が自分の心を静かに保つ
常に心を静かに保つ、動作にも気ぜわしさが感じられない
・豊富な会話、声の力
些細なことからも会話を膨らませ、相手からも会話を引き出す
・ともだちのような親しさと節度
フレンドリーに接するが、親しき仲にも礼儀あり、のスタンスは貫く
要約すると、感情を持つ人間によって行われる、入念で心遣いある支援ともいえるでしょうか。高齢の利用者の喪失感(いたみ)に共鳴するケアが、高齢者の自立心を育み、悪化を防ぐことにつながる、ということです。
介護先進国といわれているスウェーデン。
介護は人と人との関わりなので、心に寄り添うケアが自立に繋がるのかもしれません。
日本の認知症ケアは“治療”を前提とした医療が主体となっているのが現状だそうです。認知症を悪化させない方法を考えること、そして介護職の地位向上を進めることとともに、心に寄り添う「オムソーリ」の概念がもっと広まっていくと、日本の介護意識も変わりそうですよね。一人でも多くの人に広まりますように。
記事提供/治療note
参考記事:認知症、スウェーデンでは重症化しない!? 介護先進国に学ぶケアの秘訣
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