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家のコト 2016.06.22

シンプルに長く、何気なく『食の暮らしに寄り添う”野田琺瑯”』

日本には世界に誇る、国内唯一 自社内一貫生産の琺瑯メーカーがあるのを知っていますか?
琺瑯は、オーブンにもそのまま入れられて、直火にもかけられるから調理器としても活用可能。汚れもつきにくく、清潔。酸や塩分に強く、細菌が繁殖しにくいなど、素晴らしい利点を持ちますね。

機能性に富んだ素材の性質から生活する多くの人に活かされ、長く愛用され続けているホーロー製品。
そして暮らしに寄り添い生み出されたサイズで、やさしさと温もりのある佇まい。ひとつ持つと長く活用できる、そんなホーロー製品を作り続けているメーカーが野田琺瑯です。
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今回は昭和9年に創業し、80年以上琺瑯づくり一筋で歩み続けている野田琺瑯株式会社にお伺いし、野田琺瑯の歴史や琺瑯づくりについて教えていただきました。

琺瑯の歴史は古く、発祥は紀元前1300年ごろ古代エジプト時代にさかのぼります。実はあの有名なツタンカーメン王の黄金のマスクが現存の最古のホーロー製品と言われています。
琺瑯は鋼板を表し、そこにガラス質(ケイ素)の釉薬をかけて高温の窯で焼いたものを指し、鋼板加工→成形→前処理(洗浄)→釉薬→焼成という過程によって作られます。琺瑯特有のなめらかな表面は、土の中に含まれるケイ素質が焼き固まってガラス質になり、私たちに馴染みのある丸みを帯びた生地感が生み出されます。

野田琺瑯は創業当時は、キッチン用品中心ではなく東南アジア向け輸出用のお皿やコップ、ボウルなどを製造していました。 他には病院等で使用される衛生用品や理化学用品などをつくっており、当時は現在の事務所 東京江東区北砂の地に町工場があったのだそうです。
現在のラインナップで、創業時から販売されているのがホーロータンクとボールバッド、コーヒーポット。お湯を1滴2滴入れることができるコーヒーポット(ランブルポット)は、コーヒーに人一倍こだわる方ぴったりな優れもの。東京 銀座の名店「カフェ・ド・ランブル」の依頼で実現したポットで今も喫茶店などで愛用されている品だそうです。
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野田琺瑯のコーヒーポット
サイズは11cm 13cm カラーはレッド・ホワイト・キャメルの3種
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野田琺瑯の歴史とともにある、鮮やかなレトロ・ブルーのホーロータンク
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こちらは昔から医療用にも使われている洗面器や消毒器。現在もラインナップとして健在

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ホーローづくりは、まず最初に釉薬の付きをよくするため鉄の鋼板にある油汚れやサビ、ほこり等を落としていきます。次に”やっとこ”という鉄板を挟み込む道具を使い、ガラスと鉄を密着させるための下釉薬(黒い釉薬)に浸けて、均一にほどこした後、乾燥させて焼成炉に入れます。
焼成炉に入れたあとは、琺瑯がツヤのある黒色に。次に今度は上釉薬をほどこします。下釉薬と同じようにやっとこを使い釉薬に浸け、余分についた釉薬を遠心力をつかって素早く振りはらい均一にして焼成し、ガラス質でコーティングされた琺瑯が出来上がります。

愛らしいフォルムは職人技から

製品は曲線形状が多くなる程手がかかります。ポットの取っ手の部分は一枚の鋼板を折り曲げてつくるそうです。鋼板を曲げた際は空洞になった中に何もないときれいに曲がらないため、中に砂を入れて曲げていきます。砂は曲げるときだけに入っているもので、この取っ手のカーブはこのやり方でないと作れないもの。製品ひとつひとつに異なったつくりがあり、野田琺瑯のあの愛らしいフォルムは職人の熟練技術により作られています。

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コーヒーポットの取っ手部分。何度も調整しながらこのカーブが出来上がる
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釉薬が施される前に鋼版(鉄)で成形されたポットの状態 
パーツひとつひとつを溶接して形をつくり釉薬をかける
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釉薬は主に粘土と水を混ぜてブレンドし調整していく
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内側が青い理由は、お湯を沸かす頻度の多いものに耐久性のある釉薬をかけるからとのこと

職人がつくる乳白色の光沢

現在、栃木県にある野田琺瑯の工場では自動連続焼成炉を使用し焼成されています。以前は重油釜で2011年の東日本大震災をきっかけに重油が手に入りにくくなりガス釜に変更されたそうです。約850度の焼成炉は断熱レンガによってつくられたもので、焼成炉上部のハンガーに施釉した琺瑯製品が吊るされ、流れていきます。
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この窯の中で焼成帯にいるのは約4分程度で1つの琺瑯が焼成炉内にいるのは30分前後。徐熱、焼成、徐冷という行程を通り炉から出てくるときには、乳白色の光沢がある美しい琺瑯になるそうです。
職人によって美しく施釉し入念につくりあげたホーローですが、焼成後に製品として出せる状態にあがるものは様々な理由により全体の半分となってしまうことも。製造することの難しさが伺えます。それでも手をつくしつくり続けられている野田琺瑯の製品は、生活道具としての形に愛があり、使い手によって育つ製品だからこそ生まれると言えるのかもしれません。

日本らしい機能美

野田琺瑯製品でいちばんの人気シリーズは、琺瑯の製造を家業としている野田琺瑯に嫁いだ野田善子さんが手がけられたぬか漬け用容器「ぬか漬け美人」と保存容器「ホワイトシリーズ」。野田善子さんが、冷蔵庫の寸法をはかって、実際に使いごこちを試し製品化されたものだそうです。
ホワイトシリーズのふたはシール蓋と琺瑯蓋と密閉蓋の3つ(浅型・丸型は除く)。冷蔵保存をするときや直火にかけるとき、液体を保存するときなど、用途に合わせて選べるため、使い手が自分らしく使用することができます。
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野田琺瑯の良さは、食材の保存に適していること、作り置きに便利なこと、いつも冷蔵庫をシンプルに整理できること。日本らしい機能美の考え方が浮き彫りになっているように思えます。
自然に逆らわず、ていねいに生活することが見直されている今、まず始めることは野田琺瑯のような使い勝手の良い製品を出合うこと。そして使う楽しみを持つことが大切なように感じます。

「食」という生活の真ん中から暮らしを考えるとき、何気なく使える存在こそ、暮らしに変化をもたらしてくれるのかもしれません。

野田琺瑯

記事/REALJAPANPROJECT
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REALJAPANPROJECT
REALJAPANPROJECTは日本のものづくり・地域産業のブランドづくりをサポートするプロジェクト。
“日本のものづくりをもっと身近に”という想いから、2009年にプロジェクトを発足し、日本各地のものづくりの現場に足を運びながら、ものづくりの本質を未来へとつないでいきます。

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