
「野良」猫から「さくら」猫へ『厳しい現実からみえる人の温かさ』
「さくら耳」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
カットされた猫の耳先のことをこう呼びます。それでは、なんのためにそんなことをするのかご存じでしょうか?
さくら耳から考える、動物のことにすこし耳を傾けてみませんか。
1頭の母猫から子猫は6匹
1匹の母猫から出産される子猫は約6匹、生まれた子猫が成長してなんと半年後には出産可能な成猫になります。その子猫がまた母猫となり出産する…そんなことを繰り返し、1頭の母猫から1年間に生まれる子猫や孫猫の総数は、50頭以上にもなるのです。
生まれたばかりの子猫たちは「ミャーミャー」と泣き可愛いものの、増えていく一方で野良猫となり多くの問題も山積されています。
毎年8万頭もの猫が
この数字は何の数字でしょうか。これは6分に1匹の猫が毎年8万頭、殺処分されている数字です。増え続ける猫に対して人間の手が介入され、その命が失われていくのです。
そんな中、殺処分ゼロを目指し、この問題に対して根本的に解決しようと活動している「どうぶつ基金」という団体があります。
猫ボランティアさん(猫にえさをあげ、お世話している人)たちに協力してもらって、捕獲器で捕まえ、協力獣医さんに不妊去勢手術をしてもらって、元の場所に戻す活動をしています。そう、彼らは、さくらねこ無料不妊手術を行っています。
不妊手術済みの目印として、猫の耳先をカットします。これをさくらに似ていることから「さくら耳」と呼ばれ、不妊手術済みのしるしになっているのです。
なぜそんなしるしをつける必要があるのか、それはしるしがないと手術済みの猫がもう一度捕まえられて麻酔や開腹手術を2度される危険があるからなのです。
殺処分ゼロが見えてきた
どうぶつ基金がうまれた1988年当時の日本では、70万頭の犬と30万頭の猫、なんと合計約100万頭の犬や猫が殺処分されていました。どうぶつ基金では、そんな状況を改善して、人と犬や猫が殺処分なく幸せに共生できる世の中に変えるために、こつこつと見捨てられた犬や猫の保護と里親探しを行い、ねこの不妊手術が全国各地で行われてきました。
あれから28年、平成26年度の殺処分数は、10万1338頭にまで減少しました。なかなか減らなかった猫の殺処分数は7万9745頭となり、ついに10万頭を切っています。
当時は夢物語と笑われてきた「行政による犬や猫の殺処分ゼロ」の実現も、もう間も無くかもしれません。今では政府も「2020年オリンピックまでに殺処分ゼロ実現」を視野にプランを挙げているまでになったのです。
もし、道先で「さくら耳」の猫を見かけたら、きちんと避妊手術がされた猫なのだと、ちょっと違った視点で猫を見てあげられるかもしれません。わたしたち人間と動物も自然も、共存しあい、存在し続けたいから。人間ができる優しい手の差し伸べ方なのかもしれません。
文/gooddo
gooddoは、“社会貢献活動を日常にする”というコンセプトのもと、いつもの日常が無理なく社会貢献できる仕組みを作り、社会貢献を身近にしアクション出来るソーシャルグッドプラットフォームです。
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