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知るコト 2016.08.17

『オキナワグラフ』から知る、ガイドブックに載らない沖縄の姿

息をのむほど美しく透明な海、希少な動物が生息する島々、そして数々の名勝史跡と、独特な自然・文化が息づく沖縄県。訪れる人を魅了してやまない日本屈指の観光地ですが、これらばかりが沖縄の姿ではありません。
沖縄がまだアメリカの統治下だった1958年に産声を上げたご当地雑誌『オキナワグラフ』(新星出版発行)は、創刊から55年以上、写真を通して「沖縄の今」を伝え続けています。
毎号毎号、島人(しまんちゅ)目線で展開されるユニークな特集テーマは、この雑誌の見どころのひとつ。旅行者の方をはじめ、県外で暮らす人にはとても新鮮かつ斬新に映ることでしょう。地域に密着した雑誌だからこそ、ガイドブックにはあまり載ることのないリアルな沖縄の姿が見えてきます。

 

人気企画「オキナワ高校制服図鑑」

『オキナワグラフ』のユニークでインパクトの強い特集といえば、過去2回にわたって好評を博したという人気企画「オキナワ高校制服図鑑」(2013年6月号)。数々の著名人を世の中に輩出している沖縄県ですから、「あの歌手の出身校はあるかしら?」「学校の名前は聞いたことあるけれど、こんな制服だったのね」、なんてミーハー心で読んでみるのも楽しいかもしれません。
図1

地域の高校生と距離を置かずに歩み寄るのが沖縄らしさ。この特集を「地域でも制服姿を見ると親しみを感じ、挨拶を交わす。制服は卒業生と地域社会との架け橋だ」と締めくくっていることからも、老若男女わけ隔てなく人との関わり合いを楽しむ島人の人懐っこさがうかがえます。「オキナワ高校制服図鑑」は、人と人との距離が近い沖縄だからこその企画なのではないでしょうか。

 

沖縄と猫の切っても切れない密接な関係にクローズアップ

地域に密着した雑誌ならではの身近な特集も必見です。例えば「島に生きる猫」(2015年8月号)。
図2
那覇市の平和通り近辺に生息するたくさんの猫たち。その多くの猫たちは、野良猫でもなく、誰からに飼われているわけでもなく、『地域猫』と呼ばれて地元の人たちが共同で世話をしている猫なのです。
かつては地域の悩みの種であった野良猫。しかし、いつのまにか近隣で暮らす人や商売をする人が自発的に面倒を見るようになりました。中にはメディアで取り上げられるほどの有名な看板猫もいて、地方からわざわざ彼らに会いに来るファンがいるほど人気なのだとか。
図3

そして、そんな微笑ましい話題だけで終わらせないのが『オキナワグラフ』の凄い所。
昔の沖縄では死んだ猫を木から吊るす習慣があったことや、ぜんそくの薬として食用にしていたことなど、猫にまつわるかつての文化や風習も紹介されています。また、捨てられたペットがヤンバル(沖縄本島北部)で野生化した「ノネコ」が沖縄の野生動物の生態系を脅かしているという深刻な問題にも迫っています。
「島に生きる猫」という一つのテーマをここまで多角的に捉えられるのは、地域の取り組みや抱えている問題にしっかり向き合っているご当地雑誌だからこそできることなのかもしれません。

 

沖縄県民をひとつにする「白球への情熱」

過去の誌面に幾度となく取り上げられてきた、沖縄県民の心をひとつにする一大イベント「高校野球」の特集も注目です(2016年3月号)。
図4
今となっては高校野球強豪県として名高い沖縄ですが、県内初の高校野球大会が開催されたのは終戦翌年のこと。当時は木を削って自作したバットやテント生地で作ったグローブ、米軍の持ち込んだソフトボールを使って野球をしていたというエピソードも語られており、沖縄の人々の野球に対する深い情熱を知ることができます。
興南高校がベスト4まで勝ち進んだ1968年の第50回大会の時には、県内の会社もバスも一時休業して試合の応援に熱中。道行く人の姿も消えたと言われるほどの熱気と盛り上がりが記録されています。
図5

また、2015年に新たに誕生した沖縄県内で最も若い野球部の挑戦もフォーカスされており、強豪・新興を問わない球児たちへの県民の関心の高さが感じられます。
沖縄の高校野球がここまでの強豪となっている要因、それは選手・指導者の努力、練習の工夫などももちろんですが、地域の人々みんなが気持ちを一つにして「がんばれ!」と応援する情熱があるのではないでしょうか。

 

ガイドブックで紹介されるような絶景スポットや世界遺産のような観光地ももちろん魅力的ですが、リアルな沖縄の姿を知ることも、島人との距離がぐっと縮まるきっかけになるかもしれません。
ジャンルにとらわれず、「沖縄の今」を伝える『オキナワグラフ』の特集には「沖縄のことをもっと知りたい!」と思わせてくれる面白さがあります。
p-cover [2230068]オキナワグラフ
発行:新星出版

記事/たびのたね
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