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取材 2016.08.31

100人100色ー犬との暮らしでHAPPYを伝えるトリマーー酒匂佑季子さんのお話し

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それぞれの立場、個々の考え方によって「働く」ことへのスタンスは異なります。正解なんてありません。

「100人100色」では、100人の「働く女性」に登場いただき、等身大の姿を語っていただきます。
年齢、環境、キャリア全ての背景が異なる人たちの100とおりの『想いや生き方』の中に、きっとあなた自身にとってのヒントが見えてくるはずです。

今日は新宿にお住まいの酒匂佑季子(サコウユキコ)さん(35)をご紹介。
犬の話になると子どものように目をキラキラ輝かせながらも「トリミング中は刃物を扱いますし、触れさせていただくのはお客様の大切な家族であり命なのでとても集中します」とキリッとした表情に切り替わる姿に目が離せなくなりました。そんな彼女の仕事観とプライベートのお話を伺いました。

 

これまでのキャリア、現在の仕事内容を教えてください。

警視庁女性警察官から一転、ペットトリマーとなりました。
動物・ペットの専門学校で専任講師を8年勤めた後、30歳の時に出張トリミング&トレーニング「犬のMIRAI」として独立しました。 今は、出張トリミング、トレーニングの他にも記事の執筆やセミナー、撮影のお仕事もさせていただいています。

また、3年前に保護犬のチワワを家族に迎えたことからチャリティ活動を始めました。
具体的には、里親譲渡会で行うチャリティートリミングでの寄付、チャリティーパーティー、チャリティーソング等を通して犬を飼うことから得られるHAPPYを伝えることで不幸な犬をなくそうという啓蒙活動を行っています。
日々イヌバカです。

プレゼンテーション1
‣愛犬の茶茶とのお食事タイム

 

これまでにぶつかった壁はありますか?そしてどう乗り越えましたか?

壁というと独立したてで、まだ「出張トリミング」が世間に今以上に知られていない時の、ど貧乏生活が一番苦しかったですね。

電気・ガス・水道は止まるし、食事も1日一食。100円ローソンが神に感じられました。
アメリカでは「house call grooming」と検索すると沢山出るのに日本では全然…。 身内や周りの人からも「仕事になるわけないからやめろ」と誰一人応援してくれる人はいませんでした。

それでも「出張トリミングは絶対に犬に良いんだ!」という気持ちと、残念なことに他の仕事にはなかなか興味が湧かなかったので「これしかない!」という気持ちでやり続けてこれました。

 

一番忘れられない仕事のエピソードをお聞かせください。

私が他のトリマーさんたちと少し違うのは、シニア犬やハンディを抱えている犬たちのトリミングを積極的に行っていることだと思います。
中でも、とあるシーズーのねねちゃんは、私がこの仕事を続ける理由を教えてくれました。
ねねちゃんはステロイド点滴が欠かせない重い病気を患っており、目に腫瘍も抱えた16歳の高齢犬でした。
「毛玉はとかしてあげられます。シャンプーも頑張ります。でも、目の前の毛は怖くて切ってあげられない。それでもこの子の毛は伸び続けるんです」
とオーナー様の涙ながらの訴えを聞いて、毎月ねねちゃんのケアに通ったんです。
少しでも健康な頃と同じように、可愛らしく、ケアがしやすいようにと想う一心で。

そのうち毛のツヤを取り戻してきたねねちゃん。ワンちゃんの毛の状態は精神状態を映しだすもの。
ツヤツヤの毛は「今、とっても幸せ」という、ねねちゃんの気持ちそのものだということをオーナー様に伝えました。

その1か月後に天国に旅立ったねねちゃん。
「奇麗にしていただいたばかりだったから、今静かに眠るねねは、とっても美人さんです。
最後にねねが幸せだったと教えてくださったこと。本当にありがたかったです。酒匂さんの言葉がなかったら、私は今横たわるねねに謝ってばかりいたかもしれません。おかげで、ねねにたくさんのありがとうが言えます」
とオーナー様からメッセージをいただき、私も涙が止まりませんでした。

ねねちゃんとの出会いが今でも忘れられません。そしてこの出来事が今の私のスタンスを作ってくれています。
そんなねねちゃんのお宅では最近新しいワンちゃんを迎えたため、またお付き合いがスタートしたことをとても嬉しく思っています。

 

 

これからチャレンジしたいことは何ですか?

トリマーさんが出している本ってなかなかないので、そのうち本を出したいですね。子供たちにも読んでもらえて、トリマーという仕事を知ってもらえるようなワンちゃんのエピソードをたくさん載せた本を出したいです。
また、殺処分を減らすことには正しい犬の飼い方を知ってもらうことがとても大切だと思ってます。
現実から目を背ける気はありませんが、あまりに残酷だったり悲しい殺処分の映像は私も見ることができないので、なるべくそういった現状は数字などのデータで知ってもらうことが必要かなというのが個人的な意見です。
ほかにも訴えていきたいのは「犬は専用のご飯にお勉強、運動、お手入れが必要でお金もかかる」だけど「それ以上に犬と暮らすということはHAPPYを与えてくれるんだよ!」ということ。その為にはオーナーさん向けの講演やセミナー、様々な媒体で発信していけたらと思っています。

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‣ワンちゃんがもたらしてくれる『Happiness』を発信していく酒匂さん

 

今後、酒匂さんがありたい姿を教えてください。

常に前向きでいたいですね。人生は一回しかないし限られている時間なので。
嫌なことが起きた時は、この先に良いことが待ち受けているサイン。そう思えるように無理やりでもこじつけでも良いように考える癖をつけています。
不思議なことにそう思っていると本当にそうなるんです!
また、何事も責任は自分にあると思うようにしていると楽になるし、「ま、しょうがないっか!」と次に進めます。
昔は「誰のせい。むかつく!!」とか考えていたので自分を省みることができなかったんですが、被害者気分でいるだけだと何も学びがないなという点と、人と人の関係に100対0って殆どないなぁ、と気付いてからは何でも自己責任!と自己完結できるようになりました。
そうすると次に活かせるんです。あとは、素敵だなと思う人って、「今と未来」の話をされているんです。
「今を楽しみ過去にすがらない生き方」を私も意識していきたいと思ってます。

 

息抜きやストレス発散の方法を教えてください。

眠りに落ちる前の時間が一番の幸せですね。あとは美味しいご飯を食べている時。
ストレスはあまりたまらないのですが、たまによくわからないもやもやがあると一人ベランダで泣いてスッキリしたりすることもあります。ベランダから沢山の部屋の明かりが見えるとみんな頑張ってるんだもんなぁ、と楽に考えられます。

 

人生で一番大切にしていることはなんですか?

愛犬のチワワの茶茶が一番大切ですね。
元々保護犬で命を救われて私を家族に選んでくれた。そんな茶茶を幸せにしたいというのはおこがましくて、私が幸せにしてもらってます。そんな小さな家族が私にとっての宝物です。
あとは、いつも助けてくれている沢山の人達、置かれている環境への感謝です。一人では何もできませんから。

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‣お客様のワンちゃんと笑顔が素敵な酒匂さん

 

酒匂さんにとって「働く」こととはなんですか?

幼い頃からそばにいてくれた犬。
そして人といるよりも自然体で居ることのできる「犬たちへの恩返し」そして「誰かに必要とされること」これが私にとっての働くということ、プラス生きる意味です。
私は、フリーランスなので自由に楽しそうなことを、周りの方々に助けていただきながらやらせてもらってます。
とても恵まれていると思うので日々日々感謝しながら楽しく働かせていただいてます。
自由には責任が付きものですし、「楽しい=ラク」ではないのですが、それを踏まえた上でも今が一番自分らしくいられると思います。

 

人も犬も限りある命。いつ何が起こるかわからない。毎日愛犬とともに生きられることへの感謝が人一倍深い酒匂さん。そんな彼女の大きな愛にこれからどれだけの人と犬が包み込まれ、幸せになっていくのでしょうか。想像するだけでこちらも幸せな気持ちになり、顔が緩みます。

取材・記事/
いろんな女性の働く・暮らすを知ること 『100人100色』は、SAISON CHIENOWAとケノコトの共同記事です。

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