
昔ながらの佇まいに心が動き、惹きつけられる『溝の口の街あるき』
目次
溝の口は「溝の口駅」と「武蔵溝の口駅」が隣接。東急田園都市線、大井町線、JR南武線の3つの路線が走っており、渋谷から15分とアクセスしやすい街です。
近年では再開発が進んでおり、駅前には商業施設が多く立ち並び、スーパーから服飾店、飲食店と何でも揃うので買い物には困らなさそうです。しかし、少し歩くと落ち着いた住宅が立ち並びます。
そんな街で見つけた昭和の雰囲気が色濃く残るお店や人をご紹介致します。
昭和の趣が残るディープな商店街
駅を出て、南武線の線路沿いでは「溝の口西口商店街」という看板が人々をお出迎えしてくれました。
東京の街に商店街は多いものの、トタン屋根のアーケードがある商店街はどれくらいあるでしょうか。
‣むき出しのボイラーやこじんまりとしたポスト。これはロケのセットではなく、本物。
「今日は祝日だからね。八百屋さんはお休みなのよ~」と教えてくれたのはお団子屋さんのおばちゃんです。
小腹が空いたのでみたらし団子を購入。店の前にある木のベンチに腰掛けお団子をパクリ。あったかい!!!!
‣ほんのり温かく、もっちり柔らかい。香ばしい香りが鼻から抜ける。美味。
思わず立ち上がり、おばちゃんに「あったかくて美味しいです!今焼いたんですか?」と尋ねると、「様子を見ながら焼いているのよ」とニコニコと答えてくれました。
お団子を食べながらおばちゃんはこのお店も、商店街も戦後から続いていることや、飲み屋さんのことなど教えてくれました。
美味しいお団子と柔らかい笑顔のおばちゃんとのおしゃべりで少し肌寒い日だったけど、心がほっこり。‣御餅菓子処『玉川堂』
道端で交わす目と目のコミュニケーション
しとしとと雨が降っているものの、多くの人が街を行き交います。
中には駅前のショッピングセンターに買い物に行くカップル、スーパーに買い物にきた親子、これから買い物にいくおばあちゃん。
ファッショナブルな建物が多いのにどこか懐かしさを感じるのはなんでだろう。と、街を歩いていると細い路地が。
‣道の入り口には小さなポールがちょこんとあるので車は通れないようになっていました。
こういう細い路地の先には何があるんだろうとワクワク。進まずにはいられません。 突き進んでみると大きな道に出ました。なるほど。
しばらく歩いているとまた細い路地が。今度はどこに出るのでしょうか?ワクワク。
あれ、この建物、どこかでみたような…。ついさっき通った道でした。
狭いとすれ違うときにお互い気を遣ってぺこっと会釈。会話はないけどこの感じ、なんだか安心感があります。
細い路地と同じくらい多いのがY字路。
‣Y字になっているところにたつ建物は家だったりお店だったり。
こうやって碁盤の目のように完全に整備されておらず、細い路地やY字路が最初に感じた懐かしさにつながるのでしょう。
地元民から愛されてる。他では味わえないおはぎ
またもや和菓子屋さんを発見。こちらのお店はおはぎやどらやき、羊羹などバラエティに富んだラインナップです。
川崎名産品にも認定されている「かりんとまんじゅう」と「おはぎ(赤しそ)」を購入しました。
‣サクッカリッの食感がやみつきになるかりんとまんじゅう。包装に内側には美味しい食べ方が記されていました。こういう心遣いに心があったまります。
おはぎと言えば、あんこ・きな粉・黒ゴマの3種だと思っていましたが、ほのかに酸味と塩気がある赤しそで包んだ「赤しそ」に「玄米おはぎ」と珍しいおはぎがありました。
‣お彼岸シーズンの期間限定ものではなく、普段からあるそうです。
オススメはずんだのおはぎ。ずんだのお団子とは異なり、だだ茶豆を使っているとのこと。今日は終わってしまったので食べられませんでした…。残念!
駅前で買い物を終え、家路をたどる人でしょうか。お店にはたくさんお客さんがやってきました。
豊富で他とは一味ちがう種類や美味しさもあると思いますが、お客さんとお店の方のやり取りからも、多くの地元民から愛されいる理由を感じ取れます。
‣創業から60年以上この場所に店を構えている。和菓子処『みよしの』
ルーティンワークさを1㎜も感じさせない接客
先ほどの和菓子屋さんから少し歩いたところにある文具店。
すぐ近くにも大きな文具店がありましたが、こちらのお店にお邪魔しました。
お客さんがまじまじとシャーペンコーナーを見ていると「シャーペンの芯をお探しですか?」と店主のおじいちゃんが声を掛けていました。
レジに並び、前の人のお会計が終わるの待っていること数分。自分の番になったらおじいちゃんが「待たせちゃって悪かったねぇ」と。とんでもない!!たいして待っていないため、謝られて少し恐縮な気持ちがあったものの、心地よさも感じました。
普段聞いている機械的な「お待たせ致しました」ではないからだと思います。
そんなおじいちゃんと会計後にちょっと小話をしました。
以前は高津小の近くで50年ぐらい店をやっていて、こちらに移ってから50年ほど経ったとか。1世紀近くお店が続くだなんてなんとも感慨深いです…。
温かい声掛けや気持ちのこもったおもてなしがあるこのお店が、これからも長く続くことを願いながら店を後にしました。
初めてでも緊張しない!昔懐かしさ満載の居酒屋で弾む会話とお酒
しとしと降っていた雨が止んだ夕刻。最初にお団子を食べた商店街に戻ってきました。
すると、お昼頃は人影も明かりもなかったお店が賑わっていました。
店先で「おねぇさぁ~ん!!」と手を挙げ、元気よく呼ぶおじさん。立ち飲み居酒屋です。
とは言え、店内にテーブル席もあります。
その方の隣に行ってオススメを聞いてみたら、別のご常連さんを紹介してくれました。
隣のテーブルで一人で飲んでるこの方。月に何度か来るそうで、サワーの他にオススメしてもらった焼き鳥5本セットと大根と巾着のおでんを注文しました。
紙に自分で料理を書いて注文すると10円引きになるそう。ただし、おでんは1コ50円と激安なのでさすがに対象外でした。
そしてそして外飲みの最大の特権!それはファーストドリンクがなんと100円!!限られたものになりますが、生ビールもハイボールもサワーも日本酒もあります!
初対面のおじさんとの会話が弾み、彼のオススメの2軒目にいこう!という流れになりました。しかし、そのお店はお休み…。残念でなりません。
初めて立ち飲みをし、初めて見ず知らずの隣の人とお酒を酌み交わしました。それでも緊張しなかったのは、ワイワイとあちらこちらで楽しい会話が聞こえる空気感のおかげです。
気持ちが高揚し、楽しい時間を過ごしました。
再開発が進んでいる地ではありますが、真新しいものばかりではなく、古くから残る道や建物に「懐かしさ」を感じたおさんぽ。
訪れる時間帯によって味わいが異なるのもこの街の面白さのひとつ。もっといろんな顔を見てみたいと思いました。
文・撮影/ケノコト編集部
このカテゴリの記事

【七十二侯のコト】第五侯「霞始靆」

専門家に聞きました~『産後の骨盤矯正・骨盤ケア』について~

はじめてのナチュラルフード『毎日を丁寧に暮らす』

カラダが喜ぶ効果がたくさん。だから食べたい『もち麦生活はじめませんか?...
関連記事

血行促進で手軽にほっそり『二の腕やせリンパマッサージ』...

ゆったり時間と大自然『ときどき田舎暮らし』はじめませんか?...

日本の風土にあった天然素材『素足で過ごしたい畳のある生活とお手入れ法』...

植物や鉱物をそのままキューブに閉じ込めた、立体標本『宙-sola cu...

体験レポート『まなぶゲーム?ワンダードリルに夢中になる訳』...

コメント