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ケノコト独自の視点から、様々な人や場所、物を取材して、WEBをはじめとする色々な場所で公開します。

取材 2016.12.17

100人100色―「この軌跡が自分や会社の資産になれば」母になった今、記者として進化を続ける女性ー堀越千代さんのお話し

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それぞれの立場、個々の考え方によって「働く」ことへのスタンスは異なります。正解なんてありません。
「100人100色」では、100人の「働く女性」に登場いただき、等身大の姿を語っていただきます。
年齢、環境、キャリア全ての背景が異なる人たちの100とおりの『想いや生き方』の中に、きっとあなた自身にとってのヒントが見えてくるはずです。

今回は、ご自身も子育てをしながら、子育て中の女性向けの媒体『ハレタル』を運営している堀越千代さん(40)をご紹介します。
「女性活躍」が推進される時代にお母さんとして働くということや、「メディアとは何か」について、『ハレタル』を立ち上げて運営しながら日々向き合っているそうです。彼女にこれまでや現在の経歴について、そしてきっと晴れたる今後について、たっぷりとお話しいただきました。

―これまでのキャリアや現在の仕事内容を教えてください。

新卒で入った会社は新聞社系の出版社。6年間で2つの雑誌を経験しました。
30歳を前に別の世界を見たくなって異業種に転職しましたが、1年ほどでやっぱり雑誌の仕事に戻りたくなって、東洋経済新報社に入りました。
最初の会社も今の会社も、記者が編集者も兼ねて雑誌を作ります。私はこのスタイルが大好きで、『週刊東洋経済』でいろいろな特集を作ってきました。

今からちょうど2年前に、「新しい媒体を作れ」という命がふってきました。
私は今までのように、大好きな雑誌を作る仕事を続けたかったのですが、業界としても、私自身の働き方としても、「このままじゃいけない」という気持ちはどこかにあって、「ふってきた仕事」だけれど何とかやってみようと思いました。

この時代に「新媒体」というのは、思っていた以上にとっても難しい仕事で、
「メディア」って何だろう? 「情報」って何だろう?
ということを根本から考えるような場面が何度もありました。

紆余曲折を経て、2016年7月にようやくオープンしたのが『ハレタル』です。
『ハレタル』は子育て中の女性に向けた媒体で、彼女たちの「何かしたい」「一歩踏み出したい」という気持ちを応援するものです。
Webメディアというわけではなく、コンセプトマガジン(紙媒体、フリーマガジンです)やイベントなど、多面的な展開でファンを作っていきたいと考えています。

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▶︎9月に開催したハレタルのイベント

自分も子どもを持ったタイミングで、世間が「女性活躍推進」云々に騒がしくなりはじめたのだけど、その文脈に納得できないことがたくさんありました。
世の流れにそのまま乗っかるんじゃなくて、もっと女性たち自身の声を聞いてみようと思ったんです。2年間ひたすら、働いている人も働いていない人も含めた、子育て中の女性たちと会って話を聞いてきました。
イベントのお手伝いをしたり、手配りでアンケートをとったり、ほぼ個人活動の日々でした。

そうやってわかったのは、子育て中の女性が「お母さんである」という大前提を踏まえないまま、既存の社会に合わせていったら、絶対におかしくなるということ。
「子どもともっと一緒にいたい」とか「子育てを優先させたい」という気持ちは、いくら「女性活躍」が推進されても絶対に無くならない。「お母さんである」という前提を踏まえたうえで、それでも女性が活躍できる社会をこれから作っていかなければいけません。『ハレタル』にはそんな思いを込めています。

オープンから数ヵ月。目の前には課題がてんこ盛りで、進むべき確かな道もわからないままやっていますが、この軌跡が自分や会社の資産になればいいなと思っています。

―これまでで一番忘れられない仕事のエピソードをお聞かせください

「ハレタル」の立ち上げにあたって、媒体名を公募したときのことです。
子育て中心の毎日を送っていると、どうしても視野が狭くなってしまいます。
でもちょっとだけ視線を上げてみると、そこにはまったく違う世界が広がっていて、外への第一歩を踏み出したくなる―。構想の段階から、新媒体ではこんな提案をしていきたいと考えていて、自分の中にもそのイメージが「画像」としてありました。

媒体のコンセプトを説明して、媒体名を募集すると1112件もの提案が集まりました。その中にあったのが「ハレタル」です。
提案文にはこう書いてありました。
「日本語的な言葉でしっくり感も交えながら、『明日晴れたる』をカタカナにして覚えやすいキーワードにしました。未来への希望をいつでも持ち続けてほしいという願いを込めています」。

明日晴れたる――。
いつもより少し視線を上げて、外に目を向けてみると、そこには新しい世界が広がっているはず。明るい日差しが降り注ぐ明るい未来が広がっているはず。
「明日晴れたる」という言葉は、まさにそのイメージを言語化してくれていると、運命的なものを感じました。
会ったこともないのに、提案くださった方が同じイメージを思い描いていたということにも本当に驚きました。

―日課、習慣にしていることはありますか?

日課は『ハレタル』Webサイトのトップページに掲載する「本日のつぶやき」を考えること。
特に笑いを狙っているわけではないけれど、主義主張なく不特定多数の読者にとっての利害がないよう「差し支えのないどうでもいいこと」をつぶやかなければいけないので、意外と難しいんです。今までの「ヒット作」は3本くらい。本当に難しいです。

子どもができてからは「本を読む時間」を意識的に作らないと読めないので、あえて自分で「習慣」にしています。
もっぱら夜中です。ジャンルは何でも。月5~8冊くらい読んでいます。
本からインプットしたことは、そのまますぐに使える情報ではないのだけど、脳みその下のほうにたまっていって、自分の思考を下支えする基盤を作るものだと思っています。

―これからチャレンジしたいことはありますか?

『ハレタル』では、子育てや暮らしを優先させながらも、素敵な仕事をしている女性をたくさん取材してきました。
私もいつかはあんなふうに仕事したいと思っているのですが、遠い道のりです。
いま多くの子育て中の女性は「働くか」「働かないか」、0か100かを選ばざるをえないのだけど、30、40、あるいは80くらいのパワーで働くということがどんどん広がっていけばいいと思っています。
私もできれば、40くらいにしたいのだけど、そう思いつつも、そしてそう発信しつつも、結局ずるずると120くらいで働いています。
朝の子どもの様子をみて「なんか甘えたそうだな」と思ったら、その日は「ゆっくり昼から仕事しよう」とコントロールできるようになりたいなと思っています。会社員でもそういうことができればいいですよね。

―あなたにとって「働く」こととはなんですか?

…深遠すぎて一言では語り尽くせません。
少し先を見据えて言うならば、ワークライフバランスという言葉は「ワーク」と「ライフ」が別物であることが前提なのですが、「お母さんであることを前提として女性が活躍できる社会」は、ワークとライフはもっとシームレスにならないといけないと思っています。
働くことも食べることも寝ることも遊ぶこともすべて一つの生活の中にあるはずです。私にとって「働く」ことの理想はそんなスタイルです。

―今後、あなたがありたい姿と、そのために行っていることがあれば教えてください

「コンテンツホルダー」になりたいです。
私はずっと、取材をして情報を集めて記事を書くという方法で発信をしてきました。でも、今のように誰もが「発信者」になれる時代においては、自分自身が情報・コンテンツである人こそ強いなと思うようになりました。
たくさん知識を持っている人というよりも、その人独自のスタイルや考え方自体がコンテンツになる人。編集者・記者の次はこういう人になりたいと思っています。

―自分の人生で一番大切にしていることはなんですか?

自分の目で見て、耳で聞くこと。
記者なので机上であれこれ言っていても、取材しなければ信用できません。自分の目で見に行くと、そこで見たものだけでなく、その場の空気、におい、光など五感で感じるものすべての情報が合わさって、初めて納得がいくんです。
人の話だって、その人の話し方や表情も合わせて聞かなければ本当に理解できません。
インターネットにつなげばあらゆる情報が手に入るようになった今だからこそ、こういうアナログな部分は大切にしたいと思っています。

―働いている時の貴方を「色」に喩えると?その理由は?

すかせばいろいろな色が見えるけれど、自分自身は透過率100%の透明。色に例えるのは難しいです。
周りからあれこれ言われてもそれに染まることなく、常にニュートラルでいたいと思っているので、そういう意味では白。
でも決して「無」なのではなく、いろいろなことをどんどん取り入れていきたいです。いろいろな色を取り入れていくと茶色になってしまうので、だからやっぱり透過性は大事。
自分はしっかりと立っているつもりなので、実体がない透明人間なわけじゃなくて、ガラス板のようなイメージです。

―これまでにぶつかった壁はありますか?そしてどう乗り越えましたか?

まさに今、壁です。「メディア」とか「情報」とかの持つ意味がめまぐるしい勢いで変化している中で、そのまっただ中に身を置いている自分の仕事はいったい何なのか。
ここ数年は毎日自問自答しています。
もがき続けているのだけれど、決して本質を見失ってはいけないと思っていて、それだけが今の自分のより所です。

―あなたなりの息抜きやストレス発散の方法を教えてください。

月並みですが、子どものことが大好きで大好きで。仕事から帰って子どもに会うだけで1日のストレスが消えていきます。

―あなたの生活の中でのこだわりや、お気に入りがあれば教えてください

自宅マンションの隣にすてきなカフェがあります。「明日から仕事」という休日の夕方、このお店のカウンターに家族3人で並んで座り、コーヒーをすすりながら、仲良しのオーナーご夫妻とダラダラおしゃべりしている時間がなんともいえず気に入っています。

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▶︎お気に入りのカフェにて

といっても決してヒマなお店ではないので、そんなのんびりタイムはなかなかご一緒できないのですが。

―幸せだと思う時間や瞬間はどんなときですか?

これまで取材でたくさんの人に会って話を聞いてきたので、「何を幸せと感じるかは人それぞれである」ということは、きちんと理解しているつもりでいました。
でも、ハレタルの仕事を始めてから、自分と同じ女性、しかも、子育てをしているお母さんたちと話をする機会が増え、人生における価値観について考えることが多くなりました。それでやっと「何を幸せと感じるかは人それぞれである」という言葉の意味がすとんと腑に落ちました。いろいろな女性たちのこれまでのこと、そのときどきの思いを聞いていると、その人の「今」はその人がこれまで生きてきた中で選択してきたことの積み重ねであるということが目に見えるようになってきました。自分もまた然りです。

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▶︎10月に開催したハレタルのワークショップで

今の私は、これまで私が選択してきたことの積み重ねである。だから、私の価値観をいちばんぴったりと具現化しているのが私の「今」である。つまり、それが「幸せ」ということなんじゃないかと思うようになりました。
だから、「今」という瞬間がいつも幸せなんですよね。
「もっとおしゃれな人になりたいなあ」と思ったりもするけれど、私は「ちょっとダサくて『もっとおしゃれな人になりたいなあ』と思っている人」でしかない。だったら、そんな自分を受け入れる。そうすると、なんだか幸せに思えてくるんです。
こうやって自分の「幸せ」に気づけること、またこういうことにふと気づく瞬間、それも幸せな時間です。

————————————

お母さんとなって新媒体を立ち上げ、さらに多くの人と関わるようになった堀越さん。お母さんとしての働き方について、これからのメディアについて、そして自分自身について、“答え”や“進化”を求める姿は、とってもパワフルに感じられました。
ご自身を色に例えるときに、「ガラス板」と、色だけではなく材質までイメージする発想豊かな彼女。きっとこれからも多くの人から影響を受け、そして影響を与えて、ご自身も『ハレタル』も進化し続けるのでしょう。

 
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いろんな女性の働く・暮らすを知ること 『100人100色』は、SAISON CHIENOWAとケノコトの共同記事です。

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