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新しいコト 2016.12.18

野菜色のクレヨンで『地域を活性化する仕事のコト』

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誰もが子どもの頃に使ったクレヨン。
一般的なクレヨンは油と顔料からできていますが、米と野菜で作られているクレヨンがあるのをご存知でしょうか。それは青森県のmizuiroという会社から販売されている「おやさいクレヨン」です。
そんなおやさいクレヨンを生み出したのは、小さい子を抱えて働くママからでした。
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見た目は普通のクレヨンと変わらない。ただ、色の名前が「あか」ではなく「りんご」、「みどり」ではなく「きゃべつ」。原材料は廃棄される米ぬかから取れた米油とライスワックスがベースで、それに規格外の野菜や外葉などが使われている。小さな子どもが口に入れてしまっても安心なものばかりだ。

材料の野菜は青森産。もともと地域の産業振興に一役買おうと、県内の原料生産を組み込んだ一環型のデザイナーズブランド商品を開発することを目的としてはじめた事業だ。当初の事務所は、青森駅前の閉館した映画館を再生したクリエイティブハブのチケット売場だった。

子育てのために独立

おやさいクレヨンを生み出したのは、mizuiro代表の木村尚子さん(37)。木村さんは、もともと青森県でデザイナーとして勤務しながら子育てをしていた。転機となったのは2012年。日々成長する子どもと一緒に過ごす時間を大切にしたいと、時間を調整しやすいはたらき方を求めて独立した。

とにかく仕事がなければ生活が成り立たないと、意を決して苦手な営業に出かけた。多くの人と知り合う中で県の助成事業を紹介され、応募することに。その中で「天然色素を使った文具の開発」の提案が採択されて、2人の雇用を条件に開発費用の助成が始まった。

スタッフ2人を雇い、プロジェクトが始まったのは2013年7月。この段階ではまだ具体的なことが決まっていなかったが、翌年の3月には新商品を発表しなければならない。木村さんとスタッフ、3人での試行錯誤が始まった。

迷いながらも多忙な毎日

プロジェクトのスタートから2カ月後、子どもが使っても安全な野菜色のクレヨンを作ることに決めた。木村さん自身もスタッフも子育て中だったこと、スタッフの一人が文具メーカーに勤めた経験があったことがおやさいクレヨンにつながったという。
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方向性が決まれば、次は製造。協力してくれる工場も自分たちで探さなければならないが、目星をつけ最初に電話した会社がその場で快諾してくれた。「ラッキーでした。同年代の工場長が話を聞いてくれ、面白いと感じてくださったようです」(木村さん)。

野菜を粉にしてくれる業者は、県庁の職員が紹介してくれた。やまいも粉の製造会社だったが、社長が「孫に野菜を食べさせたい」と個人的にさまざまな野菜粉を作っていて、何十種類ものサンプルがあった。こうして最初の10色が決まったのは、2013年12月。新製品発表の期限まで3カ月だった。

デザイナーの仕事と並行しておやさいクレヨンの準備を進めた9カ月間は、本当にこれでよかったのかと迷うことばかりだったという。けれど「自分で決めて走り始めたのだから、引き返すという選択肢はありませんでした」(木村さん)。

機会は誰にでも平等にある

初めておやさいクレヨンをお披露目したのは、2014年2月、東京で開催されたギフトショーだった。かなりの注目を集め、初日の午前中だけで用意した150枚の名刺が全部なくなった。結局、3日間で1500名のバイヤーとやり取りし、青森へ戻ってからも電話が鳴りやまないほどだったという。

実はこのとき、テレビニュースやビジネス系のメディアに取り上げられていて、木村さんの知らないところでおやさいクレヨンの存在はどんどん広まっていたのだ。初回ロットの卸先は2週間ですべて決まり、増産をかけるまでになった。

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mizuiroのオフィス

振り返ってみて、どの時点の自分が今につながっていると感じるかと聞くと、木村さんは「2012年の会社を辞めたときの自分」と即答。「子どもを抱えて、一人でこの決断をしたときは、眠れないほど怖かった」と振り返る。

でも、「子どもが小さい時間は今しかない。どっちを取るか。自分が苦労してでも、はたらきやすい生き方を選択するほうがいいと思いました。やるしかない、それだけでした」という。

開発から約3年、木村さんの個人事業は会社組織になり、2016年7月には青森駅前に店舗兼事務所を構えた。今、会社のスタッフは木村さんを入れて7人。娘さんが放課後に事務所に立ち寄って箱詰めを手伝ったり、スタッフが子どもを連れて仕事をすることもあるという。

「子どもを育てながら仕事をすることは、きっとすべての女性の悩みだと思います。今後は企業側として、そうした女性たちを支えたい」と木村さん。機会は誰にでも平等にある。利用できるものはすべて使って、うまくいったら返していけばいいのでは、と話してくれた。

文/津田 麻紀子

記事/ハレタル
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