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家のコト 2016.12.27

やっぱり、お母さんが。『お母さんの力で子どもは変わる』

「ねぇ、ママ!ママってばー!」
「おかぁさーん!おかぁさーん!」
何度も何度も呼ばれると、はいはい何ですか、お母さんも疲れちゃったからそんなに何度も呼ばないでよ…
当たり前のような毎日が続くと、ふと身近な幸せが見えずらくなることがあります。
でも、やっぱり必要なのは、お母さん。
子どもの記憶に残って欲しいのは、笑顔のお母さん。
笑顔のお母さんでいるために、お母さんもパワーチャージしましょうね。
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(Photo by MARIA)

人生なんて自分の思いどおりにならないことが山ほどある。

50年も生きていると、自分だけじゃなく友人にもいろいろいる。理想的な結婚をしたはずなのに、DVに遭って別れた友人もいれば、夫の借金で別れた友人もいる。また、専業主婦になったにもかかわらず、夫の会社が倒産して一家を支えなければいけなくなった女性もいれば、夫に先立たれて必死ではたらかなければならなくなったメンバーもいる。

子どもだっていつまでも素直で言うことを聞くわけじゃない。非行に走ったり、家出したり、親が考えてもみなかったような恋愛をしたり、希望どおりの会社に就職したのに会社を辞めたり、引きこもりになったりと、さまざまなことが起こる。

私は、そんな女性たちの相談に乗ったり、話を聴いてきたりした。そして、やっぱり母親ってすごいと思うことがよくある。

落ちこぼれた弟が

まず、私の母親。私には2人の弟がいる。長男は、かつて「神童」と呼ばれるくらいに勉強もできて品行方正だった。そして進学校に入学した。ところが、そんな弟が高校生になると豹変。落ちこぼれたことがきっかけで、自転車泥棒はするは、車上荒らしをするはで問題児となった。挙げ句の果てに大学受験に3回失敗。3浪目の合格発表を見に行ったきり、帰って来なかった。

医者だった父は激怒し、「あいつが帰ってきても財産はやらない」と言った(そういう問題じゃないのだけど……)。祖母は毎日「生きているうちにあの子と会えますように」と仏壇に向かって手を合わせた。家の中は毎日暗い。そんな中で母は立ち上がった。「あの子を探すのは私しかいない」。

一人だけ冷静に弟を探し始めた。弟の友人を訪ね歩き、彼がかねて競馬場に通っていたことを知らされると、競馬場に向かった。そこいる人たちに弟の写真を見せて「この子知りませんか?」と尋ねて回った。

やがて「ミナミで新聞配達をしていた」という情報を得ると、新聞販売店を探し回った。そして、住み込みで新聞配達をしている弟を見つけ、連れて帰った。その後、もう一度受験勉強をさせた。

弟は今、医者になって地域医療に燃えている。彼は言う。「今だから笑って言えるけれど、ほんまあの時は自分がどうなるか不安で不安で仕方なかった。お母さんに見つけてもらったとき、ほんまにうれしかった。見つけてもらえなかったら、ぼくは帰れなかった」。

私の友人で、家族カウンセラーをしている柿澤一二美さんがいる。彼女の息子もかつて非行に走った。タバコを吸う。学校には行かない。そんな息子の話をとことん聴くためにカウンセリングの勉強をした。その息子は立ち直り、今は自分の夢に向かって進んでいる。

父親じゃなくて母親

非行に走ったり、引きこもりになったりした人たちもたくさん知っている。16年もの間、引きこもりを続けていたある男性が言った。

「最後にぼくを救ってくれたのは、お母さんの笑顔でした。いつも怒っていたお母さんが、『何があっても、あなたと生きて行く』と笑顔で言ってくれたときに、僕は引きこもりから脱出できたんです。だから、お母さんの笑顔の大切さを伝えたい」

いま彼は、引きこもりの子どもたちや家族のための活動をしている。

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(Photo by MARIA)

お父さんじゃなく、なぜかお母さん。そのくらいお母さんの存在が大きい。特攻隊のメンバーが飛び立った場所、鹿児島の知覧に行ったときもそう思った。遺書の宛名はほとんどが父親じゃなく母親。どのくらいお母さんのパワーがすごいか思い知らされる。

だからこそ私は、お母さんの心の元気、お母さんの笑顔づくりにこだわっている。お母さんには笑顔でいてほしい。私も笑顔でいたいと思っているし、私の母親にも笑顔でいてほしい。

でも、嫌なことなんて山ほどある。報われないこともあれば思いどおりにならないこともいっぱいある。哀しくて笑顔になれないときもある。私だって、何度も「もう子どもも夫もどうなったっていい!」とブチギレた。仕事と家事の板挟みにもなった。

パワーチャージの方法は

とにかく手っ取り早いのは、グチを聞いてくれる友だちを持つこと。一緒においしいものを食べて、言いたいことを言うことができたら、かなりの確率で発散できる。

でも、そんなにしょっちゅう友だちを呼び出すわけにもいかない。そんなとき私は、一人で温泉に行く。露天風呂なんかあれば最高。リフレクソロジーでもアロママッサージでもいい。2時間ゆっくりすると気分は変わる。こうしてパワーをためている。
とにかくなんでもいい。自分のパワーを回復できる場所や人を持つことが大切。お母さんは、パワーを与えなければならない立場なのに、自分はパワーを与えてもらう機会がなかなかない。だからこそ、自分のパワーをチャージすることも知っていてほしい。

読書も意外と効く。一人になって元気になりそうな本を読む。とっておきのカフェでそれができたら最高。パワーチャージの仕方は人それぞれ。でも、お母さんのパワーが大切だからこそ、お母さんがパワーをチャージして、いつもごきげんでいることを忘れないでほしい。

(キービジュアルPhoto by MARIA)

文・大谷 由里子
1963年奈良県生まれ。大学卒業後、吉本興業に入社。故・横山やすし氏のマネジャーを務め、宮川大助・花子など若手を次々に売り出した伝説のマネジャーとして知られる。88年に結婚退社。91年、企画会社を設立。2003年(有)志縁塾の代表取締役に就任。「笑い」を用いたユニークな人材育成法がメディアで取り上げられ話題に。著書に『吉本興業女マネージャー奮戦記「そんなアホな!」』(立東舎)、『ごきげんで生きる48の方法』(朝日新聞出版)など多数。

記事/ハレタル
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