
種類・特徴・用途…知っておきたい『砂糖の原材料と豆知識』
目次
砂糖は甘味を付ける調味料としてもっとも一般的なものですね。
一日の食事の中で砂糖を全く摂取することがない日というのは、なかなかないのではないでしょうか。
料理やお菓子、飲み物と幅広く使われる砂糖。砂糖の用途も様々ですが、砂糖の種類も様々です。茶色のもの、白いもの、粒が大きいもの、小さいもの等々…。いろいろありますね。
今回は砂糖の原材料や砂糖の特徴、料理別の使い方をお届けいたします。
『砂糖』の原材料は「さとうきび」と「さとうだいこん」
世界中で使われる砂糖の70%は甘しょと呼ばれるさとうきびを原料とした「甘しょ糖」です。残りの30%は甜菜と呼ばれるさとうだいこんを原料とした「甜菜糖」です。日本で使われる砂糖は、2/3を輸入の甘しょ糖、1/3を北海道の甜菜と沖縄・鹿児島の甘しょを原料としています。
砂糖は植物に含まれるショ糖を取り出し、精製して作られます。
甘しょの茎には約18%、甜菜の根には15~20%のショ糖が含まれています。甘しょは茎を圧搾して糖液を得ますが、甜菜では根を細片し温湯により糖分を浸出させます。この糖液を濃縮、精製して砂糖が出来上がります。
このように「甘しょ糖」と「甜菜糖」の2つから成り立つ砂糖ですが、パッケージの原材料の表記は「原料糖」となっています。どういうことでしょうか?
『砂糖』の原材料は1つです。
上白糖でも、グラニュー糖でも、白ザラでも、三温糖でも原材料表記に書かれている「原料糖」。
≪原料糖とは≫
甘しょから汁を絞り取り不純物を沈殿させ、上澄み液を煮詰めて結晶を作り、遠心分離機で蜜と振り分けて、取り出した茶褐色の結晶。
この原料糖が基となり上白糖やグラニュー糖、白ザラ、三温糖が作られます。
代表的な『砂糖』の種類~8選~
砂糖の主成分はショ糖であり、精製の度合いによって、含密糖と分蜜糖に分類され、さらに結晶の大きさで双目(ザラメ)と車糖に分類されます。
分蜜糖と含蜜糖
分蜜糖とは、上白糖やグラニュー糖のように特定の砂糖を指すものではありません。砂糖の製造方法の違いによる分類で、砂糖を作るときに結晶と糖蜜を分けたものを指します。
代表的な分蜜糖としては、上白糖、グラニュー糖、三温糖、氷砂糖などがあります。
それに対して、砂糖を作るときに結晶と糖蜜を分けないものは、含蜜糖と言い、黒砂糖は含蜜糖に分類されます。
【白ザラ】
分蜜糖のザラメ糖に分類されます。
結晶は1.0~3.0㎜位の大粒。無色透明で、糖度が高いです。
【上白糖】
分蜜糖の車糖に分類されます。
結晶は0.1~0.2㎜の細かい結晶で溶けやすいです。
固結化防止として転化糖シロップ(ビスコ)が添加されています。
【三温糖】
分蜜糖の車糖に分類されます。
茶色で結晶は0.1~0.2㎜で細かい。
固結化防止としてビスコが添加されています。
原材料に「カラメル色素」と記載されていることもあり、これは色を均一に仕上げるために使われています。色素なので着色料と思われがちですが、砂糖です。
【グラニュー糖】
白ザラを微粉砕機にかけて粉にしたものです。
固結防止のためでんぷんを3%混ぜたものもあります。
【角砂糖】
グラニュー糖にグラニュー糖を溶解して作ったシロップを加えてしめりを与え、立方体に成形、乾燥させたものです。
【氷砂糖】
外見が氷とよく似ているため、この名がついています。
純度の高い精製糖を溶解した濃厚糖液を種糖とともに結晶皿に入れて大きく結晶させたもので、溶けるのに時間がかかるのが特徴です。
【和三盆】
独特な製法により、分蜜糖・含密糖どちらにも当てはまります。
結晶は小さく独特の風味があります。
高級和菓子に使われ、日本在来種のさとうきびを原料として作られた日本独特の手作りの砂糖です。
【黒砂糖】
含蜜糖に分類され、ザラメ糖や車糖などに含まれていないカリウムやカルシウム、鉄が多く含まれているのが特徴です。
吸湿性があり、貯蔵性が劣ります。
いろいろな『砂糖』の上手な使い方
【白ザラ】
美しい結晶と上品なクセのない甘さが素材を活かし、色鮮やかに仕上げます。コーヒー、紅茶、デザートなどの素材を活かしたい料理に合います。また、わた菓子に使われる砂糖でもあります。
【上白糖】
転化糖シロップ(ビスコ)が添加されているのでしっとりしています。料理でもお菓子でも何にでも合う万能砂糖です。
【三温糖】
味は濃厚で独特の風味があるので、佃煮、煮物、照り焼きなどコクのあるやさしい風味を出したいときに使ってみてください。味噌料理にもよく合います。
【グラニュー糖】
あっさりとした甘みが特徴です。吸湿性が少ないので、クッキーやメレンゲなどが歯触りよく仕上がります。また、溶けが良いためゼリーやムースなどの冷たいお菓子も上手に仕上がります。だから、お菓子作りの時はグラニュー糖が重宝されるんですね。
【角砂糖】
コーヒーや紅茶に使うのは定番です。一個の量が決まっているので量るのが手間なときに便利です。
【氷砂糖】
梅酒をはじめとする果実酒を作るときに使われることが多いです。これは、果物のエキスが出てくるのと、氷砂が序々に溶けるのが同時進行で効果的だからです。 果実酒のほかに、煮詰めると美しいツヤが出るので、大学いもやいなり寿司のあげなどにも向いています。また、乾パンと一緒に入っていることもあり、そのままキャンディとして、また非常食としても役立ちます。
【和三盆】
独特の風味があり、舌の上で溶けるのが速いので快い甘味を感じます。結晶が小さく水分も多めなため、しっとりと口当たりも良いです。高級和菓子の原料や銘菓へのふりかけ、打物、落雁などに使われます。
【黒砂糖】
糖蜜を含み、ショ糖、転化糖の味の他に不純物による特殊の味と香りをもちます。料理の隠し味にもオススメです。かりんとうや沖縄料理などによく使われています。 また、煮物などにコクを出したいときや甘味を生かしたお菓子作りなどにオススメです。
日本でも、世界でも作られる『砂糖』の原材料
世界の70%はさとうきびを原料にしていますが、さとうきびは日本では沖縄県を中心に栽培されています。ちなみに、さとうきびのことを沖縄の方言では「ウージ」と呼ばれています。有名な歌の歌詞の中にも出てくるので、親しみがあるのではないでしょうか。
世界的にはブラジル・キューバ・インド・タイ・オーストラリアなど暖かい国で栽培されています。
さとうだいこんと紹介した甜菜はビートとも言われ、日本では、北海道で栽培されています。こちらは暑い沖縄の真逆で寒いところなんです。
見た目は大根のようですが、実は、ほうれん草の仲間です。世界的には、フランス・ドイツ・ロシアなど寒い国で栽培されています。
さとうきびやさとうだいこんが原料として有名ですが、楓糖やヤシ糖は知っていますか?
楓の国旗でお馴染みのカナダではメープルシロップの原料として楓糖が使われます。ヤシ糖はサトウヤシから作られます。こちらは東南アジアが原産です。
いろんな土地で作られる砂糖の原料。日本はタイやオーストラリアから輸入しているものがほとんどですが、純日本製の砂糖はどんな味がするのか気になります。
『砂糖』の上手な選び方・賢い買い方のコツ
砂糖を料理に使うときには、その種類ごとの特徴を良くつかんで、その用途に向いているものを購入するというのが、上手な選び方です。
今回紹介した砂糖を全種類すぐに購入するのは大変なのであれば、基本の「上白糖」、煮物・照り焼きにと「三温糖」、お菓子作りに「グラニュー糖」をまずは購入して味の違いや深みを楽しんでみてはいかがでしょうか。
砂糖には防腐作用があるため腐ったりすることはありませんが、保存していると固まることがよくあります。これは湿度の変化によって砂糖の中の水分量も変わってくるため、結晶同士が結合して固まります。そんなときは、小さくちぎったパンを砂糖を保存している容器に入れてみてください。パンが湿気を吸収して固まりを防いでくれますよ。
料理にお菓子に!『砂糖』を使った料理
糖分は身体の中でエネルギーに変わる役割があり、生きていくために重要です。
身体の中で、一番エネルギーを使うのが「脳」です。脳の重量は体重の2%と言われていますが、身体の消費エネルギーは20%を占めています。身体のエネルギー源となる栄養素は炭水化物と脂質ですが、脳は炭水化物しか受け付けません。
炭水化物はごはんやパン、麺が代表的ですよね。砂糖は「脳のごはん」とも言われており、即効性があります。ごはんやパンよりも吸収が早くて、小腸で消化されると数10秒後にはブドウ糖に変身して血中にあらわれます。試験前や会議前など、たくさん頭を使う直前にアメを食べてエネルギーチャージしてみてはいかがでしょうか。
それでは、砂糖を使ったレシピをご紹介いたします。
普段の食事に、お弁当に、息抜きのおやつにぜひ作ってみてください。
『砂糖』でつくるレシピ
『1:2:1』 これさえ覚えて煮物も照り焼きも得意料理に
基本の黄金比を覚えておけば何にでも応用できますね!
上白糖ではなく、三温糖や黒糖を使うことで違ったコクや深みをお楽しみください。
もっちり食感と甘辛ダレがあと引くおいしさ!『れんこんもちの磯辺焼き』
れんこんのシャキシャキした食感もいいけれど、粘りを活かしたれんこんもちはいかがでしょうか。いろんなアレンジができるけれど、今回は甘辛ダレを絡めた磯辺焼き!海苔の香りがたまりません。
だしの旨み溢れ出す、2種の材料だけで作れる絶品『鶏手羽と里芋の旨煮』
里芋と鶏手羽肉の2種のシンプルな材料で作る煮物。
鶏手羽肉から出るだしの旨みを里芋がしっかり吸い込み、シンプルでありながら、素材の美味しさを感じられるお料理です。
あとまぜで絶品!玄米でも食べやすい『とりそぼろごはん』
冷めても、もっちもちな食感の玄米ならお弁当にしてもおいしくいただけます。
甘めの味付けのとりそぼろだから、ついついごはんが進んでしまう一品です。
『砂糖』三温糖でつくるレシピ
お正月だけじゃもったいない!『いろいろナッツのメープル田作り』
お正月は終わってしまいましたが、小魚とナッツの組み合わせは育ち盛りの子どもの身体を強くしてくれます。
おやつ感覚で召し上がれ。
『砂糖』黒砂糖でつくるレシピ
お豆腐を使って低カロリーなひんやりスイーツ『黒胡麻のアイスクリーム』
甜菜糖または黒糖を使うので市販のアイスより体を冷やしにくいです。
ヘルシーなおやつというとあっさりして物足りないものも多いのですが、このアイスクリームは練りごま胡麻がたっぷり入っているのでお味も濃厚でおすすめです。
『砂糖』氷砂糖でつくるレシピ
隠し味に最適 季節の保存食『梅しごとのススメ』
簡単にできる【梅シロップ】のご紹介します。
愛情たっぷりの自家製だから、美味しさ倍増です。
『砂糖』グラニュー糖でつくるレシピ
ホットケーキミックスを上手に活用『たっぷりアーモンドのフロランタン』
お菓子作りが初心者の方でも手軽にできますよ。
アーモンドに絡んだカラメルがたまりません。
子どものおやつに大活躍の手軽にできる簡単デザート『リンゴのキャラメリゼ』
そのまま食べても十分美味しいですが、何かひと手間加えたいというときにリンゴをソテーするだけで、美味しいキャラメリゼの出来上がり。
甘さが足りないものや実がスカスカになってしまったリンゴにも良いかもしれませんね。
煮詰め温度で変わる『砂糖』
砂糖は煮詰めた温度によって状態や色が変化していきます。お菓子作りの参考にしてみてください。
<煮詰め温度による砂糖の用途>
◆102~103℃ 「シロップ」
冷却しても結晶化しない。
◆106~107℃ 「フォンダン」
煮詰めて濃度を高くし、40℃位まで冷却して過飽和分を結晶析出させたもの。
◆115~120℃ 「砂糖衣」
材料を入れ火を止め、手早く撹拌し結晶を材料のまわりにつける。
◆140~150℃ 「銀絲・金絲」
温度により、透明な糸と金色の糸が出来る。中国では抜絲(パース)という。ヨーロッパではケーキの飾りなどに使う。材料を入れ、砂糖を溶かした液が80~100℃になっとき糸を引く。食酢を加えると、一部が転化糖になり結晶化が防げる。長くかき混ぜると結晶化してしまう。
◆160~170℃ 「べっこう飴」
色づいた液を流して固める。
◆170~180℃ 「カラメル」
ソースや着色料として用いる。
甘み以外の『砂糖』の働き
また、砂糖は調理する上で甘味を付加するだけでなく、様々な働きをしてくれます。
・羊羹やぎゅうひ、カステラなどが硬くならないのは、砂糖が多く使われているため、糊化でんぷん中の水分を砂糖がひきつけ、老化が抑制される。
・メレンゲに砂糖を加えると泡が安定し、同時にツヤも出る。
・果物などを高濃度の砂糖に漬けると、浸透作用により果物中の水分に砂糖が溶け、水分活性が下がるために微生物の繁殖が抑えられる。
・寒天やゼラチンのゼリー強度を高める。
・卵料理に砂糖を入れるとたんぱく質の変性を抑制するので加熱するとゆっくり固まり、すだちを起こしにくい。また、卵白泡のもどりを抑え、泡を安定化させる。
そのため、卵焼きやプディングが柔らかく仕上がる。
砂糖の持つパワーや料理への使い方などをご紹介しましたが、摂りすぎは禁物です。
特に、お子さんのおやつには注意してくださいね。
幼児にとって砂糖とは?『砂糖とうまく付き合う方法』
上白糖やグラニュー糖、三温糖など名前は聞いたことあるけど、いつも同じものを使っていたなぁという方は、これを機に砂糖の使い方を変えてみてはいかがでしょうか。
同じ甘味でも使い方によっても料理の味が変わってきて面白いですよ。
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記事/ケノコト編集部
(ライター 影山奈々恵)
管理栄養士×フォトグラファー×ライターとして幅広く活動。
保育園で活きた食育や給食・おやつを通して「なんでも食べる子ども」を育んでいるだけでなく、食に関する記事をサイトへ寄稿。ポートレートや料理をはじめ、イベント、ウェディング、演奏会など様々なジャンルの撮影では、「ありのまま」や「日常」を大切にし、その瞬間を切り撮る。
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