
日本独自の発酵調味料『味噌の原材料』あなたは言えますか?
目次
ごはんに味噌汁の組み合わせ。和食の定番ですね。
味噌汁を口にしたとき、ほっこりとした安らぎや温もりを感じるのではないでしょうか。味噌を使った料理は味噌汁の他にも、味噌焼きや味噌煮、味噌和えなどがあります。洋食化が進んでいるとはいえ、私たち日本人の食事において切っても切り離せない調味料の一つです。
工場だけではなく、お家でも簡単に作れるため、自分好みの塩加減、甘味、うま味を持つ味噌を作られる方も多いのではないでしょうか。簡単に作れることから、日本独自の発酵食品であるのに多種多様なものが全国各地に存在しています。
今回は日本が世界に誇れる調味料『味噌』について学んでいきますよ。
『味噌』の原材料は3つ
名称: 味噌
原材料名: 大豆、米、食塩
この表示の味噌をスーパーで見かけることが多いのではないでしょうか。
中には、鰹や昆布などのだしの成分が含まれた「だし入り味噌」を見かけることもありますね。その他に、酒粕やビタミンB1が書かれた味噌もあります。酒粕は保存料のエチルアルコールのことです。ビタミンB1は着色料として使われている場合があります。
ここでいう「米」というのは「こうじ」のことを指しており、基本的には「大豆」、「こうじ」、「食塩」この3つで味噌は構成されています。
この「こうじ」が味噌作りのミソになっており、こうじの種類、こうじや塩の量、熟成期間、色によりいろいろな種類があります。
では、どんな種類の味噌があるか順番に見ていきましょう。
代表的な『味噌』は4種類。細かい味噌の種類は?
2000年12月からJAS法に基づく品質表示基準が定められ、製品には米味噌、麦味噌、豆味噌、調合味噌の表示がなされています。
出荷量の割合でいうと米味噌は79%、麦味噌は10%、豆味噌は6%、調合味噌は5%です。
大きくこの4種類がありますが、色と味でも分類されます。
味噌の塩加減は食塩の量によって変わってきます。また、味噌の色はアルボカルボニル反応による褐変物質と言われており、原材料の種類、こうじの量、大豆を煮るか蒸すか、発酵の途中でかき回すかどうかなど、いろいろな条件によって違ってきます。一般的に、発酵の期間が長い味噌は色が濃く、香りも強いです。
<米味噌の仲間>
原料:大豆、米、塩
色:白、黄色
米をこうじとして用いた味噌。
米こうじの量によって、色が白や黄色、赤といろいろと変化します。
熟成期間は短く味は甘みがあり、70%の家庭でこの味噌を使われています。
【甘口・白味噌】
代表的な味噌:関西白味噌、西京味噌、府中味噌、讃岐味噌
産地:近畿、広島、山口、香川
特徴
こうじは大豆の2倍使われています。
食塩の割合は味噌の中でも一番薄く、5~7%で香りと甘味があります。
5~20日と短い期間で作れます。
【甘口・赤味噌】
・代表的な味噌:江戸甘味噌
・産地:東京
・特徴
こちらも熟成期間が5~20日と短期熟成型。
高い温度で仕込むため、赤みがあります。
食塩の割合は味噌の中でも一番薄く、5~7%です。
【辛口・淡色味噌】
・代表的な味噌:信州味噌、白辛味噌
・産地:長野、関東
・特徴
色は薄めで山吹色。
食塩の割合は12~14%と辛口です。
香りはさわやかで、少し酸味があります。
熟成期間は2~6ヵ月です。
【辛口・赤味噌】
・代表的な味噌:津軽味噌、仙台味噌、佐渡味噌、越後味噌
・産地:北海道、東北、新潟、北陸、中国
・特徴
日本の代表的な赤色辛口味噌。
熟成期間は3~12ヵ月と幅があります。
食塩の割合は5~7%です。
<麦味噌の仲間>
原料:大豆、麦、塩
色:淡色
大麦または裸麦をこうじとして用いた味噌。
米味噌や豆味噌よりも風味があり、九州地方でよく使われている味噌です。
よく「田舎味噌」と呼ばれているのがこの味噌です。
【甘口・淡色味噌】
・代表的な味噌:長崎味噌、薩摩味噌
・産地:九州・中国・四国
・特徴
こうじの量が多いため、色は薄く甘みがとても多い味噌。
食塩の割合は9~11%。
熟成期間は1~3ヵ月と短期型。
【辛口・赤味噌】
・産地:九州、埼玉、栃木
・特徴
食塩の割合は11~12%の赤色の辛口味噌。
麦こうじの歩合が少なく、大麦を使うのが特徴です。
熟成期間は3~12ヵ月です。
<豆味噌の仲間>
原料:大豆、塩
色:赤
大豆のみで作られ、熟成期間が他の味噌より長くなります。
こうじも大豆を原料としているので、原料には大豆と食塩しか書かれていません。
また、豆味噌は一番古い味噌でもあります。
米味噌や麦味噌にはない旨味があります。
【辛口・赤味噌】
・代表的な味噌:八丁みそ、三州みそ
・産地:愛知、岐阜、三重
・特徴
1~3年かけて長時間熟成させる。苦味と渋味があります。
食塩の濃度が最も濃く、10~12%です。
<調合味噌>
異なるこうじによる2種類以上のみその混合や、複数のこうじを混合して醸造した味噌のことです。
または米味噌、麦味噌、豆味噌以外の味噌のことを言います。
どの料理に使う?味噌のうま味を120%引き出す使い方
お湯で溶いたり、味をしみ込ませたり、食材にそのままつけたり、様々な使い方がありますね。
原材料の違いだけでなく、原材料の割合や熟成期間、混ぜ方によっても変わってくる味噌。
どのように使ったら美味しさが十分に引き出されるのでしょうか。
【米味噌】
白味噌
西京味噌、府中味噌などの白味噌は、甘さをいかした酢味噌あえや白味噌仕立ての味噌汁、田楽などに使います。
また、クリームシチューやグラタン、パスタなどクリーム系の料理に加えるのもオススメです。味がまろやかになり、うま味も引き出されます。
赤味噌
仙台味噌や津軽味噌などはその色とコクをいかして、赤だしの味噌汁や味噌煮込みうどん、懐石料理に使います。
淡色味噌
味は白味噌と赤味噌の間ぐらいで、市販の味噌の多くが淡色味噌にあたります。
味噌汁から味噌煮までどんな料理にも使える万能味噌です。料理レシピで味噌とあったらこれを使うのがいいでしょう。
【麦味噌】
麦味噌は甘みがあって味わい深いので、味噌汁はもちろん、野菜スティックや味噌漬けなど、味噌の味をそのまま味わう料理でも活躍します。
【豆味噌】
塩分濃度も高く、色が濃く、コクがあります。
味噌煮込みうどん、味噌カツ、味噌おでんなどは八丁味噌や三州味噌を使った料理です。
また、和食で欠かせない赤出しも、豆味噌を使うことが多いようです。
【調合味噌】
スーパーで見かける即席味噌汁のほとんどは2種類以上の味噌を組み合わせて作った調合味噌を使っています。
『味噌』の上手な選び方のコツ・賢い買い方コツ
天然醸造とあるものは、発酵、熟成が人の手によるものではなく、自然に作られたものなので、この表示のあるものを選ぶといいでしょう。
色むらのあるものや黒ずんでいる味噌は避けた方がいいですね。
お家で手作り『味噌』を作ってみよう!
【必要な材料】
・大豆・・・1㎏
・こうじ・・・1㎏
・塩・・・400g
・鍋
・日本酒または消毒用のアルコール
・漬物用樽
・ビニール袋
・ラップ
・塩
『手作り味噌』【作り方】
①大豆は一晩たっぷりの水に漬けておく
②大豆を指でつぶれるくらいまで軟らかくゆでる
③ゆでた大豆をビニール袋に入れ、足で粒がなくなるまでつぶす。このとき、少し煮汁を入れるとつぶれやすい
④こうじを手で擦り合わせてポロポロにし、塩と混ぜ合わせて塩切こうじを作る
⑤塩切こうじとつぶした大豆を混ぜ合わせる
⑥漬物用の樽に日本酒または消毒用のアルコールを振りかける
⑦野球ボールぐらいの大きさに丸めた味噌を樽に勢いよく投げ入れる。ポンと空気が抜ける音がするぐらいの強さが良い
⑧投げ入れた味噌を手で押し付けながらならし、ラップで密閉する
⑨ラップの上に塩を適量ふりかける(カビ防止)
⑩ふたをして、冷暗所に8~10か月保管したら完成
慣れてきたら、こうじや塩の割合、熟成期間など調節してお好みの味の味噌作ってみてください!
手作り味噌は愛情もたっぷりなので、さらに美味しく感じることでしょう。
和えて、溶いて、そのままつけて!レパートリーいろいろ『味噌』を使ったレシピ
みそは塩味がつくとともに、うま味、香りもつけることができる万能調味料。
味噌の香りはとても強いです。長く加熱すると、その香りだけでなく、味や舌触りも悪くなります。味噌の良さを最大限に活かすためには、加熱しすぎないように気を付けましょう。また、味付けのときには塩分濃度が味噌によって違うので、量を加減して使ってくださいね。
新米を味わいたいからシンプルに『自家製ねぎ味噌de焼きおにぎり』
ごはんをシンプルにいただきたいときは、シンプルに食すが一番。
香ばしく焼ける味噌の香りに、ほらもうお腹がぐぅ〜っといってきた!
アンチエイジングなお弁当にぴったり『鮭の味噌南部焼き』
肉や魚に胡麻をまぶして焼く南部焼きを香ばしい味噌風味にしてみました。
冷めても美味しいので、お弁当にぴったりですよ。
便利な味噌玉をつかって『空芯菜とトマトの味噌玉炒め』
お湯に溶かしてさっと作れるお味噌汁を始め、炒め物、和え物、おにぎりの具などとっても実用的な「味噌玉」。時間のあるときにまとめてつくって、毎日のお料理づくりに活用してみませんか?
「ケノコトハウス」のおすそ分けレシピ№28 『鶏もも肉の味噌漬け焼き』
味噌だれに漬け込んだ鶏肉はしっとりジューシー。おすすめの万能調味料です。
魚にも豚肉にもよく合う味噌だれは、みんな大好きなほっとする味。
ごはんがよく進みます。
野菜もたっぷり食べられちゃう 和製トマトスープの『味噌ストローネ』
洋風トマトスープの定番ミネストローネを味噌仕立てにしました。味噌とトマトは実は相性抜群。
トマト嫌いのお子様も野菜が不足がちな方も、親しみのある味でたっぷり食べられちゃいますよ。
お酒のつまみにもってこい『菜の花の酢味噌あえ』
酢味噌を自分でつくるから甘めにも、辛めにも調節できるからいいですよね。
ぜひ、自分好みの酢味噌を作ってみてください。
卵・乳フリー!ざくざく食感がたまらない『全粒粉の味噌くるみスコーン』
ちょっと小腹が空いたとき、甘いのもいいけど塩気あるものも食べたい。
そんな誘惑を両方満足させてくれるおやつです。
ざくざくした食感と、ほのかな大豆の香りがやみつきに!
朝から活力が湧いてくる!『大根の生姜みぞれ味噌汁』
私たち日本人にとって朝の味噌汁はとっても大切。アツアツのお味噌汁を朝ごはんと一緒にいただくと、太陽の上昇とともに体温が上がっていくので、心も体もポカポカと温かくなります。
人気のおでん屋さんが教える『大根の白味噌炊き』
ちょっと時間があるとときに、お鍋コトコト、作ってみてください。
優しいお出汁とお味噌の少し甘めの味付けで、ご家族みんなから好評の一品になること間違いなしです。
知られざる『味噌』の効果
肉や魚に嬉しい効果
味噌には味付けの他にも、肉類や魚類を味噌煮、味噌漬けにすると、加熱したときに出る味噌の香気成分が臭みをカバーする効果があります。
また、味噌に漬け込むことで肉質は一時的に固くなりますが、その後、微生物や酵素によりたんぱく質が分解され肉や魚の肉質が軟らかくなる効果もあります。
身体の中での働き
がん予防、抗酸化作用、血圧降下作用などが報告されています。
また、必須アミノ酸といって人間の身体の中では作られないアミノ酸を味噌はもっています。必須アミノ酸は、たんぱく質の基であり、筋肉や皮膚などを作るのに使われます。
「医者に金を払うよりも、味噌屋に払え」
これは江戸時代のことわざです。
『本朝食鑑』(1695年)によると「みそはわ国ではむかしから上下四民とも朝夕に用いた」もので、「1日もなくてはならないもの」であり、「大豆の甘、温は気をおだやかにし、腹中をくつろげて血を生かし、百薬の毒を消す。麹(こうじ)の甘、温は胃の中に入って、食及びとどこおりをなくし、消化をよくし閉塞を防ぐ。元気をつけて、血のめぐりをよくする」効果があるとしています。
そして、これが味噌に対する認識の礎になりました。
ことわざになるくらい人々に暮らしに浸透し、その健康を支え続けてきた味噌。
身体にとって嬉しい効果はありますが、塩気が強いので摂りすぎには気を付けてくださいね。
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記事/ケノコト編集部
(ライター 影山奈々恵)
管理栄養士×フォトグラファー×ライターとして幅広く活動。
保育園で活きた食育や給食・おやつを通して「なんでも食べる子ども」を育んでいるだけでなく、食に関する記事をサイトへ寄稿。ポートレートや料理をはじめ、イベント、ウェディング、演奏会など様々なジャンルの撮影では、「ありのまま」や「日常」を大切にし、その瞬間を切り撮る。
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