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取材 2017.02.01

100人100色―「東日本大震災でまっさらに」下町でママや妊活中の女性に優しい職場づくりを目指す―渡部暁美さんのお話し

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それぞれの立場、個々の考え方によって「働く」ことへのスタンスは異なります。正解なんてありません。
「100人100色」では、100人の「働く女性」に登場いただき、等身大の姿を語っていただきます。
年齢、環境、キャリア全ての背景が異なる人たちの100とおりの『想いや生き方』の中に、きっとあなた自身にとってのヒントが見えてくるはずです。

今回は、東京都台東区で飲食やマッサージなどのお店を経営している渡部暁美さん(35)をご紹介します。
台東区の下町が好きだという渡部さんは、10年以上芸者をしていたという異色の経歴の持ち主です。そんな彼女がどうしてお店を始めるに至ったのかや、働くママや妊活中の女性に優しい職場を作りたいという仕事への想いを語っていただきました。

―これまでのキャリアや現在の仕事内容を教えてください。

福島県南相馬市出身です。18歳で上京して、20歳から働き始めました。初めは民間の企業に就職したのですが、毎日がただ単に漠然と過ぎていくことに疑問を感じはじめ、1度きりの人生なので自分の好きなことをしようと、いろんな職業についていました。

OLにはじまり、カフェ店員、花柳界の芸者の世界…。この芸者の仕事が一番長く、10年以上続いていたのですが、母の病気が悪化して、母の最期を看取るために実家のある福島県南相馬市に戻ることに。

ですがその3週間後の3月11日、東日本大震災にあったんです。私の中の全てが消え去っていく不思議な感覚になり、考え方や人生が一変。文字通り「まっさら」になったんですね。

もっと自由自在に、、誰かの作った組織とか概念とかルールとかを一度まっさらにしたところから、自分が本当にやりたいことを私なりの世界観で作り上げたいと思い、今の株式会社motonoraを立ち上げました。「自分の人生を最高に楽しみたい」という感覚で、この人生を全ての人と共有・共感・協力して楽しむことができる場所を作り上げたいと、本気で思ったのがキッカケです。

写真8

motonoraで運営しているお店があるのはスカイツリーが見える場所です。1、2階では昼間はcafe、夜はBARを。2階はレンタルスペースとして開放し、ワークショップ、アロマヒーリング、タロット占い、カバラ数秘術も定期的に開催しています。3階は整体、スウェディッシュマッサージです。

ママが自分に戻れる場所昼間cafe タロット
▶︎日替わりハーブティー付きの占いカフェ

―これまでで一番忘れられない仕事のエピソードをお聞かせください。

がむしゃらに仕事をしていて周りが見えなくなってしまったことがあり、周りにも自分にも厳しくあたり散らしていたことがありました。

そんな時、あるお客様がかけてくれたのが、「毎日頑張っているね。ここにくると今日1日の疲れが吹っ飛ぶよ。ここにお店を出してくれてありがとう。やっと見つけた癒しの場なのだから絶対潰しちゃダメだよ。」という言葉です。その時に張り詰めていたものが緩んだのを覚えています。

その時から自分を追い込まず、周りを頼って相談するようになりました。

―あなたにとって「働くこと」とはどういうことですか?

可能性を広げることだと思っています。

好きで始めたことですが、辛いこともたくさん経験しました。でもそれすらも時が経てば財産だなと思います。あの時のあの経験があったからこそ今がある。
私だけでなく一緒に働いてくれているスタッフも「働くこと」により、たくさんの経験ができて経験値が上がります。おのずと個々の自信にも繋がりますし、倍々で可能性が広がると思うとそれだけでワクワクしちゃいます。

―働いている時の貴方を「色」に喩えると?

虹色。
毎日晴天というわけではなく、時には笑い、時には怒り、時には悲しみ、時には励まし、天気と一緒で毎日毎日が同じではなく、コロコロ変わります。1色に例えることができない「虹色」です。

―これからチャレンジしたいことはありますか?

働くママや妊活中の女性にも働きやすい環境を作っていきたいと思っています。
まずは今運営しているお店からはじめてみようと思っています。小さい店ですが、自分の店だからこそ、いろいろ挑戦できるので。
実際の社会は働く女性、特にママさんやこれから子供を…と考えている妊活中の女性にとって、まだまだ厳しい社会です。

写真1
▶︎昼間のカフェでの風景。ママが自分に戻れる場所

以前にOLをやっていた時には、周りに気を遣ってなかなか自分の意見を言えない環境で仕事をしていました。そこで自分で始めたお店ではみんなの意見を聞いて、ここで働くママさんや妊活中の女性にも働きやすい環境を心がけています。

写真2
▶︎働くママ。スウェディッシュマッサージにて

今運営しているお店とは別に、働くママが職場の中心となる2店舗目を目指します。
この「働くママが職場の中心となる」というのは、ママだけではなくて、女性でも男性でもみんなが、会社や生活のために仕事をするのではなく、自らやりたいことを見つけ挑戦できるような職場を提供したいという意味を含んでいます。
ただ、特にママは、家事や育児などを優先して自分を後回しにしてしまう傾向が強いので、職場では自分のやりたいことや自分の意思を優先し、挑戦できる環境を作りたいなと思っています。子供がいるから、妊娠しているからという理由だけで肩身の狭い職場は作りたくないのです。
それぞれやりたい事が明確にあれば、スタッフ同士でも同じ志を持った関係性になってくるので自ずと協力しあえる環境になるのでは。そして、お互いが応援し、協力し合えるのでは、と考えています。
仕事する場でもあり本来の自分を表現する場所。そんな枠組みを私は作って行きたいと思います。
今いる男性スタッフもとても理解があるので、話し合いをしながら全員で作り上げられたらと思っています。

―あなたなりの息抜きやストレス発散の方法を教えてください。

慌ただしく毎日を送っていると、どうしてもカラダのことを後回しにして無理をしてしまうことも多いです。
健康なカラダでなければ、やりたいこともスムーズに運びません。そこで、まめにボディメンテナンスをするようにしています。同じ店舗内にある「まっさら整体」を受けて、カラダの疲れているところを感じながら、自分のカラダの感覚に集中しています。

写真5
▶︎自分のカラダをメンテナンスできる3階の「まっさら整体」

一緒に働くスタッフも、福利厚生として「まっさら整体」を受けられるようになっています。自分自身のカラダを、常に良い状態で保ってもらいたいからです。

―今後、あなたがありたい姿と、そのために行っていることがあれば教えてください。

誰かと自分を比較するのではなく、葛藤するのでもなく、ただシンプルに自分はこうであるという視点を持っていたいと思います。

誰からも、何からも左右されず、誰も左右しない、支配しない。自分のすべてを認め、他人の全てを認めて受容できる人、ブレない人、でありたいです。

そのためにも自分自身をまず知るために、内観するようにしています。例えば、誰かに何か言われて嫌な思いをした場合など、なぜそのような感情が湧いたのかにフォーカスするようにしています。
感情に振られてしまう場合も、もちろんあるのですが、その時はむしろ、疲れるまで目一杯感情に振られてしまいます。落ち着いた頃に、なぜそのような感情が湧いたのかフォーカスしていくと、「嫌な思いをした。誰々が嫌いだ」という感情から、本当は自分が寂しかったってことに気づくこともあるんです。
寂しい自分を知ってあげること、落とし込むことで、自分の中心部分が分かってきます。このようにはじめの感情の裏には、逆の感情があったとわかって、拍子抜けすることも多々あるのです。

―幸せだと思う時間や瞬間はどんなときですか?

自分のお店に人が集い、笑いが溢れ、この場に自分が居られる瞬間に、なんとも言えない感覚になります。とても幸せな瞬間です。

写真6

————————————
東日本大震災をきっかけに「自分の人生を最高に楽しみたい」と思うようになったのが、motonoraを立ち上げたきっかけだという渡部さん。自分のキモチやカラダと向き合い、自分らしく働きたいという姿勢は、社会人生活が長くなるにつれて忘れてしまいがちな事かもしれません。お店や仲間たちへの想いを聞いていると、彼女が作り上げたのは単なるお店ではなく、自分自身や仲間たち、そしてお客様の居場所なのだと感じられました。

 
取材・記事/
いろんな女性の働く・暮らすを知ること 『100人100色』は、SAISON CHIENOWAとケノコトの共同記事です。

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