
春の不調を克服する『漢方養生の知恵』
目次
心地よい暖かさと、美しい花々に包まれる春。しかし日本では年々、春を憂うつに感じる人が増えているのだとか。つらい花粉症に悩まされたり、新しい環境の変化に対応しづらかったり。本来なら、一年でいちばん生命の輝きを感じられる季節なのに、体調も心もすぐれないなんてもったいない。どうすれば春を快適に過ごせるのでしょうか?漢方養生の専門家 小野満幹彦先生にうかがいました。
花粉症も体質改善から-『漢方養生の知恵』
なぜ春先は風邪や花粉症で体調を崩す人が多いのだろう。東洋医学では、春は「風」の影響を受けやすい季節だと考える。ちなみに「風邪(かぜ)」も、東洋医学でいうところの「風邪(ふうじゃ)」の読み方が変化したそうだ。「風に当たって体を冷やすだけではなく、風に吹かれて漂っている目に見えないものが体の中に侵入してくるリスクがあります」(小野満さん)。
花粉は本来、人体にとって害になる物質ではなく、吸い込んでも体が反応するわけではない。しかし体が花粉を有害な“侵入者”と認識してしまうと、過剰に反応し、くしゃみや鼻水、涙を使って外へ出そうとする。これが花粉症のメカニズムだ。
「内臓の冷えは大敵」と考える東洋医学では、弱った内臓を健やかにすることが根本的な体質改善につながり、ひいては花粉症の改善にもなると考える。「風(ふう)と寒(かん)に注意し、体内に邪(じゃ)が入り込まないよう注意が必要です」と小野満さんはアドバイスする。
冷えへの警戒心が鈍る-『漢方養生の知恵』
漢方養生では36.5度くらいの体温維持が健やかに過ごす基本だと考えているが、春は最も油断をしやすい季節だという。「三寒四温」という言葉があるように、春といっても暖かい日もあれば肌寒い日もある。寒い冬を過ごしてきた分、少しでも日差しの暖かさを感じると薄着で出掛けたくなるが、それほど気温が高くない日も多い。
「動けば汗ばむので毛穴が緩みやすく、その後、じっとしていると毛穴が開いた分、冷えを感じやすくなります。それで体調を崩し、免疫のシステムもうまく機能しなくなって不調が生じるんです」(小野満さん)。外出するときはスカーフで首元を冷やさないようにしたり、脱ぎ着しやすい服装にしたりして体温の維持には気を配りたい。
ほかの季節と同様、冷たいものの飲食も避けたい。「歩き回ったあとは冷たいものを飲みたくなりますが内臓を冷やすのでやめましょう。この時期におなかを壊す原因のほとんどは冷えです」(小野満さん)。
休日はアウトドア遊びで発散を-『漢方養生の知恵』
春は東洋医学の考える五臓の中で、最も「肝(かん)」と強いつながりのある季節でもある。「肝」は単純に肝臓の働きを指すものではなく、気(エネルギー)の巡りをコントロールしたり、血を貯蔵して全身の血量を調整したりするもの。
「肝」のはたらきが弱くなると、気の巡りが悪くなってイライラしたりうつうつとしたりと感情が不安定になりやすい。血の巡りも悪くなり、筋肉のけいれんや手足のしびれが生じることもある。目や爪も「肝」と深いつながりがあると言われ、目のかすみや爪の割れといった不調も出やすい。
「肝」のはたらきを高めるにはのびやかに過ごすことが大事だ。新年度が始まると緊張する機会も増えるが、「その分、休日は屋外でハイキングやスポーツをして思いっきり発散してください」と小野満さん。疲れたから休日はゆっくり寝て休む、では気が滞って逆効果なのだ。
この時期に食べるとよいのは、ホウレンソウや小松菜、春菊といった“青野菜”。これらの野菜には貧血予防の効能がある。ショウガやネギ、青じそ、春菊、三つ葉などは香りがよく、滞りがちな気を巡らせてくれる。
タラの芽やウド、セリなどの山菜類もお勧めだ。「苦みのある山菜類には、たまった毒素を追い出すデトックスの作用もあります。上手に取り入れて、冬に貯め込んだ脂肪や老廃物を排出し、体を軽くしていきましょう」(小野満さん)。
気温の上昇に伴い、春は冬ほど体を燃焼させなくても36.5度を維持できるようになる。肉や米を食べすぎるとカロリー過多になるので要注意。食べる量を減らし、ダイエットを始めるには最適なので、適度な運動も取り入れながら体を整えたい。早起きをして散歩すると、体が十分に目覚め、免疫力も高めることができる。
1年間にわたって、小野満先生から漢方養生の考え方や、季節ごとの過ごし方を教わってきた。快適で便利なはずの現代社会で、心も体も元気のない人が増えているのだとしたら、きっと生活のどこかに原因があるはず。その答えを導いてくれる一つのきっかけが、季節ごとに食事や睡眠、行動を変える漢方養生だと実感している。
まずは季節の特性を知ること。そして冷えには一年中注意し、どんなものを食べて、何をすればいいかを意識すること。「日本は小さな国なのに気温の変化が大きく、また乾燥や湿気などもあり、どの季節でもそれぞれ注意したいことがあります。自分自身も自然の一部分。季節に合わせた養生を意識していれば、きっと健やかに過ごせるでしょう」(小野満さん)。
文/吉岡 名保恵
記事/ハレタル
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