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家のコト 2021.03.31

使う度にほっと和む、優しい触れ心地『益子焼』の器

お出かけするのが気持ち良い季節になりましたね。毎年、春と秋に、陶器市が開かれている『益子(ましこ)』の町。その地で作られる伝統工芸品『益子焼(ましこやき)』は、ぽってりとした暖かみのある佇まいと、土の質感を感じる、優しい触れ心地が魅力的な器です。
料理をする時、ごはんをいただく時。私は『益子焼』を手に取る度に、その素朴で優しい風合いにほっと和む気持ちになります。『益子焼』を食卓に並べれば、確かな存在感もありつつ、合わせる器や食事風景に自然と馴染んでくれますよ。普段の料理も『益子焼』の器に盛ると、いつもより美味しそうに見えるような、そんな気がします。そっと料理を引き立ててくれる、頼もしい器です。

古くから焼き物の里として栄え、現在も数多くの陶芸家が制作活動を続けている『益子』の町。素朴な雰囲気の器、絵が描かれている器、独特の色合いが美しい器…その地を訪れると、日常の暮らしに寄り添う、個性的で作家性に富んだ、様々な『益子焼』の器に出会うことができます。そんな『益子』の町で作られる、普段使いの器『益子焼』の魅力を少しだけお話します。
使う度にほっと和む、優しい触れ心地『益子焼』の器。益子の風景

『益子焼』が紡いだ歴史

『益子焼』は、江戸時代末頃、古くから陶器の産地として栄えていた、笠間(現在の茨城県笠間市)で修行した者が技術を持ち帰り、『益子』(現在の栃木県益子町)に窯を築いたことから始まったそうです。その頃は、『益子』で採れる特有の粗い土のため、繊細な器の造形には向かず、水瓶や火鉢など、日常の道具が主に作られていたのだとか。
その後、徐々に陶芸家や民芸運動家が移り住み、茶器や花器などの芸術品も多く作られるようになりました。現在は『益子』の町で、ベテランから若手まで多くの陶芸家がこの地に窯を持ち、制作活動をしています。古くから、日用品として親しまれている『益子焼』の器。今もなお、私たちの日常の暮らしに寄り添う道具として、器が作られ続けています。
使う度にほっと和む、優しい触れ心地『益子焼』の器。陶芸

暖かな土の手触りが魅力的な『益子焼』

『益子焼』は、益子で採れる特有の砂気の多い土で作られます。そのため、土本来の優しい手触りや、暖かみのある風合いが魅力的な作品が、数多く作られています。
『益子焼』の器を彩る釉薬(ゆうやく:器の仕上げにかけるうわぐすり)は、古くから黒や錆色、柿色など、生活に馴染む落ち着きある色合いが多く作られていたそう。ぽってりとした素朴な佇まいの器に、よく似合う色合いですね。他に、焼いた後に色合いが変化する鉄分を含んだ釉薬や、呉須(ごす:コバルトブルー)の釉薬もよく使われるのだとか。どちらも、普段の食卓に自然と馴染むような、暖かみもありつつ、シックな雰囲気をまとう器が出来上がります。

私が出会った『益子焼』の器

私と『益子焼』の器との出会いは、たまたま『益子』の町を旅行で訪れた時でした。私にとって、『益子』の町は、「東京から近い焼き物の里」ということで、以前より気になる存在でありました。
『益子焼』に出会うまでは、つるんとつややかな磁器(土ではなく砕いた石で作られる器)を、日常で使うことが多かったのです。そんな折、土本来の質感で厚手に作られた『益子焼』の器に出会い、「今まで使ったことないタイプの器だな。使いこなせるだろうか…」と少し戸惑いました。しかし、いざ『益子』の町にある陶器のギャラリーや店舗に足を踏み入れると、戸惑っていたことも忘れてしまうくらい、素敵な『益子焼』の器たちに魅了されてしまいました。
使う度にほっと和む、優しい触れ心地『益子焼』の器が食卓に並んでいるところ
伝統的な丸みのある厚くぽってりとした器もあれば、作家性に富んだユニークな器もあり。そこで出会った器たちに、ベテランから若手陶芸家まで、数多くの作家がいる『益子』の町ならではの、幅広さや奥深さを感じました。
その出会いがきっかけで、私はすっかり『益子焼』のとりこに。それからというもの、『益子』の町をちょこちょこと訪れては、少しずつお気に入りの『益子焼』の器を集めるようになりました。「手持ちの他の器と合わせづらいかな?」というような、個性的な色や模様の器でも、『益子焼』特有の素朴な佇まいで毎日の食卓で使いやすいんですよ。

『益子焼』から感じる、素朴さと味わい深さ

土で作られる「陶器」は、砕いた石で作られる「磁器」に比べ、料理などに使う前にお手入れが必要だったりと、少し手間がかかるもの。しかし、ほっこりとした土の風合いや、手作りの暖かみのある雰囲気など、陶器でしか味わえない魅力がたくさんあります。特に食器は必ず手に触れるものだから、見た目だけでなく触れ心地からも、楽しみたいものです。
また、陶器は採れる陶土や産地によって、がらりと雰囲気が変わるのも面白いところ。今回ご紹介の『益子焼』だけでなく、日本全国の陶器の里を訪れてみると、産地ごとの違いや特徴が感じられます。陶器、磁器、どちらの良さも楽しみつつ、日々の暮らしで大切に使い続けていきたいですね。

『益子』の町では、春と秋に、毎年盛大な陶器市が催されているんですよ。普段お会いすることができない陶芸家さんにお話を聞いたり、数多くの器からお気に入りを探すことができたり。気持ち良い季節に、お出かけがてら『益子焼』との出会いを楽しんでみませんか?
大切にしながらも、日常の暮らしで使い続けたい『益子焼』の器。食事をいただく時、器に手を添える度に、暖かな触り心地で癒されます。器を探す時に、触り心地も意外と重要なポイントなのではないでしょうか?するする、さらさら、しゃりしゃり。独特な『益子焼』の器の触り心地を感じてみてください。
使う度にほっと和む、優しい触れ心地『益子焼』の飯椀が並んでいるところ

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記事/ケノコト編集部

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