
人間だもの『優柔不断でいい。愛すべき人間らしさ』
目次
転職、結婚、子ども。服選びに夕食の献立に夏休みの旅行先……。
人生の節目でも日々の暮らしの中でも、私たちには迷い、決まらないことがたくさんあります。大胆な決断で道を切り開き、成功している人の話など聞こうものなら、目の前のランチメニューもさっさと決められない優柔不断な自分にうんざり、という人もいるかもしれません。
しかし、書籍『人間と機械の間 心はどこにあるのか』によれば、この「決まらなさ」こそが、生物であることの証。生物が色んな環境に対応することを可能にさせている大切な性質です。
池上高志、石黒浩『人間と機械のあいだ 心はどこにあるのか』(講談社)
人間の「決まらなさ」が環境への適応力を生む
「コンピューターはキーボードから正しい入力を与えてやらないと、正しく動けない。生物の場合には、そんなコンピューターのようには入力を限定しない。コンピューターにコーヒーをぶっかけたら、コンピューターそのものが壊れてしまう。コーヒーをかけられたら、熱いと言って怒るかもしれないし、数字じゃないものを数字とみなすかもしれない。それが現実世界である。入力を限定しなくても使えるコンピューター、それが生命の大事な性質である」(本書224ページ)
コーヒーをかけられたら、壊れてしまうのではなく「熱い!」と怒り、入力された情報に縛られずに自分の判断で行動するのが人間。入力に1対1で対応するコンピューターとは異なり、人間には一定の「決まらなさ」があるため、多様な環境に適応することが可能になっていると分析します。
Photo by MARIA
ツイッターは生きている?
2010年から2012年までの2年間で、ウェブのデータの90%が構築されたと言われています。その理由はツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディア(SNS)。人と人との日常的なコミュニケーションがウェブを介して行われるようになったことで、圧倒的にウェブの情報量が増えたといいます。
ツイッターの世界は、現実世界で起きていることとは少しずれています。大きな地震があれば「地震」という単語を含んだツイートが急激に数を増します(バーストする)が、実際には地震が起きていなくても、「最近、地震がないね」「そろそろ地震が起きそうだね」「あの地震からもう5年だね」といった形で地震に関するツイートが起きうる可能性があります。
情報が取り込まれ、生成され、循環し、バーストする。ツイッターには、平常モードと興奮モードが存在し、情報の流れが自発的に作られるところは、生物の神経細胞が興奮して働く様と同じです。
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そのツイッターにおけるセンサーは人。実際に起きていることだけでなく、さまざまなできごとを妄想する人間という存在が、ツイッターに生命のようなダイナミクスを与えています。
「妄想力」はあなたの味方
『人間と機械の間』によれば、人間にあって人工知能にないのは、妄想する力。妄想で自発的に問題を走らせる能力こそが生物の本質であり、「決まらない」のは、いろいろな未来や選択を妄想し、可能性を模索する力があるからです。
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「決まらなさ」は生物が生き抜くための強みであり、「妄想すること」こそが人の知性の特徴である――。この本を読むと、優柔不断で頼りないと思っている自分もあの人も、妄想力に満ちたたくましい存在として愛しく思えてくるのではないでしょうか。
文/村中 璃子
記事/ハレタル
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