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ご当地 2017.06.23

楽しみ方もドイツ流『季節の食材Spargelとの暮らし方』

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みなさん、「旬の味覚」を楽しんでいますか?
四季の移ろいの豊かな日本では、季節ごとに様々な旬の食材が登場しますよね。春はタケノコ、秋なら松茸や秋刀魚など・・・
それは世界を見渡しても同じ。ドイツに在住する方から、今の季節巷を賑わせている旬の味覚を教えてもらいました。
それが「Spargel」。 白アスパラガスです。日本ではあまり馴染みのない白アスパラガスですが、ドイツでは本当に愛されているお野菜なんですって。その楽しみ方がとっても独特。専用のお鍋まであるのだとか。

今回は、春から初夏にかけて人々が心を躍らせ夢中になるこの魅惑の食材、「Spargel」について、ドイツの食べ方から楽しみ方までお伝えします。

spargel_IMG_001▶この季節に街のあちこちで見かけるシュパーゲルの看板(右)。

誰もを魅了する美しい野菜、Spargel シュパーゲル

「Spargel」という言葉は、直訳すると「アスパラガス」。ですから厳密に言えば、白アスパラガスは「Weißer Spargel」で、もちろんグリーンアスパラガス「Grüner Spargel」もあります。しかしこの季節は「Spargel」=「白アスパラガス」と解釈されることがほとんどなほど、明らかに白アスパラガスのほうが目立っています。

日本では白アスパラガスは非常に高価で出荷量も少なく、なかなか食卓にのぼることのないお野菜ですよね。でもドイツの街中の八百屋さんやスーパーマーケットでは、4月中旬ごろになるどっさりと積まれた立派なシュパーゲルたちが姿を現し、その様子はまさに壮観。日本ではまずお目にかかれない宝の山のような光景に出会うたび、私はウキウキと心が高揚してしまうのです。

spargel_IMG_002▶八百屋さんに並ぶシュパーゲル。色の白さや太さ、大きさによって一等、二等、赤ちゃんシュパーゲルなど種類が色々あり価格も変化する。

ドイツの人々はシュパーゲルが本当に大好き!昨年私が語学学校に通っていた時、料理好きの先生にシュパーゲルについて聞いてみたところ、「絶対食べてみなきゃだめよ。」と満面の笑みを浮かべ、おすすめの調理法をくわしく教えてくれたことを、今でもよく覚えています。ドイツでもシュパーゲルは高級野菜のひとつですが、それでもたっぷり2kg以上買って帰るお客さんの姿も珍しくありません。
生のシュパーゲルの出荷時期はとても短く、通常4月中旬から6月24日(洗礼者ヨハネの祝日)までと制限されています。これは、生産に時間のかかるシュパーゲルの乱獲を防ぎ、新しい芽が成長する力を弱めないようにするためだそうです。「期間限定の食材」であることも、シュパーゲルの特別感を一層高めているのかもしれませんね。

spargel_IMG_003▶市内最大の屋外市場Viktualienmarkt ヴィクトアリエンマルクトにて、朝採れのSpargelを選ぶ人々。

Spargel専用!白アスパラガスを楽しむためのグッズたち

シュパーゲルがどれだけドイツでポピュラーな存在であるかは、街でショッピングをしていても伝わってきます。大型デパートの台所用品売り場にはこんなものが。
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この縦長のお鍋はその名も「Spargeltopf」=「シュパーゲル専用鍋」です。長いシュパーゲルを縦に入れて水を鍋の深さの2/3位まで注いで蒸し煮にすることで、柔らかい芽の部分と硬い根元を均一に茹で上げることができるそうです。果たしてどのくらいのご家庭がこのお鍋を使っているかは定かではありませんが、一年のうちほんの一時しか味わえない食材のために作られた鍋があるということは、それだけシュパーゲルがドイツの人々に愛されているということなのでしょう。この他にも、シュパーゲル専用の皮むき器なども売られています。

本屋さんの料理本コーナーでは、もちろんシュパーゲルをテーマにしたレシピブックを見つけることが出来ます。スープやサラダ、メイン料理まで様々なバリエーションのシュパーゲルメニューがきれいな写真とともに綴られ、とても興味深い内容です。ドイツの料理本は写真集としても美しいものが多いため、お料理好きな方のために、このような珍しいレシピブックをお土産にしても喜ばれるかもしれませんね。

spargel_IMG_005▶他の料理本とともに並ぶシュパーゲルのレシピブック(下段右から二番目)。

シュパーゲルもソースもたっぷりと!ドイツ風シュパーゲルの味わい方

シュパーゲルの味わい方は色々とあります。ゆでて溶かしバターと塩を添えたり、生ハムを巻いたり・・・。中でもドイツでよく見かけるのは、Sause Hollandaise オランデーズソースをかける食べ方。オランデーズソースはバターや卵黄、レモン汁をベースとしたとてもリッチなソースです。もちろん手作りできますが、ドイツのスーパーマーケットには手軽に使える粉末のソースミックスがたくさん売られています。時間がないときは、このようなものを活用してみてもいいかもしれません。

spargel_IMG_006▶粉末のソースミックス。こちらはバターを使わずに作れる低カロリーバージョンのもの。

シュパーゲルの茹で方を簡単にご紹介しましょう。
まずは根元を長めに切り落とし、皮を芽から根の方向に厚めに剥きます。シュパーゲルの皮は非常に筋っぽく、根元は苦みがあることが多いため、ケチらず大胆に作業することが大切です。この皮と根元はまだ使うので、捨てずに残しておきましょう。
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大きめの鍋にシュパーゲルと皮、根元を入れ、全体ががひたひたに浸かるように水を入れます。そこに少量のバターと砂糖、塩、レモン汁を加えて火にかけ沸騰させ、沸いたら中火で15~20分ほど茹でます。しんなりと柔らかくなったくらいが食べごろです。前述したように専用のお鍋もありますが、私はいつもフライパンを使ってしまいます。
シュパーゲルが茹で上がったらお皿に盛り付け、お好みのソースや付け合わせを添えれば出来上がり!このとき、シュパーゲルは目を見張るほどたっぷり盛って、ソースもこれまたたっぷりかけるのがドイツ流。レストランでも驚くほどのボリュームで供されることが多いですが、シュパーゲルそのものは非常に低カロリーで口当たりも柔らかいため、意外とぺろりと食べられてしまいます。さっぱりとしたシュパーゲルに濃厚なソースやベーコンを絡めて味わうと、一口で幸せな気分になれる美味しさです。ドイツの人々が夢中になる理由がよく分かります。

spargel_IMG_007▶新ジャガイモとベーコンを添えたクラシカルな盛り付け。何を添えても、あくまで主役はシュパーゲル。

シュパーゲルを茹でたあとのお湯は捨てないようにしましょう。シュパーゲルの茹で汁はトウモロコシのような甘い香りがして、皮や根元を一緒に茹でることでとても美味しい出汁が溶け出ているのです。ざるなどで濾して、ぜひともスープやリゾットに活用してくださいね。

ちなみに私は脂っこいものがちょっと苦手なので、普段シュパーゲルを調理するときはオランデーズソースは作らず、チーズ入りのホワイトソースを作って添えています。このときもシュパーゲルの茹で汁を使うとソースの旨味が一層アップ!あっさりした味がお好みの方には、このような食べ方もおススメです。

spargel_IMG_009▶ある日の食卓。ちょっとヘルシーに、豆乳と米粉のホワイトソースを添えて。

おススメ!お土産にもなるSpargel

意外と知られていないのですが、生のシュパーゲルは検疫さえ受ければ日本へ持ち帰ることが出来ます。野菜は品目によって国外へ持ち出せるものと持ち出せないものがありますが、シュパーゲルの場合は、空港で検疫を受ければOKと取り決められています。手順も非常に簡単で、日本の空港でスーツケースを受け取ったあと、税関審査の前に植物検疫カウンターに行ってチェックを受けスタンプを押してもらうだけです。私も実際経験したことがありますが、検疫は本当にすぐに終わりました。そのときは帰国当日にスーパーマーケットで新鮮なシュパーゲルを選んで購入し、手荷物として日本に運びましたが、まったく問題なく、家族と一緒に美味しいドイツの味覚を味わうことが出来ました。ドイツでも高価とはいえ、相場は日本と比べるとぐんとお安くなるシュパーゲル。ドイツ旅行で見かけたら、ぜひお土産にいかがでしょうか。

spargel_IMG_010▶実際に日本に持ち帰ったシュパーゲル。こんな立派な白アスパラガスが手軽に買えるのも、産地ならでは。

日本にいたとき缶詰の白アスパラガスしか知らなかった私は、正直このお野菜にほとんど興味を持っていませんでした。しかしドイツで暮らすようになり初めて生のシュパーゲルを調理して食べてみて、「この美味しさを知ることが出来ただけでも、ドイツに来た意味がある!」と本気でそう思い、瞬く間にシュパーゲルのファンになってしまいました。ドイツでは今年のシュパーゲルシーズンはもう終わってしまいますが、もし皆さんがドイツや日本で生の白アスパラガスに出会うことがあれば、ぜひともおうちに連れて帰って味わってみてください。まろやかで優しい季節の味覚に、心躍ること間違いなし、ですよ。
spargel_IMG_Key のコピー

記事/吉良麻実
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<ライタープロフィール>
茨城県生まれ。子供の頃から大の料理好き。京都造形芸術大学卒業後、都内のCGプロダクションでアニメーション等の制作に携わる傍ら、週末には自家製天然酵母で山ほどパンを焼くという生活を7年間続ける。パンの世界をもっと深く学びたいと、2016年にドイツへ移住。パン職人の国家資格Geselle取得を目指し、現在ミュンヘン郊外のパン屋さんで修行中。モットーは「ひとの暮らしに寄り添うパン作り」。
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