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取材 2017.07.26

100人100色―セブ島の小さな町で工房を設立。手編みラフィアバッグブランドの会社を経営ー関谷里美さんのお話し

それぞれの立場、個々の考え方によって「働く」ことへのスタンスは異なります。正解なんてありません。
「100人100色」では、100人の「働く女性」に登場いただき、等身大の姿を語っていただきます。
年齢、環境、キャリア全ての背景が異なる人たちの100とおりの『想いや生き方』の中に、きっとあなた自身にとってのヒントが見えてくるはずです。

今回ご紹介するのは、東京都品川区在住の会社経営者関谷里美さん(65)です。子どもの頃から絵を描いたり作ることが大好きだったという関谷さん。東京・青山で輸入雑貨店を経営した後、フィリピンに渡って天然素材ラフィアを使った手編みのデザインや技術指導を行います。そしてセブ島の小さな町で工房を開き、現地の女性とともに手編みバッグの製作を始めました。誰も知り合いのいないセブ島でゼロからスタートした関谷さんが、現地の女性との信頼関係を結び、フェアトレードのバッグブランドの会社を経営するまでの道のりを伺いました。

——お住まいはどちらですか?

JR山手線の五反田駅と大崎駅の中間ぐらいに位置する古いマンションに、2匹の愛猫と住んでいます。この地域に住みたくて居を構えたのではなく、マンションを探していた当時(20数年前)、住みたかった場所でいい物件が見つからず、全然なじみのない五反田に住むことに。住めば都で、両駅とも数本の線が通っていてどこへ行くのも便利なので、今ではここでよかったかな、と。マンションの隣りが大学であるため、ベランダからは借景できれいな校庭が望め、圧迫感がないのも気に入っています。

——これまでのキャリアを教えてください。

小さい時から何かを作ったり絵を描いたりすることが大好きな子供で、小学校高学年のころには、誰にも教わることもなく編み物の本を見ればレース編みが出来るようになっていました。迷わず美大へ進学。学生時代に友人とニットブランドの会社を作り、自らデザインして編んだ製品を原宿や青山のブティックに卸していました。

女子美術短期大学造形科卒、文化服装学院ニッティング科中退を経て、語学の勉強のため渡英。帰国後、欧米からの輸入雑貨店を東京・青山で開店しました。雑貨屋経営のパイオニア的存在で雑誌、テレビなど各方面で取り上げられました。店は25年続け、2010年1月に閉店しました。

その後、足掛け2年フィリピンに通い続け、天然素材ラフィアを使用した手編みのデザイン、技術指導を行いました。手編みバッグの品質と供給の見通しが立った2011年11月、エシカル x フェアトレードのバッグブランド、株式会社スルシィを設立。スルシィのバッグデザイナーも兼任しながら、日本とフィリピンを行き来しています。

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▶︎スルシィのラフィアバッグ

——これまでで一番忘れられない仕事のエピソードをお聞かせください。

誰も知り合いのいないセブ島の小さな町に工房を構え、その町に住む女性たち約20人に編み物のトレーニングを始めたのが2011年。辞めたりまた新しい人が加わったりして、現在の編み子さんは約50人。

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▶スルシィの編み子さんたち

2017年4月にセブで、編み子さんたちが自分でバッグのデザインをし、それを編んだバッグを持ってランウェイを歩くファッションショーを開催しました。ファッションショー会場の市の体育館には、編み子さんの子どもたち、ご主人、友だち、市長さん代理の方、村長さん、地元メディアの方、など何と300人近い方がファッションショーを見に来てくれました。
誰も知っている人がいない、日本人も住んでいない、セブ島の小さな町に工房を借りて約5年、こんなにも多くの知り合いが増えたことに、そして応援してくれる人がたくさんいることに感謝するとともに、忘れられない1日となりました。

−−これまでの人生でぶつかった壁はありますか?

フィリピンのセブ島とボホール島で編み物のトレーニングを女性たちに始めたものの、最初はなかなかこちらの言おうとしていることが分かってもらえず、気力や体力、資金が続かないかもしれないと、不安に思ったことも一度や二度ではありませんでした。

「生産者に対する責任を負ってしまった以上、もう後戻りはできない」
「いいモノを作ればきっとお客様に分かってもらえる」
「頑張れば自ずと道は開ける」

このブレない思いと信念だけで、女性たちに技術の指導を続けました。一方で、なんの疑いもなくついて来てくれる彼女たちの頑張りと笑顔に支えられながら、また、徐々に私の「本気」も女性たちに届き、それがお互いの信頼や安心につながっていったように思います。編み子さんたちと信頼関係を築けたのが大きかったように思います。

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▶工房にて編み子さんの子どもたちと
 

−−あなたにとって「働くこと」とはどういうことですか?

私にとって「働くこと」とは、自分が得意なこと、自分にしか出来ない事を誰かのために時間と労力を使うこと。もっと分かりやすく言うと誰かに喜んでもらいたいから働いているのだと思います。
そして自分がやりたいことができるというのは幸せなことであり、働くことによって人に喜んでもらえたり感謝されるのは、もっと幸せでありがたいことだと思っています。
また、「働くこと」を通して、色々な人と出会い、さまざまな繋がりができて、たくさんのことが経験でき、新しいことを知る楽しさも味わう。それが自分の人生を豊かにしてくれるのが分かっているから、そしてその醍醐味を味わいたいから働いているのかもしれません。

−−働いている時のあなたを「色」にたとえると?

セブ島で働いている自分は、フィリピンの澄み渡った空のブルーと海のブルー。
セブは毎日暑いですが、清々しいブルーはみんなと気持ちよく仕事をしていける清涼剤の色ですし、私が一緒に働くことでみんなに取って清涼剤として、また不快感のないブルーは安心できる色ですので、みんなに安心感を与える役割も担えたら、と思います。

−−今後、あなたが「こうありたい」と思う姿について教えてください。

バッグの生産量を増やすために、もっと現地の女性を雇用し、今より増えた編み子さんたちが活き活き仕事を楽しんでいる中で、私も一緒に仕事をしている姿と、新しいデザインを楽しそうに描いている姿。そのためには健康に注意し運動もし、ありたい姿の先に何が見えるかを常に想像しておきたい。もっと売り上げを伸ばすために、国内外の展示会に出展して販売先の確保など、欧米にも販路を広げられるようにしたいですね。

−−これからチャレンジしたいことは?

シャネルやプラダとスルシィがコラボし、革+ラフィアのバッグを作り、欧米で販売!やって出来ない事はないことをフィリピンの編み子さんたちと体現し、身をもって示したいです。

−−日課や習慣にしていることはありますか?

日課ではありませんが、週に2回はジムに行き身体をほぐすようにしています。

−−息抜きやストレス発散の方法を教えてください。

愛猫が寝ている姿をボーッと眺めることです。

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▶愛猫のパコ(白・♀)とパジ(黒・♂)
 

−−あなたの生活の中でのこだわりや、お気に入りは?

気に入ったものだけを置き、モノをあまり持たない、置かない、を実践しています。若い時にロンドンに住んでいたので、古いモノ、アンティークの小物も大好きです。

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▶アンティークコレクションの小物

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▶大好きなアンティークの食器
 

−−幸せだと思う時間や瞬間はどんなときですか?

ベランダの青々とした植物を見ながら、傍らには猫がいて、のんびりコーヒーを飲みながら、新聞をめくっているとき。また、セブの現地で、編み子さんに必要とされていると感じるとき。でも基本的には一人が割と好きで、家にいることも好きです。

−−自分の人生で一番大切にしていることはなんですか?

自分がされて嫌なことは他人にしない。人を外見で判断しないことです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
セブ島の女性たちと協力しながら、いきいきと働く関谷さん。働いている時の自分を、フィリピンの海と空のブルーで表現してくれました。涼やかなラフィア素材のバッグは、一目一目に関谷さんと編み手さんの想いが込められ、セブ島の爽やかな風を届けてくれます。

 
取材・記事/
いろんな女性の働く・暮らすを知ること 『100人100色』は、SAISON CHIENOWAとケノコトの共同記事です。

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関谷さんのお仕事関連のサイトこちら
フィリピンの女性たちがフェアトレードで作る、おとな可愛いラフィアバッグ Sulciのホームページ
スルシィのブログ
日テレのnews everyで放映されました。動画はこちら。

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