
オクラ、おかのり…粘りが特徴『アオイ科の野菜の種類とあれこれ』
フヨウやタチアオイなど、大ぶりで美しい花を咲かせるアオイ科の植物。このアオイ科に属する野菜があるのをご存じですか?アオイ科の野菜には、オクラ、おかのり、モロヘイヤなどがあります。
花を見る機会は少ないですが、どの野菜もやはり花が美しいのが特徴の一つとなっています。
オクラ-『アオイ科の野菜の種類とあれこれ』
代表的な夏野菜の一つ、オクラ。和名はアメリカネリ、あるいは陸蓮根(おかれんこん)で、オクラ(okra)というのは意外にも英名です。本来は多年草ですが、高温を好むオクラは日本では越冬することができないので、毎年種を蒔いて栽培する必要があります。アオイ科らしく大ぶりで美しい、薄黄色の花を次々に咲かせます。オクラとして一般的に食されているのは、この花のあとの果実(若いサヤ)の部分となります。旬は夏ですが、次々と結実するので、きちんと管理すれば秋頃まで収穫を続けることができます。オクラは、輪切りにすると5角形あるいは星形になるタイプのものが主流ですが、円形になるタイプの島オクラもあります。通常、オクラは長く大きくなってしまうと筋ばってしまいますが、島オクラは長くなっても比較的柔らかいのが特徴です。また、緑色だけでなく、赤色、白色(非常に淡い緑色)の品種もあります。残念ながら、赤色のオクラも茹でると緑色になってしまうので、赤色を生かしたい場合には周囲のうぶ毛を取って生食するとよいでしょう。
このようにいろいろと種類が分かれているオクラですが、共通している特徴は、独特の粘りです。
この粘りの中には、水溶性の食物繊維であるペクチンや、炭水化物とタンパク質の複合体であるムチンという成分が豊富に含まれています。そのため、胃の粘膜を保護したり、消化を助けたり、血糖値やコレステロール値を下げたりといった効果があるとされています。βカロテンも豊富で、心筋梗塞や動脈硬化の予防、新陳代謝の活性化、抗酸化作用などの効果も期待できます。また、ビタミン、ミネラル類も豊富に含まれているので、むくみの改善、骨粗しょう症の予防、イライラの改善など、さまざまな効果があるといわれ、効率よく栄養を摂取できる野菜です。オクラはやわらかいものなら生食できる野菜なので、サラダなどにして食べることができます。その他にも、さっと茹でてお浸しにしたり、和え物にしたり、炒め物に入れたり、天ぷらにしたり、バーベキューなどで焼いたりと、どんな食べ方でもおいしく食べられます。ネバネバ仲間である山芋や納豆との相性もよく、手軽に和えて丼にするなどもおすすめの食べ方です。食欲がなくなる夏の時期でも食べやすい食材なので、いろいろな料理に取り入れて積極的に摂取していきましょう。
おかのり-『アオイ科の野菜の種類とあれこれ」
おかのりは、ハーブティーなどで親しまれている冬葵(ふゆあおい)の変種とされている野菜です。陸海苔(おかのり)という字のとおり、生の葉を包丁で細かくたたくと海苔のように粘りが出るのが特徴です。また、葉を乾燥させて、海苔のように火でさっとあぶって食べるという食べ方があることも、その名前の由来となっています。旬は初夏から秋までと、比較的長い期間となっています。
食べる部分である葉は、紅葉の葉のように、先が丸く5つに分かれた形状になっています。表面はツヤがなくがさがさしていて、少し厚みがあります。葉を茹でるとぬめりが出てきますが、さらに包丁でたたくと粘りが出てきます。このぬめりや粘りのおかげで、夏の暑い時期でも食べやすいといわれています。
また、味にクセがほとんどないので、さっと茹でて納豆などと和えたり、天ぷらにしたり、みそ汁の具にしたりと、どのような料理にも重宝します。
おかのりは栄養価が高いことでも知られています。おかのりに含まれているカルシウムはホウレン草の2倍ともいわれ、骨粗しょう症や高血圧の予防、イライラを鎮める作用、大腸がんの発症リスクを下げる効果などが期待できます。また、ビタミンB1も含んでおり、エネルギー生産、皮膚や粘膜を健康に保つ働きなどがあるといわれています。ただ、おかのりを一般的なスーパーなどで見かける機会はあまりありません。その存在を知らない人も多い、かなり珍しい野菜といえるので、生産されている地元の直売所などで見かけたら、試しに購入して損はないでしょう。また、おかのりは、プランターでも比較的容易に栽培できる野菜といわれています。上品な薄紫色の花は、中心から広がる濃い紫色のスジがアクセントになって大変美しく、さすがアオイ科といいたくなる容姿です。花も楽しめるオカノリを、思い切って栽培してみるのも楽しいかもれません。特に夏場は葉物野菜が少なくなる季節なので、きっと食卓の強い味方になってくれることでしょう。
アオイ科の野菜を使ったおすすめレシピ
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ここで説明したオクラやおかのりの他にも、夏野菜の王様ともいわれるモロヘイヤもアオイ科の野菜です。やはり粘りが強く栄養価が非常に高いことでよく知られるようになりました。夏の暑い時期を健康的に乗り切るために、これらアオイ科の野菜を積極的に食卓に取り入れていきたいものです。
文/ケノコト編集部
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