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ケノコト独自の視点から、様々な人や場所、物を取材して、WEBをはじめとする色々な場所で公開します。

取材 2017.09.09

「会いに来るバイオリニスト」として、音楽を身近に。音楽事務所経営・バイオリニストー阿部志織さんのお話し

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それぞれの立場、個々の考え方によって「働く」ことへのスタンスは異なります。正解なんてありません。
「100人100色」では、100人の「働く女性」に登場いただき、等身大の姿を語っていただきます。
年齢、環境、キャリア全ての背景が異なる人たちの100とおりの『想いや生き方』の中に、きっとあなた自身にとってのヒントが見えてくるはずです。

今回ご紹介するのは、「会いに来るバイオリニスト」として音楽事務所を経営する、バイオリニストの阿部志織さん(31)です。クラシック音楽やバイオリンの音色に憧れはあっても、敷居が高いと感じて敬遠する人も多いのではないでしょうか。阿部さんは「生演奏を身近に感じて欲しい」と、音楽事務所エル・マジェスタを立ち上げ、完全オーダーメイドの生演奏の活動やバイオリン教室主宰などの事業を展開しています。「女性音楽家が結婚しても出産しても音楽活動が続けられる仕組みを作る」という想いで精力的に活動する阿部さんの、音楽への情熱と仕事観についてお話しを伺いました。

——お住まいはどちらですか?

現在は東京都港区在住です。
この場所に住むと決めた理由は、やはり交通の便が良いからでしょうか……固定の勤務地がない私のような仕事において、どこへ行くにも行きやすいですし、前よりも更にフットワークが軽くなったと思います。いつ呼びだされても動ける場所にいると、仕事においてチャンスも多いです!

——阿部さんのキャリアについて教えてください。

高校時代に友人と行った路上ライブがきっかけで「会いに来るバイオリニスト」として10年以上、いつでもどこでも会いに行って生演奏の魅力をお届けしています。
「生演奏」というと「敷居が高い」「馴染みがない」というイメージのある日本において、もっと身近に感じていただきたい、生演奏のあふれる日本にしたいという想いで活動しています。
また、「女性音楽家が結婚しても出産しても音楽活動が続けられる仕組みを作る」というミッションのもと、2015年末に音楽事務所を立ち上げました。完全オーダーメイドの生演奏の宅配サービスで、現在、登録アーティストが100名ほどいます。もちろん、全員女性です!
和装で和楽器も入った世界初の女性だけの和洋楽オーケストラ「和奏女子楽団——ウーマンオーケストラ——」の運営もしています。

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▶「和奏女子楽団——ウーマンオーケストラ——」の演奏風景。
 

——これまでにぶつかった壁はありますか?

東日本大震災が起こった2011年は、それまでスケジュールがいっぱいに埋まっていたクリスマス時期でさえ、仕事がゼロになりました。まず、エンターテイメントの部分から削られていくのだということを目の当たりにしました。

それからは、バイオリンの活動を芸術やエンターテイメントとしてだけでなく、ビジネスとして捉えるようになりました。
ただ自分がやりたいことをやるのではなく、人の不安や問題を解決する方法を探した結果、「かっこいいオヤジになる為のバイオリン教室」を思いつき、その年に立ち上げました。世の中の、娘や奥様から煙たがられているお父さんを、バイオリンの弾ける「かっこいいオヤジにしよう!」と(笑)。ユニークなネーミングと他にはないサービスだったので、お陰様で新聞やラジオでも取り上げていただき、たくさんの方に広めることができました!

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▶初めての自主公演では、約200人のお客様に足を運んでいただきました。
 

——これまでで一番忘れられない仕事のエピソードをお聞かせください。

バイオリンの演奏を初めて聴いた5歳の女の子が、涙を流して聴いてくれたことです。
その時は特に感動的な曲を演奏したわけではなく、どちらかと言えば元気でポップな曲を演奏したのですが、私の演奏を涙を流しながら聴いてくれた女の子がいました。
本人曰く「何で涙が出てきたかはわからない」とのこと。おそらく生まれて初めての感情だったのでしょう。音楽には、人の心を動かす不思議な力があるなと思いました。

——あなたにとって「働くこと」とはどういうことですか?

働くこと=社会貢献ではないかと思っています。
よく「好きなことを仕事にできていいね!」って言われるのですが、いやいや、好きなことだけやっていたなら、それは趣味で終わってしまうよ、と思います。自分のやりたいことで更に人が喜ぶことはボランティアです。
自分のやりたいことで人に喜んでもらえて、更にその喜びを対価としていただくことが「働くこと」ではないでしょうか。対価が伴うと、義務と責任が生まれます。その義務・責任を果たすことが社会貢献につながると思っています。

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▶クラシック版流し!串カツ屋さんでも演奏しちゃいます。
 

——働いている時のあなたを「色」にたとえると?

もちろん、赤です!
赤は私の中で炎やバラのイメージが強く、働いている時の自分は炎のように常に熱く情熱に溢れていて、バラのようにトゲトゲしい部分も持っていると思っています。やはり、会社を背負う立場なので、情熱の中に、時にはトゲトゲしい部分も出てしまいます(笑)。

おかげさまで、テーマカラーが赤になってしまい、演奏時の衣装や持ち物など、ほとんど赤です。「どの色がいい?」とみんなで何か色を選ぶ際にも「阿部さんは赤だよね!」と人から言われるようになったほどです。

——今後、あなたが「こうありたい」と思う姿について教えてください。

真面目に言うと笑われちゃうと思うんですけど、渋谷のスクランブル交差点を歩いていたら、全員が振り返るくらいの不思議なオーラを放つ人間になることですかね!
そのために努力していることは「常に向上心を持って何でも挑戦する」こと。現状にとどまらず、常に新しい挑戦をしている人って、いつもワクワク・キラキラしていると思うんです。
オーラって体の中から湧き出てくるものですから、上っ面で着飾ったものではなく、心からのワクワク・キラキラが素敵な光となって放たれるのではと思っています。

——これからチャレンジしたいことは?

会員制ミュージックバーのオーナー♪
生演奏のあふれる日本を作るため、今は「完全オーダーメイドの生演奏の宅配サービス」という形で、生演奏をお届けしていますが、ゆくゆくは「ここへ行けば生演奏が聞ける」という場所も作っていきたいです。
女性音楽家が活躍する仕組みを作るには、一つ拠点があることも重要だと考えています。また、そこは託児所付きにしたいです。今までの音楽家の先輩方を見ると、結婚はしても音楽活動を継続するために出産しない道を選ぶか、音楽の道を諦めて家庭に入る方も多いので、その両方の問題を解決する環境を作りたいです。家庭と仕事の両立!これ理想じゃないですか。

——あなたなりの息抜きやストレス発散の方法を教えてください。

ゴルフに行くことです!
大自然の中、ドライバーをブンブン振り回すととても気持ちが良いですし、歩いてコースを回ると良い運動になるので、ストレス発散になります。ゴルフ中はスコアメイクに集中しているので、悩みなどどこかに吹っ飛んでしまいます。また、ゴルフは人生の先輩方と回ることも多いので、人生相談や仕事の相談をすることもあります。そこで解決策が見つかったり、お話を聞いていただいてスッキリしたりしています。

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▶大自然の中、ドライバーを思いっきり振ってストレス発散。
 

——日課や習慣にしていることはありますか?

朝起きた時に白湯を飲むことです。
今は便利な時代なので、電子レンジでも電気ケトルでもボタン一つでお湯が沸きますが、そこは敢えて、ヤカンでお水から沸かします。お湯が沸くまで待っている間にもいろいろなことが出来るし、お湯をふぅふぅしながらゆーっくり飲む時間はとても心が落ち着きます。
体の内側からポカポカすると血行が良くなって頭の回転も良くなる気がします。お気に入りのバイオリンのマグカップで飲むのが日課です。

——あなたの生活の中でのこだわりや、お気に入りは?

ピクニックに行って、太陽の下でお昼寝することです。
晴れの日は手作りのお弁当を持って、よくピクニックに行くのですが、青空を眺めながら、木々の匂いに包まれながら、目を閉じて深呼吸をすると頭が空っぽになって、時間が止まっている感覚になります。
日々、考えごとはたくさんあるのですが、この時間が全て解決してくれるんです。お昼から寝られるって最高の贅沢ですよね!

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▶友達とピクニックに行った時の手作りお弁当
 

——幸せだと思う時間や瞬間はどんなときですか?

私の演奏を聴いて「生演奏を初めて聴いた。感動した!」と言われる時です。どこへでも会いに行って演奏する「会いに来るバイオリニスト」なので、バイオリンの生音を初めて聴いたという人に、よく出会います。その方の人生において、初めての経験に自分がなれることって最高に嬉しいですよね。
私をきっかけに生演奏を身近に感じてくれたり、音楽に興味を持ってくれたり、その連鎖が広がって行くことがとっても幸せです!!

——自分の人生で一番大切にしていることはなんですか?

小学生の時に習った「五つの心」です。
『はい』という“素直な心”『すみません』という“反省の心”『おかげさま』という“謙虚な心”『私がします』という“奉仕の心”『ありがとう』という“感謝の心”
これさえあれば、生きていけると思っています。プライベートにおいても、仕事においても、とても大切な言葉たちです。

ーーーーーーーーーーーーーーーー
働いている時の自分を、情熱の赤で表現してくれた阿部さん。炎のように燃える想いと、深紅のバラのような華やかさは、そのバイオリンの音色にも艶やかに表れているようです。そして結婚や出産を経た女性アーティストの音楽活動をサポートするという志は、未来の様々な状況にある音楽に関わりたい方たちを支える大きな力となっていくことでしょう。生演奏ならではの音の響きで人々に感動を与える阿部さんの活動、これからの展開が楽しみですね。

 
取材・記事/
いろんな女性の働く・暮らすを知ること 『100人100色』は、SAISON CHIENOWAとケノコトの共同記事です。

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阿部さんのお仕事関連のサイトこちら
会いに来るバイオリニスト阿部志織-violin facebookページ
生演奏あふれる日本を創出する株式会社エル・マジェスタのサイト
かっこいいオヤジになる為のバイオリン教室 GINZA EL MAJESTAのサイト

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