知るコト知るコト

ケノコト独自の視点から、様々な人や場所、物を取材して、WEBをはじめとする色々な場所で公開します。

旅行・おでかけ 2017.10.16

子供と一緒に楽しめる映画館『ユニバーサルシアターの魅力』

LINEで送る
Pocket

静かな空間で大スクリーンで映画を楽しむ、映画館。幼い子供がいるとなかなか行くのはためらってしまいますよね。でも、赤ちゃん連れだけでなく、目や耳が不自由な方でも楽しめる映画館があるのだとか。それはどんなところなのでしょうか?

ーーーーーーーーーー
育休中の友人から「赤ちゃん連れで楽しめる映画館に行ってきた」と聞かされた。シネコンで開催されている小さな子連れ向けの上映会に参加したのかと思ったが違うらしい。

子連れだけでなく、目の見えない人、耳が聞こえない人など、通常の劇場には行きづらい人たちが映画を楽しめる“ユニバーサルシアター”に行ってきたという。

駅までお迎えに行くことも

ユニバーサルシアター「シネマ・チュプキ・タバタ」は東京・北区田端にある15席ほどの小さな映画館。
上映するすべての作品は全席に搭載されたイヤホンジャックから場面解説の音声ガイドを聴くことができ、邦画にも日本語字幕がつく。赤ちゃんが泣いても気にしなくていい完全防音の親子鑑賞室や、車椅子スペースを完備。館内はバリアフリーが徹底されている。

5親子鑑賞室なら赤ちゃんが泣いても気にならない

リクエストがあれば駅からの誘導も対応するし、予約のお客さんが時間に間に合わない場合は上映開始を遅らせることもある。他に類をみない映画館だ。

「まだまだ多様なニーズがあると思うので、新しいお客さんが来たらどう対応するか考えていきたい」と代表の平塚千穂子さんは話す。

すぐに出かけられる場を

平塚さんはボランティア団体の「バリアフリー映画鑑賞推進団体 シティ・ライツ」を2001年に立ち上げ、目の不自由な人たちと映画を楽しむ場づくりを手掛けてきた。映画の視覚情報を言葉で補う音声ガイドを作ったり、公開されている映画を障害のある人たちと一緒に一般の劇場へ観に行く「シアター同行鑑賞会」を開催したり。

事前に作品の資料が入手しづらい新作映画の鑑賞会では台本を読むのではなく、映写室からFMラジオの電波を使ってライブ実況しイヤホンで聴いてもらうように。目の不自由な人たちにとってお手上げ状態だった外国映画も鑑賞できるようになったことで、一般の劇場が親身に相談に乗ってくれるようになってきた。

3チュプキの全席に搭載されたイヤホンジャックには左右の音のボリュームを調節できるレバーが付いている。聞こえ具合によって片方ずつ音量を調整できる

とはいえ一般の劇場でバリアフリーの鑑賞会が行われることは少ない。開催日を逃すと、次の機会まで期間があくことも多い。「バリアフリーの映画館に行きたい人が『今日観たい』と思ったときにすぐ出かけられる場を作りたかった」(平塚さん)。

バリアフリーにとどまらない

しかし映画館をつくるのは容易ではなかった。まず、物件の問題。利便性を考え、駅の近くで劇場に適した場所を探したが、消防法や防音の問題など、条件に見合った場所を見つけるのには苦労した。

やっと理想と思える物件に出合ったが、次に資金面の問題が立ちはだかった。賃料に保証金、工事や設備費……。見積もると、必要な資金は2000万円弱。簡単に踏み出せる計画ではなかった。

しかし周囲からの応援に背中を押されSNSやクラウドファンディングを通じて募金を呼びかけると、予想外の速さで目標金額の1500万円にたどり着き、16年に日本初のバリアフリー映画館としてオープンすることができた。

2
平塚さんは、ユニバーサルデザインであることのみならず、その一歩先をゆく“映画館としての質”にもこだわった。

平塚さんの経験によれば、視覚障がい者にとっては、映画を鑑賞するうえで音がとても重要。音のいい映画館にしたいと考え、国内外で活躍する音響監督に音響設計に携わってもらった。

天井にはスピーカーを配置し360度音に包まれるような環境に。こうすれば、優しく繊細な音もきれいに聴こえる。

1映画の音を振動で感じられる「抱っこスピーカー」

最近では、今、ブームになっている“爆音上映”にも挑戦。低音を効かせた大音量での上映は視覚障がい者だけでなく“爆音上映”好きのマニアックなお客さんにも「他の劇場に負けていない」と好評だ。

目をつむれば別の世界が見える

今は映画の上映だけでなく、音声ガイドのナレーションや台本制作の講習会の開催にも取り組む。音声ガイドに有名な声優を起用するなど、よりこの劇場を知ってもらうためのチャレンジも日々行う。

「視覚障がい者の映画鑑賞は、想像したり推理したりする分、作品の世界に入りこめるんです。見える人も目をつむって音だけの映画鑑賞をしたら、自分が知らなかった世界と繋がるきっかけになるかも」(平塚さん)

ユニバーサルシアターに行けば、映画鑑賞にとどまらない楽しみが広がりそうだ。

文/真貝 友香
記事/ハレタル
haretal-b
ママ時間からわたし時間へトリップ。
「何かしたい」「新しい自分を見つけたい」「一歩踏み出したい」――。
『ハレタル』はそんなみなさんの「モヤモヤ」に寄り添い、新たな気づきを提供する情報発信メディアです。
ホームページ

その他のおすすめ記事

ライフステージに合わせた働き方を考える『働くママが輝き続けられる理由』

ライフステージに合わせた働き方を考える『働くママが輝き続けられる理由』

信じるコトがその後に繋がる『子どもの夢をつぶさない子育て』

信じるコトがその後に繋がる『子どもの夢をつぶさない子育て』

みんな違ってみんないい『いろいろな家族のカタチ』

みんな違ってみんないい『いろいろな家族のカタチ』

LINEで送る
Pocket

コメント

コメント欄


instagram-iconみんなのInstagram

人気の記事

2018.12.12

12月13日は新年に向けての準備をしよう『正月事始めのコト』

2018.11.30

ワンボウルで混ぜるだけ『バナナとココナッツのパウンドケーキ』

2018.11.30

お掃除は『新聞紙』にお任せ!おうち掃除に役立つ使い方ご紹介

2018.11.28

【開催レポート】『クリスマスリース・ワークショップ』を開催しました!

2018.11.26

旬食材『牡蠣』ー 海のミルクと言われる栄養豊富な冬の味覚 ー

2018.11.25

甘みに驚き!レンジで時短『オニオングラタンスープ』

2018.11.23

人気の焼き芋をおつまみにアレンジ『焼き芋ゴルゴン』

2018.11.21

覚えておきたいおやつレシピ『酵母のスコーン』

2018.11.13

外はサクッ!中はフワぷりっ!『エビタラカツ と たくあんタルタル』

2018.11.12

台所育児エッセイ「暮らしに恋して」『 19 整理整頓なんて』

編集部おすすめ記事

2018.11.30

旬の秋鮭をおいしく!『秋鮭の味噌漬け焼き』

2018.11.27

大きなツリーは飾れない!コンパクトに飾れる『おしゃれで可愛いミニツリー』

2018.11.22

【新連載】『第1話 山型食パン』akari’s life style

2018.11.21

どこに置いたらいいの?『調味料のベストな保存場所』

2018.11.20

11月の和菓子 かわいい動物をイメージした『亥の子餅』 

2018.11.14

秋の味覚、新米。いつからいつまでが新米?

2018.11.13

これだけは抑えておきたい大掃除!『家族の役割分担を決めて効率的に終わらせよう』

2018.11.09

子どもと楽しむクリスマス『英語で歌えたらかっこいいクリスマスソング』

2018.11.08

もう覚えましたか?『新しくなった洗濯表示〜その覚え方のコツとポイント〜』

2018.11.03

ヨーグルトの酸味とブラックペッパーがほどよいアクセントに 『柿と水切りヨーグルトとブラックペッパーのサンドイッチ』

月間人気記事

2017.09.14

指先のカサカサを直したい!『指先の乾燥の原因とケア方法』

2017.07.16

こんな症状は危険かも『スマホのウイルス感染症状7つをチェック』

2017.03.15

管理栄養士が教える『デトックスウォーターの美容効果と注意点』

2017.04.01

脇の下を押すと痛くない?『脇コリの解消は 肩こり解消にもつながる』

2018.03.26

元美容部員が教える『自分の肌に合う化粧水の選び方』

2018.11.29

編集部おすすめ『週に1度の作り置きレシピ「大根」の常備菜」

2016.11.20

ほったらかしで大丈夫。干し野菜レシピ『干し大根をつかった作り置きおかず』

2017.08.30

みかんの栄養はビタミンだけじゃない!『知って得するみかんの成分と保存方法』

2018.07.12

知らなかった!こんなにも多い『ウリ科の野菜の種類とあれこれ』

2017.10.28

押し麦、もち麦、丸麦…種類によって異なる美味しさ『麦ご飯の種類とあれこれ』