
ハム、ソーセージ、ベーコンの歴史を知る『肉加工品の種類とあれこれ』
目次
ハムやソーセージは朝食の定番として、とても馴染みのある食材ですね。それらは肉からできているということはわかっても、何の肉のどこの部位を使っているのか・どのように作られているのかについては、意外と知られていません。ここでは、ハムやソーセージといった肉の加工品の起源や原材料についてみていきます。
ハム-『肉加工品の種類とあれこれ』
ハムとは豚のもも肉を意味する英語です。ハムの起源は古代ギリシャ時代にまで遡り、その時代にはすでに牛や豚などの家畜が飼育され食肉加工もされていたといわれているのだとか。
発祥の地とされているヨーロッパでの伝統的なハムとは、骨付きのもも肉を加工したものでした。それに対して日本でのハムづくりは明治維新頃に始まり、長崎・神奈川県戸塚・北海道の札幌の3か所でほぼ同時期にハムが作られたという記録が残されています。ヨーロッパと違い日本のハムは、もも肉に限らずさまざまな部位の肉を使っていることが特徴です。ヨーロッパの伝統的な骨付きの豚もも肉を使った骨付きハムは日本にも伝わりましたが、それ以上に有名なのが同じ豚もも肉を使っていても骨のないボンレスハムと豚ロース肉を使用したロースハム。また豚の肩の部位を使ったものはショルダーハムと呼ばれています。
これらが出来上がるまでの工程は、豚肉のそれぞれの部位の塊を塩漬けし熟成させた後燻製してボイルするというものです。これ以外に製造方法の違う生ハムがあり、それは燻製はしても加熱しないラックスハムと塩漬けした後乾燥するのみで燻製さえしないプロシュットと呼ばれるものに分かれます。なおプレスハムと呼ばれる種類もありますが、これは豚肉だけでなく馬肉や羊肉等さまざまな種類の肉のミンチと大豆蛋白等を原料としている日本独自のハムです。
ソーセージ-『肉加工品の種類とあれこれ』
ソーセージの起源も古いといわれ、紀元前のギリシャの叙事詩には祝宴の食材としてソーセージらしきものが登場しているのだそうですよ。日本ではハムより少し遅れ大正時代になってから、本格的にソーセージが作られるようになりました。ハムは塊肉をそのまま加工しますが、ソーセージはひき肉にしてから加工します。またソーセージは原材料として豚肉以外に牛肉や鶏肉なども使い、これも豚肉だけで作るハムと違っている点の一つです。
ソーセージには形態や製造方法の違う多くの種類があります。ウインナーソーセージ・フランクフルトソーセージ・ボロニアソーセージは多くの人にとって馴染みのあるソーセージですが、これらは同じ製法の中の太さの違いによる区別です。その製法は、豚・牛・鶏などのミンチを味付けし、羊腸または同じ位の太さのケーシングに詰めてからくん煙・加熱するというもの。製法はこれと同じで、ただ原料にチーズやほうれん草などの野菜が加わっているのがリオナソーセージです。他にも、内臓や血液を使ったものなど豊富なバリエーションがあり、イタリアにはザンポーネという名前の、豚の足に内蔵類を詰めて作った美味しいけれど見た目は豚の足そのものという変わったソーセージもあるそうですよ。
サラミ-『肉加工品の種類とあれこれ』
サラミとはイタリアで発祥したドライソーセージのことで、ハムやソーセージと同じくらい古くから保存食として広まっていました。サラミの主な原料としては豚肉が定番ですが、牛肉や鶏肉のみならずイノシシやシカの肉を使ったものまで様々。原料の違いはサラミを切った時の断面の色に現れて、牛肉を多く使っているものは紫色に、鶏肉や羊肉を使っていれば明るい赤色になります。サラミの作り方は、原料の肉をミンチにした後味付けしケーシングに詰めるところまではソーセージと同じですが、その後は加熱せずに2か月ほど乾燥熟成させるだけ。これがドライソーセージと呼ばれる所以です。乾燥させている時の状況もサラミの表面に現れ、表面のしわが細かくて小さければゆっくりと乾燥、深くて大きければ急激な乾燥が行われた印であるといわれています。
ベーコン-『肉加工品の種類とあれこれ』
ベーコンとは、塩漬した豚肉を燻製したものです。ベーコンの発祥は紀元前のヨーロッパで、当時の海賊が豚肉の塩漬けを誤って湿った薪であぶってしまったことから、味も保存性も高まる燻製という方法を発見したともいわれています。そのようなベーコンに主に使用されているのは豚ばら肉。その他にも、豚ロース肉を使用したロースベーコンや豚肩肉を使ったショルダーベーコンなどがあります。バラ肉を使ったベーコンは脂が多いため、ハムのようにそのまま食べることはあまりしません。ただその脂は風味が豊かであるので、まずベーコンを空煎りして脂を出しその脂を使って野菜等を炒めるという調理法がよく用いられているようです。
ハム、ソーセージ、ベーコン…肉加工品を使ったおすすめレシピ
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かつてのヨーロッパでは厳しい寒さの冬を乗り切るだけの飼料が確保できず、家畜である豚を冬の到来前に食べていました。いくら寒い冬とはいえ豚まるまる一頭分を保存することは難しく、貴重な家畜の命を無駄にしないために考え出された方法が、ハムやソーセージといった保存方法でした。物があふれる豊かな現代ですが、食べ物を粗末にすることのないよう、時々このハムの歴史に思いをはせてみませんか?
文/ケノコト編集部
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