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地域 2017.10.27

楽しみ方は国それぞれ『フィンランド人が余暇をコテージで過ごす理由』

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みなさんは4週間の休みがあったら、何をしますか?海外旅行、国内旅行、あえて何もしない…人それぞれの過ごし方があるように、国によっても過ごし方の違いがあるようです。フィンランドの人々はどんな余暇の過ごし方を楽しんでいるのでしょうか?

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「ああ疲れた。温泉に浸かって地ビールを飲み、おいしい料理を食べてゆっくりしたい」……。ストレスの多い毎日から逃げ出すために、こんなふうに考える日本の人は多いだろう。これを“フィンランド版”にするなら、「ああ疲れた。コテージに行ってサウナに入り、湖で泳いでリフレッシュしたい」となるだろう。

日本人にとっての「温泉」と、フィンランド人にとっての「コテージ&サウナ」はよく似ている。忙しい毎日から逃れ、リラックスするための場所として、それぞれの国の文化として深く根付いている。

一緒にいても一人の時間を大事にする

私たち家族は、夫の両親が建てたコテージをよく利用させてもらっている。週末に私たちだけで滞在することもあれば、夏至祭やクリスマスには夫の家族全員で集まることもある。コテージでは手間暇のかかる料理をじっくり作ることが多く、料理好きな夫家族が腕をふるう。

コテージにあるサウナは電気でなく昔ながらの薪(まき)のサウナであることが多い。これも火を入れてから30分くらいかけて、サウナの室温が80度になるまで暖める。

大人はみんな、セーターなどの編み物や、読もうと楽しみにしていた本を持ってくる。家族で一緒にいても、それぞれ一人の時間も大事にするのだ。

4子供達はおじいちゃんやおばあちゃんと一緒にサウナに入るのを楽しみにしている。手にはスプレーボトル。サウナストーブめがけ、水をかけて遊ぶ

フィンランドのコテージは、ただの小屋から、水道や電気などの設備が充実した別荘のようなものまでさまざま。だがどんな規模でも必ずサウナがある、というところが共通している。

一年を通して週末にコテージへ通う人もいれば、冬の寒さに耐える設備がないので夏の間だけ利用するという人もいる。宿のように使えるレンタルコテージも充実している。2012年の調べでは、フィンランドの人口540万人に対しコテージが約50万戸、4世帯に1戸の割合で存在するそうだ。

3夫の両親のコテージ前に流れるケミ川。春に川の氷が解けると、赤い小舟に乗って魚の仕掛けを沈めにいく。カマスやスズキの仲間の淡水魚がかかる

木に囲まれ水辺に建つコテージは、自然との結びつきに価値を置き、静寂や一人の時間を大事にするフィンランド人のメンタリティを象徴する。そんなコテージライフは今やフィンランドの文化だけれど、伝統というには歴史が浅い。

戦後に生まれたコテージ文化

第二次世界大戦前、フィンランドには一部の裕福層が使う別荘があった。けれど今のように多くの人がコテージを持つようになったのは、戦後のこと。労働者が地方から都市に移り住み、電化製品で家事労働が減り、収入と余暇の時間が増えたからだという。

コテージの建設数は1970年代から80年代にかけてピークを迎える。「フィンランドの短い夏をいちばん理想的な場所――海や湖がそばにあり、サウナがある場所――で過ごしたい」というのは、地方から出てきた“フィンランド版”団塊の世代の願いだった。

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フィンランド人の夫からそんなふうに聞かされて、ちょっと待てよ、同じく団塊の世代である私の親たちはその頃日本で何をしていたのだろうか、と考える。

日本で70年代といえば、オイルショック、ドルショックで高度経済成長が終わり、不況の真っただ中。海外旅行は一般化していたけれど、ゲームセンターやカルチャーセンター、野球観戦など、安・近・短レジャーが人気だった。

80年後半のバブル経済期はグルメブームにリゾートブーム。東京ディズニーランドができ、街にはカラオケボックスが乱立した。

日本の団塊の世代は、故郷の自然に回帰することよりもむしろ、都会にある刺激に魅力を感じたのではないか。土地の値段が高く余暇が極端に少ない日本で、コテージを所有するなんてむずかしい。故郷への郷愁を、父はカラオケで熱唱していた。働き蜂でおカネがあった日本の団塊の世代に夏季休暇を4週間与えていたなら、彼らはその時間をどう使ったろう……。

その時代のフィンランド人が、同じようにおカネと時間を得たとき、自然との結びつきを追ったというところが、私にはとても興味深い。時間とおカネの二つ、ある程度の人生経験がそろったフィンランド人は、消費を楽しむのではなく、日常の煩雑さや人間関係から逃れ、自然の中に身を置くための場所や環境を手に入れようとしたのだ。

1夫の両親が建てたログハウスのコテージ。基礎工事やログの組み上げはプロの業者さんにお願いしたが、それ以外は木材の皮むき、屋根ふき、内装も全て夫の父によるセルフビルド

夫の両親も、自宅のあるロヴァニエミから46キロのところにコテージを建てた。ケミ川に面し視界が開けた場所で、夫の父が生まれた場所でもある。その土地を受け継ぐことになった時、自分のコテージを建てようと決めたそうだ。

現役から退いた彼らは、ほとんどの時間をコテージで過ごしている。田舎のコテージ暮らしは、薪にする材木の切り出し、薪割り、畑仕事、冬には雪かきなど、体を動かす仕事に事欠かない。生きるための活動がそこにはあり、シンプルで厳しく、とても力強いと思う。

文/浦田 愛香
記事/ハレタル
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