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新しいコト 2017.11.17

”お下がり”文化を改めて見直そう『着なくなった学生服を必要な人に届ける仕事』

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子供の成長や思い出が詰まった学生服。捨てようにも捨てられないし、箪笥で大事に取っておいてあるけど…という方多いのではないでしょうか?その大切な制服を、必要としている人に”お下がり”として届けているお店があるそうです。

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子どもの制服がまだクローゼットにある、という方はいないだろうか。まだ十分着られるし、思い出もあるので捨てがたい。「値段もけっこう高かったし、いつか誰かに譲りたい」と思いながら箪笥の肥やしになっている人もいるかもしれない。

そんな学生服の買い取り・販売を行っている店がある。リユースショップ「さくらや」だ。取り扱う商品は、学生服をはじめ、体操服や帽子、バッグ、笛や文房具など、その地域の学校で指定されているものすべて。
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現在、さくらやは全国に30店舗ほどあり、支店でもフランチャイズでもない形態で、地域のお母さんたちが運営している。ありそうでなかったこのビジネスモデルが、いま注目を集めている。

お下がり文化がなくなった

さくらやの第一号店がオープンしたのは2011年。立ち上げたのは、高松市に住む馬場加奈子さん(45)。3人の子どもを育てるシングルマザーだ。

きっかけは、馬場さん自身、子どもたちの学生服を買うのが負担だったこと。「小学校の制服を一式揃えると2万円以上。体操服などほかのものも買うと一体どれだけかかるのか、と思いました」(馬場さん)。お下がりをもらおうにも、週7日ではたらいていた馬場さんには頼める近所のママ友がいなかった。
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同僚に話すと「使い終わった学生服を誰かに譲りたいけど、誰にあげたらよいかわからない」との反応。「一昔前にあった“お下がり文化”ですが、お母さん同士の交流が希薄になり、廃れていることに気づいたんです」(馬場さん)。

「同じような人がたくさんいるはず」と思った馬場さんは、39歳のとき、300万円の貯金を元手に制服の買い取りを始めた。「怪しい商売」と言われるなど、最初は苦労したが、地元のお母さんの口コミなどが後押しとなって、なんと一年で1200着の学生服が集まった。

一年目の売り上げは120万円ほどだったが、今では年間1200万円を売り上げているのだそう。高松店は現在、1万点以上の商品を取りそろえ、連日大勢の人が店を訪れる。

全国のお母さんの手を借りて

「全国の困っているお母さんや子どもたちを助けたい」という馬場さんの思いから、さくらやは2015年に「パートナー制度」を導入した。これはさくらやの理念に共感してくれたお母さんが、自分の住む町でさくらやを開業できるというもの。全国で30人のお母さんが自宅あるいは店舗を借りて営業している。

高松店の場合、馬場さんが子育ての時間を確保するため「週3日の月・水・金の10時から15時まで営業」と決めている。同じように、時間の限られたお母さんが、スムーズに開業し無理なく自分のペースで働けるように、また利益がきちんと出せるよう、パートナー契約後は研修を行い、しっかりサポートをする。

2“趣味で買いたい”という人には売らず、本当に困っている人に学生服が届くようにしている

取り扱う商品が学生服という特殊な商材のため、壁にぶち当たることもある。たとえば学生服は学校によって異なるため、円滑にビジネスを行うためには商品の管理が重要。デザインの変更といった情報収集の方法も教えている。

フランチャイズではないため販売ノルマはなく、オーナーはそれぞれのお母さんだ。開業後は、馬場さんへの「相談料」などを含む会費が月6500円。専業主婦が出せる金額を考え、「子どものお習い事よりも安い金額」に設定したそうだ。

「子連れだと応援してくれる」

水戸市に住む飯塚裕美さん(40)もパートナーのひとり。この9月に水戸市内の自宅で制服の買い取りを始めた。7歳と2歳のお母さんでもある飯塚さんは、8年間、子育てに専念してきたが、上の子が小学生に上がったのを機にさくらやのパートナーとしてはたらき始めた。

1お客さんに助けられることも多い

飯塚さんの仕事のスタイルは、まだ2歳の子どもを連れながら、が基本。ベビーカーを押しながらのポスティングはできるが、学生服の買い付けの時に子連れでもいいだろうかと不安になり、かつて子連れで買い付けにいっていた馬場さんに相談したこともあった。すると、「どこに行ってもお母さんたちに受け入れてもらえて、むしろ応援してもらえるきっかけになった」と馬場さんに勇気づけられたそうだ。「学生服がいらなくなった人、必要としている人の両方を幸せにできる仕事です」(飯塚さん)。

さくらやは今後、国立成育医療センター(世田谷区)で学生服を回収し、売り上げの一部を入院中の子どもの活動費に充てる取り組みを始める。こうした社会的な側面からも、さくらやに対するニーズは高まっていくに違いない。

文/田賀井 リエ
記事/ハレタル
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