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教育・子育て 2017.11.20

“ママドクター”の著書から見える『子育ても仕事も楽しむ方法』

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これでいいのかな…?こうしておけばよかった…子育ては、いつになっても迷ったり、後悔してしまったりすることがありませんか?そんな気持ちを少しだけ楽にしてくれるような本がありました。どんなことが書かれているのでしょうか?少しだけみてみましょう。

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6Photo by Fumishige Ogata

5児の母であり医師・研究者である吉田穂波さんのブックコラム。今回は、ご自身が監訳に携わった『ママドクターからの幸せカルテ』(ウェンディ・スー・スワンソン著)についてつづっていただきます。発熱からシラミに至るまでの子どもの病気・健康、テレビとの付き合い方、自分の人生のバランスの取り方まで、子育てをしている著者ならではの視点から書かれた本です。
シアトル小児病院の小児科医で二児の母でもあるウェンディ・スー・スワンソン医師が、患者や親への悩みに答えるブログを開設したのは2009年。今でも「シアトル・ママ・ドック」という名前で続いている。

5Photo by Azitas(撮影協力:株式会社アジタス)

ブログの内容をまとめたこの本には、子どもの健康に関するアドバイスだけではなく、親自身が充実した生活を送るために役立つ情報がたくさん詰まっている。今回のコラムでは、「日本のママにぜひ知らせたい」と思う内容をピックアップしたい。

母乳育児が難しいときほど自分に優しく

母親、それもはたらく女性としての母親の立場を応援する本にはなかなかお目にかかれない。第4部「ワークライフバランスと母親業」でのウェンディ先生の言葉には、私もホッとさせられた。

私は、基本的に母乳育児をしたいと思っている一人だけれど、ウェンディ先生は「働きながらの完全母乳は至難の業」という章でこう書いてくれている。「母乳育児が難しくなった時こそ、出来るだけ自分に優しくしましょう。あなたの赤ちゃんはこれほど健康と栄養に心血を注いでくれる母親を持ってとてもラッキーなのですから」。これを読み、自分の頑張りにもかかわらず、復職後に母乳育児を断念したという過去を、私は初めて肯定的にとらえることができた。

4Photo by MARIA

5人目の出産後、母乳の出が悪く、黄昏泣きの子どもを抱えて疲れてしまっていた私。5人目とは言っても、母乳育児は順調ではなかったのだ。四苦八苦したものの生後4カ月でミルクに替えることになったときは、自分に落胆した。この本を読んで一生懸命やっている自分を褒める、という発想がそのときの自分にあれば、もっと救われたと思う。

家族に対してイライラするのはなぜ?

5児の母としても医師としても印象に残ったのは、これまであまり明言されてこなかった、でも、子育ての中では大きなウェイトを占めるテーマについて真正面から書かれているところ。たとえば「お昼寝」「かんしゃくを乗り切る方法」「負けることを学ぶこと」「お片付け」について。“親業の危機”に直面するのは、多くの人が気にもとめていないことだからこそ、納得のいく解説と解決方法が書かれているのはありがたい。

3Photo by Fumishige Ogata

心理面やワークライフバランスの面では、「マインドフルネス」について書かれた37章に助けられた。

家族の病気や入院、自分のキャリアなど、私は現在進行形で子育てと格闘している。「しまった!(子どもを早く起こすと約束していたのに忘れていた、とか)」「どうして私ってこうドジなんだろう……(書類作成の期限を忘れて学校への提出が遅れる、とか)」といった具合に、毎日が反省の繰り返し。

この忙しさと反省と欠点だらけの生活にも素晴らしい点があるのだと気づかせてくれたのが、この章だった。「最も愛している存在だからこそ、家族に対してイライラしたり、怒ったり、がっかりしたりすることは人間的なことだ」と書かれてあるのを読んで、自分が許されたような気がした。

2Photo by MARIA

自分の怒りを見つめ、体感し、心臓の音や肌の状態、感じ方、物の捉え方などすべてを認めることで、次のステップに行けるようになるのだという。私はまだまだ修行中だが、毎日、この「マインドフルネス」のスキルを磨こうと練習しているところだ。

テレビを子どもに見せるべき?

読みながら、「そうだそうだ、やっぱりそうだよね」と共感したところは、TVやメディアとのつきあい方。私は子どもの頃、一日にテレビを見るのは30分だけというルールの中で育ったが、現代社会ではテレビやスマホなどの液晶画面と切り離しては生活できない。

2008年からアメリカで生活し始めたときもそれを痛感した。麻薬のように惹きつけて目を離させないような映像、アニメキャラクターを(一口サイズの)人参スティックの袋に印刷し、子どもたちの健康に良い取り組みとして売っている食品業界……。

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通っていたハーバード公衆衛生大学院では「テレビを見るせいで肥満傾向になる、外で運動する時間が少なくなる、集中力がなくなる」などテレビがもたらす子どもの健康被害に関する疫学調査を学んでいるのに、現実社会に戻ると液晶画面に取り囲まれている。

ウェンディ先生は「寝室にテレビを置いて寝るまで見ると、子どもの脳や睡眠に影響を与えることは明らか」と書いている。考え方はさまざまだけれど、こうした問題提起はどのお母さんにとっても“考えるきっかけ”になると思う。

「医師、娘、母、そして妻であること――4足のわらじ」「親業については医学部では教わらなかった」など、ほかにもこの本には、はたらく女性として母親として生きる道を選んだ仲間を応援する気持ちがあふれている。一つ一つは短いコラムなので、タイトルに惹かれたところからつまみ食いしながら読むと、目の前の霧が晴れたような気持ちになると思う。

文/吉田 穂波
記事/ハレタル
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