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新しいコト 2017.11.24

勇気を出して一歩踏み出す『「助けて」の一言が広げる世界』

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人の手を借りたい時、なかなか「助けて」と声を上げるのは簡単ではありませんね。でも、声に出してみると、周りの世界がグッと広がるかもしれません。勇気を出して、一歩踏み出してみませんか?

5Photo by MARIA

はたらく親にとって、夏休みや冬休みといった子どもの長期休暇は、ただでさえ忙しいうえに、さらに大きなタスクが加わる。毎日のお弁当だ。

今年の夏休みのことだ。障がいのある二女の真心(まこ)をデイサービスに預けるには、やっぱりお弁当を持っていかなければならなかった。はたらき始めてから、普段の夕食の支度を夫と、10歳になる長女のゆとりにまかせている私。せめて毎日のお弁当作りは自分でするか、でもできるのか、いや『毎日作りたいのか?』という思いで揺れていた。

迷った末、思い切って夫に「お弁当もお願いしていい?」と聞くと、「いいよ」と快諾。ゆとりまで「私も一緒にやりたい」と言ってくれた。ゆとりに至っては、「お弁当の大原則として、赤・黄・緑を入れないと」と彩りまで考えてくれた。私の出すS.O.S.に対して、家族は望む以上の応援を返してくれた。

「応援して」「応援するよ」は力になる

私はNPO法人Ubdobe(ウブドベ)で、「Digital Interactive Rehabilitation System(デジリハ)」というプロジェクトのリーダーとして日々活動している。そして今、その活動資金を得るべく、クラウドファンディングで支援を募っている。インタラクティブなデジタルアートを作りだし、より多くのリハビリに取り組む子どもたちに届けるためには、膨大な資金が必要になるのだ。私も家族や友人、ありとあらゆる知人にこのプロジェクトを紹介し、クラウドファンディングへの支援をお願いしている。

4Photo by MARIA

人に「助けて」「応援して」と言うのはとても勇気がいる。でも、障がい児と一緒にいると「助けてください」と頼む場面は日々たくさんある。障がいを持つ子どもたち自身も、「助けて」「応援して」という言葉ではないにしても「プリーズ」という姿勢になることが多い。しかし、その姿は決して恥ずかしいものではない。むしろ、望みを純粋に表現するのが上手だなとすら思える。

いつもそんな子どもたちのそばにいると、応援や助けを求めることは恥ずかしいことではないのだなと思わされる。ましてや、今回クラウドファンディングを通して実現したいデジリハプロジェクトは、障がいを持つ当事者家族だけでなく、多くの人に見てもらって盛り上げていきたい。だから私も、胸を張って「お願いします」と言っている。

応援を頼んだある友人からは、おコメが届いた。応援の気持ちを「新米」というモノで表してくれる友人には驚かされたが、それ以上にとてもうれしかった。「助けて」の形も人それぞれなら、「応援」の形も届け方も人それぞれ。どれも力になってありがたい。

「助けて」で出口を見出そう

とはいえ、自分自身のこととなると、なかなか「助けて」と言うのは難しい。ウブドベではたらき始めて、今でこそ自分が夢中になれる仕事を見つけられたけれど、それまでの数カ月はまったくうまくいかず、暗中模索の日々だった。自分一人で「どうしよう、どうしよう」と出口のない思考を続けていた。

3Photo by MARIA

最初に与えられた広報という仕事には気持ちを入れることができず、次に自分から提案した営業という仕事は、過去の経験にすがってみたもののやっぱりうまくいかなかった。

「私、この仕事やってていいのかな」「でも、やってみると飛びついたし、お給料ももらっているのだからやらなきゃ」「でもうまくいかない」の堂々巡りだった。だんだんと「私」が「私なんか」になり、自己紹介するにも「一応“広報”やってます」「一応“営業”やってます」とエクスキューズをつけるようになってしまった。

「助けて。もうできない!」と言いたかったけれど、言えなかった。でも、家族からも仕事を辞めろと責められ、自分でも「もう限界」というところまできて、やっと「助けて」と言うことができた。

私の「助けて」が世界の「助けて」を救うこともある

2Photo by MARIA

その経験を通して、気づいたことがあった。一つは、自分の心の奥底に潜んでいたプライドだ。「助けて」と言うということは「自分にはできない」と言うことと同じ。つまり、できない自分を認めるということ。それがつらかった。「私はまだまだできる」と思っていたかった。

もう一つは、「私なんて」とへりくだってもいいことは一つもないということだ。悩みに悩んでいた間、「私なんかただの主婦だし」というへりくだりが何度も頭に浮かんだ。一介の主婦にできることなど何もない、必要となんかされない、そんな人間を助けてくれる人などいない――。でも、今になってみれば、当たり前だけどそんなことはないのだ。

デジリハという大きなプロジェクトも、障がい児を抱える一人の当事者家族としてのニーズが出発点の一つとなっている。同じようなニーズをもつ当事者家族はきっといる。主婦の思いが発明商品となって爆発的に売れるように、私の「助けて」は誰かの「助けて」をすくい上げながら、世界の多くの人に届くかもしれない。実際、このプロジェクトは、世界中の人から支援を受けている。

1Photo by MARIA

「助けて」という言葉は、目の前の一人に言っているのではなく、世界の人間に対して言っていると思ってみよう。その思いは、世界のどんな人に届くかわからないし、自分の世界をどう広げるかわからない。自分の立ち位置を不安に感じたら、家に帰って子どもの寝顔を見てみよう。その場所は自分の居場所であり、自分が必要とされているいちばんの場所であるはずだから。

文/加藤 さくら
記事/ハレタル
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