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ケノコト独自の視点から、様々な人や場所、物を取材して、WEBをはじめとする色々な場所で公開します。

取材 2018.02.14

100人100色―ダンスが身近にあふれる世界を夢みて踊り続けるベリーダンサーーtazukoさんのお話し

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それぞれの立場、個々の考え方によって「働く」ことへのスタンスは異なります。正解なんてありません。
「100人100色」では、100人の「働く女性」に登場いただき、等身大の姿を語っていただきます。
年齢、環境、キャリア全ての背景が異なる人たちの100とおりの『想いや生き方』の中に、きっとあなた自身にとってのヒントが見えてくるはずです。

今回ご紹介するのは、東京都渋谷区在住のベリーダンサーtazukoさん(34)です。バーテン見習いや映像会社のADなど、かつては興味のおもむくままに仕事を渡り歩いていたというtazukoさん。ベリーダンスと出会い、一生の仕事にしようと決意し、以来ダンサーとしてキャリアを築いてきました。「いまだに大きな分厚い壁を見上げてます」と、極めれば極めるほど奥深いベリーダンスの世界で高みをめざすtazukoさんに、踊りの魅力と将来の夢について語っていただきました。

——お住まいはどちらですか?

渋谷です。もう10年になります。出身は沖縄ですが、高校卒業後すぐに沖縄を離れ、渋谷に根をおろすまでに、京都、池袋、フィリピン、東中野、トルコ、エジプト、パリ、モロッコ、ニューヨークと住み歩き根無し草生活していました。フラフラするのが好きなんでしょうね。今でも、年に1、2回は無理やりでも、知らない土地に行ってしまいます。

——これまでのキャリアを教えて下さい。

高校時代に沖縄の伝統工芸を学べる学科に在籍して、織物を専攻。その流れで卒業後は京都で織物をさらに探究しようと思うものの、遊ぶのが楽しくなってしまい、気づけばその道からはドロップアウト。

ドロップアウト後は、興味があること手当たり次第やってました。バーテン見習い、舞台製作スタッフ、フィリピンの孤児院でボランティアスタッフ、映像会社でAD……

21歳の時、「このままだったら全部中途半端になっちゃうな」という危機感を抱き、当時モテたくて習い始めたばかりのベリーダンスに、「もうこれにしよ、これで食ってけるようになろ」と、勝手にこれだ!と決めて今に至ります。

画像1
▶ステージにて。
 

——これまでにぶつかった壁はありますか?

この13年、いまだに大きな分厚い壁見上げてます。なかなか乗り越えることも、壊すことも、迂回路を見つけることも、ズルして穴掘って向こう側へ行くこともできてませんね。
そもそもなめてました(笑)ダンスで食ってくっていう考えが。

始めて3年くらいは、スポンジのように学んだもの全部吸収できるし、世間知らずも相まって怖いものなしでしたが、世の中を知れば知る程に、自分の甘さと社会の厳しさに打ちひしがれる日々に変わっていき、気づけばもうダンスなんて大っ嫌いになりかけてました。

だけど、やめられなかったんですよね。
本当に有難いんですけど、周りがやめることを絶対認めてくれなかった。その都度、手を差し伸べてくれる方々がいました。

ダンス始めて、4年目くらいからは出来ることよりもできないことの方が圧倒的に多くなってきていて、それが悔しくて足掻きまくってました。無情にも時だけは過ぎていき、年を重ねるごとに、どんどん引くに引けなくなっていく……ひたすら自分を鼓舞して、ぺしゃんこになりそうな自分に鈍感であろうとしてました。

ダンスが楽しいって心底思えるようになったのは、つい最近です。踊る理由が理解できたからかなぁ、いい意味で踊ることに「諦め」がついたからだと思います。壁はあってしかるべきもの。壁あってのダンスライフです。でもそろそろどうにかしたいかもなぁ!

画像2
▶師匠Anahid Sofianのもとで、生徒さんと一緒に学びました。
 

——これまでで一番忘れられない仕事のエピソードをお聞かせください。

見ず知らずのお客様から「ありがとう」というお言葉を頂いたことです。
今まで、「楽しかったです」とか、「きれいでした」とか、「素敵でした」とかいろんな感想(否定的なのも含めて)をいただきましたが、「ありがとう」はなかったので、びっくりしました。一瞬なんのことかわからなかったくらい。

ちょうど、踊っている理由の根っこが幼少期のトラウマだったってことを知って、あぁそうか、幼く傷ついた私からのなかったことにしないでっていうSOSでもあったのかぁ、「他の誰のためでもない、あの時の私のためにわたしは踊ろ!」と挑んだステージだったので、至極個人的な理由で勝手に踊ったことが、人様に「ありがとう」って言われた。そんなとても不思議な体験でした。

それまで半信半疑でしたが、カルマって、業ってほんとにあるんだなぁっと思った出来事でもあります。

——あなたにとって「踊ること」とはどういうことですか?

業かな。魂の浄化作業だと思います。……と言うと宗教じみてますが、なによりもピュアでいられることだと思います。

——踊っている時のあなたを「色」にたとえると?

無色透明。不思議とステージで踊ってる時って、ハイになってるのかなんなのかわからないですが、自分がいなくなるんですよね。
中二病全開な発言ですが、「無我の境地」というのがあるとしたら、それのことを指すのかな?だから、見る人が良くも悪くもそれぞれ持ってる色メガネで見て、好き勝手に着色してもらえればいいと思ってます。

——今後、あなたが「こうありたい」と思う姿について教えて下さい。

上記の回答と似てるのですが、あんまり自我っていらないじゃないかって思っていて。だから、「わたしはこういう人です!」っていうのをどんどん無くしたい。

自分っていうのを他人にどんどん委ねることができるようになりたいなって思っています。そしたらもっと自分が見えてくるのかなって。って、小難しい話になっちゃいましたね、自分でも何言ってんのかわかんなくなってきた(笑)着飾らず、気取らず、こだわらず、削げるだけ削いで残ったものを大切に育てていきたいですね。

——これからチャレンジしたいことは?

何かに果敢に攻め入って新しいことにチャレンジすることよりも、これからもこれまで同様に、今やれることをコツコツ精一杯やっていこうと思ってます。

そのコツコツの一つは、ダンサーが踊って食べていける土壌が少しでも広がるように豊かになるように耕すこと。
あとは、ダンスがもっと身近にあふれている世界を夢みて、なにができるのかなぁ、なんて日々想ってます。

70、80代くらいの方がよく話してくれるのですが、昔、生演奏で踊れるダンスホールがいっぱいあったんだとか。ごはん食べてお酒のんで、談笑しながら視界の端にはダンスホールで踊る人々がいる。いい曲が流れてきたら、女性を誘い手を取り自らもホールで踊る。お客さんが主役になって踊れる場所がある。ダンサーじゃない人もダンスを楽しめる大人の遊び場があるって色気があっていいですよね。憧れます。

——あなたなりの息抜きやストレス発散の方法を教えてください。

サーフィンです。ただただ楽しくて楽しくて目の前の波に夢中になって他のこと全部忘れちゃいます。サーフィンから帰ってくると、本当に必要なことしか頭にも心にも身体にも残ってない。どれだけ普段くだらないことにパワーをもっていかれてるのかがわかります。
東京オリンピックのサーフィン会場で、なんらかしらの機会で踊れたら最高だなって夢みてます。

画像3
▶サーフボードと私。
 

——日課、習慣にしていることはありますか?

レッスンです。昔は、やらなきゃ!と思って、自ら自分に課していたことですが、今では当たり前にある時間です。食べること、寝ることと同じような生命活動の一環になってます。

——あなたの生活の中でのお気に入りは?

スタジオです。自分の「好き」を詰め込んだ空間なので、スタジオ以上のお気に入りはないし、居心地のいいリラックスできる場所もないかな。まだ今のところに移って4年なので、これからもっと時間をかけて育てたい場所ですね。

画像4
▶お気に入りのスタジオ。
 

——幸せだと思う時間や瞬間はどんなときですか?

何気ない日常にある一コマかなぁ。たとえば、植えたチューリップの芽が出たとか、コーヒーが今日も美味いとか、電車でグッドルッキンガイを見たとか、そういう人に話すまでもないようなささやかなことを感じられた時に、ほっと幸せを感じます。

——自分の人生で一番大切にしていることはなんですか?

人です。憧れている人と関われるのは日々のモチベーションになるし、素敵な人に出会うと笑顔になれるし、頼ってくれる人がいると頑張れちゃうし、心配してくれる人がいると前向きになれるし、人がラッキーをいっぱい運んでくれるんです。日常的に関わっている人たちは、特に大切ですね。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
tazukoさんのお話しで印象に残ったのが「自分を他人にどんどん委ねることができるようになりたい」という言葉。「自分らしさが大切」とはよく言いますが、自分にこだわりすぎてしまうと、かえって窮屈で生きづらくなってしまうかもしれないと、ハッとさせられました。自分をそぎ落とすことで、見えてくる真実があるのかもしれません。踊る時の自分を無色透明で表現してくれたtazukoさん。その姿は美しく透き通り、クリスタルのようにキラキラと輝いています。

 
取材・記事/
いろんな女性の働く・暮らすを知ること 『100人100色』は、SAISON CHIENOWAとケノコトの共同記事です。

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