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取材 2018.03.03

100人100色ー“人生は地球観光” 美術家として、西洋占星術師として、人生を満喫したい—工藤萌子さんのお話し

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それぞれの立場、個々の考え方によって「働く」ことへのスタンスは異なります。正解なんてありません。
「100人100色」では、100人の「働く女性」に登場いただき、等身大の姿を語っていただきます。
年齢、環境、キャリア全ての背景が異なる人たちの100とおりの『想いや生き方』の中に、きっとあなた自身にとってのヒントが見えてくるはずです。

今回ご紹介するのは、東京都台東区在住で美術家・西洋占星術師の工藤萌子さん(28)です。工藤さんの半生は波瀾万丈。東京藝術大学の油画科に入学したものの、ほぼ不登校に。働きながら卒業し、病気をきっかけに美術家に転向します。フランスの国費留学を経て、美術家として作品を制作するとともに、西洋占星術師としてカウンセリングや指導にあたっています。「最近はほぼ毎日が幸せ」という工藤さんの、充実したライフスタイルとこれからの夢についてお話しを伺いました。

——お住まいはどちらですか?

浅草のシェアハウスに住んでいます。芸大に7年も在学したのもあり、台東区がいつの間にか大好きになっちゃいましたね。なんといっても東京でも下町エリアなので、趣味の銭湯巡りが捗ります(笑)。

きっかけは、フランスから帰国して横浜の実家にいるのもなんかなあと思っていた際に、同じ留学奨学金を受けていた友人の誘いがあったことから。一緒に住む仲間たちは留学経験者が多く、その繋がりで海外からゲストが訪ねて来たり、休日はボードゲームで遊んだり、メンバーでスノボ旅行へ行ったり、真剣に仕事の相談をしたり、もう家族みたいな感じです。一回シェアハウスに住んでしまうと、もう一人暮らしができなくなりますよ。おかげで、母親からは「あなたこのままだと結婚できなくなるわよ」と頭を抱えられていますが……(汗)。

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▶シェアハウスメンバーとの休日

——これまでのキャリアを教えて下さい。

基本は複業という考え方で10年近く過ごしています。きっかけは浪人して東京芸大の油画科に入学したものの、ほぼ不登校……とはいえ、ご飯は食べないといけませんから、会社員をしたりフリーランスでデザインの仕事をしながら、大学はなんとか卒業させていただきました。

そして、たまたま卒業間近に原因不明の右下肢のジストニアを患ってしまって、美術家になる方向に強制的に転向。そのまま仕事はしつつ、修士課程に進学し、その中で作曲家の彼とパリで同棲するためにコンペで賞を幾つか取って、国費でフランスに留学したりしています(帰国後、無念にも愛は散りましたが)。なんだかんだで芸大に7年在学してますね。

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▶絵画の制作風景。

修士課程で所属していた研究室はすごくインターナショナルな環境だったので、とても充実していました!西洋占星術は病気を患ったあたりから独学で勉強を始め、現在はカウンセリングに加えて、本業の方向けの指導もさせて頂いております。絵画も西洋占星術も共通する部分は「人の生きる事に向き合うこと」「クリエイティブに展開していく力」「常識に捕われない柔軟さ」と考えています。

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▶西洋占星術のサロン。

——家族構成について教えて下さい

家族については前述のシェアハウスに住んでいるので、いっぱい兄妹たちがいます(笑)。AIの研究をしている子とか、社会心理学を研究している子とか、量子コンピューターを研究している子とか、会計士の子とか、説明しきれないくらい。もう色々いるので知的好奇心は常に刺激されているような状態です。

——これまでにぶつかった壁はありますか?

完璧に自分と同じ生き方のお手本がないので、常にナタを持って“けもの道”を進んでいるような感覚です。

最近のちょっとした悩みなんですけど、お家に来る初対面の若い子に自分の仕事や生き方をなかなかすぐに理解してもらえないこと。これが、けっこう悲しいのです。一つのことに勤しむのが正解みたいな考え方が現代日本ではマジョリティなのもあるからでしょうけど、実は私が大学に行けなくなっちゃったのは、そういう“一つの分野にいなきゃいけない、しがみつかなきゃいけない”っていう固定観念に縛られている事が原因で目が死んでいく人だらけな感じがして、もう入った瞬間「ここに、いちゃだめだ」って思ったことなんです。

今私は、美術の仕事のお手伝いでパリに行ったり、ひとところにとどまらない生き方をしています。色々な分野の仕事をしているからこそ、たくさんの世界に出会えますし、生きていても楽しくなってくるのかなと思うようになりました。そして生きる自由度はこれからもっと上げていきたいと思っています。なので、仕事に繋がりそうな専門的な勉強は常にしていきたいですね!

——これまでで一番忘れられない仕事のエピソードをお聞かせください。

長崎県の軍艦島近くの高島という離島で、マリア様と炭坑夫の天使たちをモチーフとした3.5mくらいある絵画を足掛け2年くらい制作したことです。制作が終わって1年経って、なぜ一度もこれだけ滞在したのに訪れていなかったのかも謎ですが、初めて島にあった唯一の教会に訪れたんですね。そうしたらなんと自分の描いた絵とそっくりな窟にいるマリア様像がいらっしゃるんですよ(汗)。それはフランスのルルドのマリア様像で、待ってたわよ〜みたいな雰囲気でこっち見下ろしてるんです。本当に驚きました。その際に土地にコミットして作品を作ることは、無意識に足をおろす土地に自分も影響されながら“内側から変化していくこと”なのかなと感じました。その後、フランスに暮らしていた時にルルドまで行ってみたんです。なんかご褒美もらった気持ちになりましたね。こういうことは表現をしてないと出会えないことだと思います。

——あなたにとって「働くこと」とはどういうことですか?

“ともかく出会って感動すること”です。美術家でも西洋占星術でも“人間”にたくさんお会いして対話をすることで、一人ひとりの人生がこんなにもドラマチックで尊いものなんだなと感動することが多いです。そしてお会いする方、みーんな妖怪だらけなのですよね。もうね、妖怪ウオッチ状態(笑)。この世界には人間の皮かぶって愉しそうに生きている妖怪がいーっぱい(笑)。でも、愉しそうな妖怪ばかりでもなく幽霊みたいな人もいて。生きているのに、生きていることを愉しめていない幽霊みたいな。

その違いはおそらく、自分の生き方に対してどれだけ人のせいにしないで、幸せの価値観を自分で作って向き合って生きてきたか、なのかな……と感じています。カウンセリングではホロスコープという人生の設計図を、絵画を分析するようにいっしょに対話を通して眺めていきます。やはり日本に生きていると、そうやってまじまじと自分の人生を言語化して俯瞰していくことや、「我ここにあり!」みたいな感覚を自分で持つのが難しくなってしまう方も多いのかなと感じますね。なので、私を上手く使っていただきたいものです!

——働いている時のあなたを色にたとえると?

私自身は色を乗せて混ぜているパレットみたいなものだと思います。絵画は、移ろっていく場所の光の色や人の色を自分の中に通して生まれてきたものなので。

——今後、あなたが「こうありたい」と思う姿について教えて下さい。

実は、おばあちゃんになったころのビジョンはあるのですが、ここ30年くらいのものがあまりないのです。おばあちゃんになって、たくさんの子どもや若い人たちに囲まれて、絵画を制作しつつも彼らの人生のサポーターになっていたい、というような夢はありますね。ちょうど、村の物知りの魔女ばあちゃんのイメージです(笑)。常に今よりも自由で愉しい状況に自分を持っていきたいので、いつもキョロキョロしてます。

——これからチャレンジしたいことは?

プログラミング言語を扱えるようになりたいです。作れるものや、やれることが物凄く広がりますからね! 西洋占星術は膨大な情報処理をする占術なので、さまざまな占術家のチャート解読回路をディープラーニングさせてみたい、という知的好奇心から。

絵画でもそうなんですが、技法がある程度感覚で入ってないと、職人さんにお願いするときに的確なコミュニケーションが出来なくてクオリティを上げられないんですよね。加えて、こういうクリエイティブな分野や、カウンセリングの分野はこの先“人間じゃないとできない仕事”の分野になってくると思うので、ノウハウをより蓄積しつつ、習熟したい方に対してより包括的でジャンルの敷居を越えた知識や知恵をインタラクティブに学べる状況が作れると面白いのかなと。単純に時間と脳みその処理のキャパ問題で手を広げられないというのもあって、まだチャレンジできてませんが(汗)。

——息抜きやストレス発散の方法を教えてください。

知らない街や国をうろつくこと(3か月に1回ペースで大移動しないとおかしくなるという身体です)。ぬいぐるみをだっこして泥みたいに寝ることと、世界各国の料理研究。友人たちとボードゲームしたりスポーツして遊ぶことですね。子どもみたいですが(笑)。

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▶息抜きの時間。

——日課、習慣にしていることはありますか?

本は年間60冊くらい読んでます。食事も情報処理なので、忙しくなってくると処理量を減らして、キャパを創作や思考にまわす為に同じメニューを食べ続けたりします。すき家の朝食には大変お世話になってますね(笑)。

——あなたの生活の中でのお気に入りは?

ぬいぐるみです。みんな名前も付けていて、ルルド育ちのミツバチのジミーちゃん、ベルギー生まれのいもむしのマイク、パリジェンヌのドラゴンのミミちゃん、あと台東区蔵前出身の塩ビカエルの太郎(笑)。ここだけの話、大人になるまでぬいぐるみを抱っこして寝たことなかったのですが……(汗)。この子たちと眠るのが一日の至福の時間ですね。

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▶お気に入りのぬいぐるみたち。

——幸せだと思う時間や瞬間はどんなときですか?

最近はほぼ毎日です(笑)。

——自分の人生で一番大切にしていることはなんですか?

人生はおそらく、最長80年くらいかけて旅行する“地球観光”だと思っています。ここで言う地球観光とは、人間という不自由だけれども感情をもった愛おしい”からだ”を満喫するツアーなんです。同じ時間を生きる出会った方たちは旅の友。そして、年齢に応じた色々なアクティビティをしていきたいな! と常に遊ぶことを考えてますね。仕事も地球観光ですし、生活も。恋愛も。生きることは自分が一番うれしいことで、選んだことだと思うので。

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▶シェアハウスメンバーと。
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大学に入学した瞬間、「ここにいちゃ、だめだ」と思ったという工藤さん。一つのことに勤しんで生きるべきという日本人的な固定観念に疑問を持ち、さまざまな仕事に関わる“複業”を自分の生き方に選びました。働くこととは、“ともかく出会って感動すること”と工藤さんは語ります。これからも人生という地球観光の中で、多くの素敵な出会いに感動し、工藤さんのパレットを豊かに彩っていくのでしょう。
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いろんな女性の働く・暮らすを知ること 『100人100色』は、SAISON CHIENOWAとケノコトの共同記事です。

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