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まめ知識 2018.03.01

「旬花」春の息吹の花『桜』日本人と共に生きて来た花木〜弥生の暮らし〜

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春の花といえば桜。桜の開花時期は十分に暖かくなっていますので、待ちわびた季節の訪れを肌と目で実感できる頃ですね。日本人にとって桜は別格扱いで愛されている花ですが、元は山に咲く素朴なヤマザクラで、花以外でも暮らしに寄り添っていた植物です。

太古から日本にあったヤマザクラ。縄文時代から春を告げていた

桜より少し早く春を告げる花である梅や桃は、中国からもたらされた植物です。奈良時代頃から日本にあるので日本文化の中にも馴染んでいますが、桜は日本列島に日本人の先祖がやってくる前から野山で春を告げていたと考えられています。縄文時代の遺跡からは既に縄文人が桜の木を利用していたと思われる痕跡が見つかるそうですよ。

桜を花として愛でる文化は宮廷の物。庶民に取っては暮らしを支えてくれる大切な木材

奈良時代が終わり、日本が中国から文化を取り入れた時代が終了すると、「国風文化」と呼ばれる日本独自の文化が発展します。その中で開花の後に一斉に花を散らす桜の儚い美しさが日本人の心をつかみ、「花といえば桜」と言われるようになります。
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宮廷では桜は花を楽しむ物として愛され植樹も盛んになりますが、庶民に取って桜と言えば里山に咲くヤマザクラでした。里山というのは、かつて燃料や生活資源として木材に頼っていた時代に人々が暮らしのために利用していた森や林を言います。桜の木は広葉樹であるため薪にすると熱持ちが良いので燃料としてもよく利用されていました。

木材としては軟らかめで腐食にも弱いとされますが、木肌の美しさが好まれ家の内装部分や食器などにも使われています。かつて印刷物が版画だったころ、繊細な細工が必要な浮世絵の版木にはヤマザクラが使われていたそうです。樹皮も「桜皮細工」として利用され伝統工芸になっています。昔の人にとっては見て美しいだけでなく生活に役立ち暮らしを支えてくれる植物だったのですね。

江戸時代にクローン技術?「桜前線」で季節を測れる秘密

桜は園芸品種として人気があるため、色々な系統の桜を掛け合わせて多彩な品種が作出されています。私達が一般的に「桜」と呼んでいるのは「染井吉野(ソメイヨシノ)」という品種です。この桜は江戸時代の終わりに現在の東京都駒込区辺りにあった染井村で売り出された品種なのだそうですよ。エドヒガンという品種とオオシマザクラとう品種の雑種ですが、自然交雑なのか人工交配で作り出されたのか、現在でははっきりしていません。染井村は造園師や植木職人が多く暮らしていた村で、ソメイヨシノを「吉野桜」の名前で売り出した所人気を博したのですが、奈良の吉野の桜とは別種なので区別のために「染井吉野」と命名されたそうです。

ソメイヨシノは種で増やす事ができない品種であるため接ぎ木で増やします。成長が早く、木が若いうちから花を咲かせるので明治時代に行われた都市環境整備での植樹に多く使われ、日本全国に広がりました。全国のソメイヨシノは、出来の良いソメイヨシノを親木に選んでそこから接ぎ木で増やしたため、同じ遺伝情報を持つ、いわゆる「クローン」なのだそうです。そのため、同じ条件で開花するので「春がどこまで来たか」という物差しに使われています。おそらく世界でも類を見ない、華やかな気象観測装置としての役割を果たしてくれています。
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「人と共存する事を選んだ桜」と「未来への希望のシンボル」として生まれた新しい桜

ソメイヨシノから取れる種から生える桜はソメイヨシノとは異なる物になってしまうそうです。そのため人の手で接ぎ木をしないと増える事ができません。また、木としては短命で、手入れしてやらないと60年ほどで枯れてしまうのだとか。この性質から「人との共存を選んだ桜」という言い方をされる事もあるようです。悲しくもどこかロマンチックな感じがしますね。

日本に植えられている桜の中でソメイヨシノが圧倒的に多いのは確かですが、他にも江戸時代以前に作られた特徴的な品種も数多くありますし、近年になっても新しい品種が作られています。
サクラ品種の研究を行っている多摩森林科学園で開発された八重桜は、東日本大震災で被害を受けた福島を応援する目的で「はるか」と名付けられ、福島県に寄贈されました。その桜の苗木が「fukushimaさくらプロジェクト」として全国各地に植樹されています。桜を愛でる事で震災の風化を防ぎ、見る人を笑顔にする試みです。はるかの名前は「福島の地で福島の復興と共に育ち、はるかかなたの未来まで広がってほしい」という願いが込められているそうです。桜が未来へのシンボルとなる。桜が大好きな日本ならではのお話ですね。

記事/ケノコト編集部

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