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まめ知識 2018.04.20

二十四節気の暮らし方『一年の暮らしを支える雨が降る「穀雨」』

二十四節気で清明の次は「穀雨(こくう)」。春の最後の節気となります。2018年は4月20日に穀雨を迎えます。この節気の名前の意味は文字通り「穀物に降り注ぐ恵の雨」です。

大陸では麦、日本では稲。大切な春の雨

穀雨という名前の「穀」の部分。この文字が当てられるのは実を主食とする植物です。ヒエや粟、キビなどもそうですが「穀物」と呼ばれる物で代表的な物はやはり稲と麦です。日本では穀雨の頃は田植えの準備を始める頃合いです。田植えの前に田んぼの土を起こし、水を引き入れて「代かき」を行って土の固まりを砕いてきれいに均し、苗を植える用意をします。

とはいえ、それは現代の話。近年では温暖化や連休に合わせた農作業スケジュールを組む必要があるため、旧暦の頃の農業と比べると田植えの進行がひと月程度も早まっているそうです。最近でこそビニールハウスがあるため4月下旬ごろまでに稲の苗を育てる事ができますが、元々稲は東南アジアの出身で寒さに弱い植物。そのため、本来穀雨の時期は田植えのための苗を育て始める時期に当たったそうですよ。

かつての日本では「苗代(なわしろ)」と呼ばれる狭い田に籾を撒き、苗に育ててから田植えを行っていました。発芽して苗に育ちかけた籾に降る春の温かい雨は、天の恵みで稲が育っているかのように見えたのかもしれませんね。
二十四節気が作られた中国では穀の部分が指すのは麦です。麦は秋に撒き、翌年の初夏の刈り入れするので穀雨の時期はちょうど穂に実が付き、太りだす頃合いです。こちらもまた、優しい雨によって麦が育てられているかのように思えたのではないでしょうか。

かつて穀物の収穫は翌年の一年の生活が決まる重大事でした。季節の区切りの名前に穀物にまつわる言葉を入れた事でこの時期の雨のありがたさが偲ばれますね。
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川辺の風景も春らしく「葦」が生える頃

穀雨の七十二候の初候は「葭始生(あしはじめてしょうず)」となっています。川辺に「葦(あし)」が生え始める頃合い、という意味です。今となっては葦と言われてもピンと来ない方も多いかもしれませんが、かつては生活の上でとても役立つ植物だったそうです。

古民家などで「茅葺屋根(かやぶきやね)」と呼ばれる屋根がありますが、その材料の一つが葦なのです。茅葺屋根には葦だけでなく苅安、シマガヤ、茅といったイネ科の草も用いられます。茅葺の屋根は抜群の断熱性と通気性という一見矛盾する二つの性能を備えており、日本の風土に適した素材なのだそうです。残念ながら、現代では屋根を茅葺にするには莫大なコストがかかる事や技術をもった職人さんの高齢化が進んで技術継承が危ぶまれています。古民家を使ったお店や旅館などで茅葺屋根を見かけたらぜひ一度中に入ってみてはいかがでしょうか。

日本の名前にも入っている「葦」生活を支える大切な植物

実は葦は、古い時代の日本の名前にもなっている植物です。日本神話では日本は神様の世界の「高天原(たかまがはら)」と死後の世界である「黄泉(よみ)の国」、そして「豐葦原中國(とよあしはらのなかつくに)」と呼ばれる、日本の国土に該当する世界に分かれているとされています。

ここで日本を葦の国と呼ぶには理由があります。今から6000年ほど前の縄文時代は温暖化の影響で今より海水面が10m近く上昇していたといわれます。それが弥生時代ごろに今度は寒冷化によって水面が下がっていきます。このため、当時の日本は今より湿地の面積が広く、原始的な稲作の適地となっていました。そしてこの湿地には葦も多く生えていたのだとか。
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茅葺屋根の住宅はこの頃すでに一般的な物だったようで、屋根材以外にも「よしず(立てかけて使う)」や「すだれ(つるして使う)」のような建材の一部として大いに利用された他、「葦船」といって船を造る材料にもなっていました。葦は古代の暮らしに欠かせない素材だったのですね。今でも葦船が神輿となっている神社もあるそうですよ。

穀雨の次から暦の季節は夏を迎えます。心地のよい川辺を散策して柔らかな葦の緑が風に揺れる様子を眺めて、古代の風景を思い浮かべてみるのも素敵ですね。

記事/ケノコト編集部

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