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家のコト 2018.05.26

素朴な味わいが魅力。暮らしの道具として親しまれてきた『越前焼』

絵付けがほとんど施されておらず、赤黒や赤褐色の器が多い『越前焼』。鮮やかな絵付けがなくても、その素朴な佇まいには多くの魅力が詰まっています。
しかし、古くから生活用品として愛されてきた越前焼には、「衰退」という過去もあるのです。どのようにして再び注目を浴びることとなったのでしょうか。越前焼の歴史や魅力についてご紹介いたします。

一時は衰退した『越前焼』が再び注目を浴びる

越前焼の歴史は古く、日本遺産にも登録されている六古窯(ろっこよう)と呼ばれている焼き物の一つです。
誕生は今から約850年前の平安時代末期。越前焼の産地 福井県福井市は、もともと須恵器(すえき:古墳時代の後半から日本でつくられた陶質の土器)を作っていた地域でしたが、常滑(とこなめ:愛知県知多半島の中部西岸にある市)の技術を導入して焼き締め陶を作り始めたことで、越前焼が生み出されました。

硬くて丈夫な越前焼は、北は北海道、南は島根県と各地へ運ばれ、水や穀物の貯蔵、藍染め用、銭瓶などとして重宝されたそうです。
鎌倉後期から室町時代にかけて最盛期を迎え、室町後期には日本海側最大の窯場となるほど発展しました。この室町時代は「お歯黒」が流行した時代でもあります。既婚女性が歯を黒くするのに用いる塗り物の容器「お歯黒壺」が越前焼で盛んに作られたのだそうですよ。

しかし、江戸時代に入ると次第に瀬戸焼などに押されて一時衰退。明治時代末期から大正時代にかけては、窯元の廃業が相次いでしまうのです。これにより、越前焼の存続が危ぶまれていましたが、昭和23年以降に古磁器研究家によって歴史的価値が見いだされ、現在は福井県越前町に造られた「越前陶芸村」に全国から多くの陶芸家が集まり、新しい越前焼の歴史を紡いでいます。

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土の特徴を最大限に生かした『越前焼』

越前焼の特徴の一つは、釉薬(ゆうやく:陶磁器の表面を覆うガラス質の薄い膜)を使わないことです。一般的に陶器は釉薬を施さなければ水漏れしてしまいます。しかしガラス質を多く含む越前の土は、高温で焼成すると非常に堅く焼き締まり、水漏れの心配がありません。また、ひも状の粘土を底の淵に巻き上げる「ねじ立て」と呼ばれる伝統的な技法が継承されています。

越前焼に使われる土には鉄分が多く含まれ、耐火性も強く、表面が赤黒・赤褐色の焼き上がりとなります。越前焼は絵付けされないことが多く、高温で焼かれる際に窯の中で降り掛かった薪の灰が溶けて器に流れ込むことで施される自然釉が多くの人を魅了しています。
最近では、自然釉を代表とする素朴な風合いに加え、若手作家による新たな作風も誕生しています。

『越前焼』の素朴で温かい風合いを楽しむ

飾り気のない佇まいや温かみのある風合いの越前焼は、現代の暮らしの中で親しまれています。水分や穀物の保存や貯蔵だけではなく、急須や湯のみ、コーヒー椀皿、スープボウル、グラタン皿として重宝されています。温かい食べ物や飲み物から伝わるぬくもりと素朴な肌触りは、とても心地良いですよ。
おすすめは「湯のみ」と「コーヒーカップ」です。越前焼の湯のみでいただくお茶は、いつもよりもほっと和むはず。また、洋のコーヒーと和の器は意外と馴染みます。ちょっと一息、ゆったり飲みたいなというときにいかがでしょうか。

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素朴で温かみのある越前焼は、普段の生活に自然と馴染みます。偶然の美として窯の中で施される自然釉、それもまた越前焼の面白さであり、趣を感じます。お気に入りの越前焼の器に出会ったときは、新しい暮らしの道具としてぜひ迎え入れてみてはいかがでしょうか。

記事/ケノコト編集部

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