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道具 2018.05.23

伝統を守りながら時代に合わせて変わり続ける、暮らしの器『笠間焼』

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『笠間焼(かさまやき)』は、茨城県笠間市周辺で作られている陶器です。笠間焼が作られている笠間市は、都内から約90分以内でアクセスできるため、都心から最も近い焼き物の故郷といわれています。
日常の道具としての使い方だけではなく、オブジェやインテリアとしても愛されてきた『笠間焼』。その歩みを見てみましょう。

生活様式の変化にも負けず復活した『笠間焼』

『笠間焼』は江戸時代の中頃、箱田村(現在の笠間市)の職人が信楽焼の陶工の指導により、窯を築いて陶器を焼いたのが始まりとされています。箱田村は原料となる良質な土が豊富にとれ、また笠間藩の援助もあり、陶器作りにおいてとても恵まれた環境が整っていました。その頃は、主に瓶やすり鉢などの日用雑器が作られていたようです。幕末から明治時代にかけては江戸に近い利点から大量生産し、技術者や従事者も飛躍的に多く増加したと言われています。

しかし、終戦後、プラスティック製品の流入により人々の生活様式が大きく変化しました。そのため、笠間焼の需要は減り、窯元は今まで経験したことのない危機を迎えます。そんな中、再び笠間焼の需要が増えるきっかけとなったのが、1950年に設けられた茨城県窯業指導所です。そこでは工芸陶器を目指した釉薬(陶磁器の表面を覆うガラス質の薄い膜)の改良や原料となる粘土の研究が繰り返されました。そして笠間焼は、日常雑器としてだけでなく、工芸陶器として確立することで復活を遂げました。1990年には笠間焼協同組合が設立され、今では関東地方で益子焼と並ぶ大きな窯業産地を形成しています。

受け継がれてきた伝統と自由度の高い作風が魅力的な『笠間焼』

『笠間焼』は、「笠間粘土」と「蛙目(がいろめ)粘土」と呼ばれる陶土で作られます。
「笠間粘土」は関東ローム層から採れる強い粘りを持ったきめ細かい粒子の土で、丈夫な陶器が焼き上がります。また、「蛙目粘土」は花崗岩(かこうがん:マグマが地下深くでゆっくりと冷えて固まってできた深成岩)の風化によってできた鉄分を多く含む土で、そのまま焼くと赤黒い陶器になります。
笠間焼は、釉薬という陶磁器の表面を覆うガラス質の薄い膜を「流し掛け」や「重ね描き」などの装飾技法を用いていろいろな表情のある作品を作り出してきました。一つ一つ手作業で作られる笠間焼からは、職人の想いが感じられます。

日本各地の焼き物は、見ただけでどこの焼き物か認識しやすい特徴を持つものがほとんどですが、笠間焼には強い特徴がありません。そのため、「特徴がないのが特徴」とも言われているそうですよ。「特徴がない」というのは、一見マイナスなイメージがありますが、個性がないのではなく、作家の想いを形にできる自由な作風が特徴となってるように感じます。
江戸時代の伝統を受け継ぎながらも、それに捕らわれない自由な作品が作れる気風に惹かれ、全国各地だけでなく海外から移住する陶芸家も少なくないのだとか。

豊富な種類やデザインの『笠間焼』で暮らしを豊かに

『笠間焼』は日本三大稲荷の一つである笠間稲荷神社の参拝みやげとして、古くから親しまれてきました。また、笠間焼は丈夫で汚れに強く、使う度に味わいが出るのが特徴です。笠間焼で作られる器の種類は幅広く、水がめや茶壺などの台所用品をはじめ、日常で使用する雑器として使われていました。現在では実用的な水瓶や徳利だけでなく、芸術的な作品やオブジェまで多種多様な焼き物が作られ、暮らしに寄り添う器として幅広く活躍しています。

日常生活において、器やインテリアとして発展を遂げてきた笠間焼は、1995年に伝統的工芸品に指定されました。2009年には直火で使うことができる「笠間火器」を、2013年には100%笠間の土で作った「純・笠間焼」を誕生させるなど、新しい笠間焼を次々と生み出しています。
基本的に陶器は直火で使うことができないのですが、笠間火器の誕生によって、鍋や土鍋、プレートなどが作られ、ごはんを炊いたり煮込み料理を作ったり、さらには陶板焼やグラタンを作ることもできるようになりました。料理のジャンルを問わず様々な食卓に合わせられるので、さらに食事の時間を楽しいものにしてくれるのではないでしょうか。

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都心から最も近い焼き物のふるさと

笠間焼の産地、茨城県笠間市は都心から近い焼き物の故郷の一つです。笠間市では、笠間焼協同組合が中心となって、大小様々なイベントが開催されています。毎年数十万の人が訪れる「陶炎祭(ひまつり)」や「笠間浪漫」をはじめ、作品展や展示会なども行われています。

東京・上野駅からJR常磐線の特急に乗れば、笠間のもう一方の玄関口である友部駅までは約70分で到着します。そこから水戸線に乗り換えて笠間駅までは10分ほど。また、笠間駅と友部駅の間は無料の「笠間周遊バス」が運行(月曜日=運休)しています。いくつかの陶芸スポットや観光施設などを経由しているので、途中下車をして楽しみながら巡るのもいいかもしれませんね。
笠間の風景を楽しみながら周りたい、という方にはレンタルサイクルもおすすめです。笠間駅前の観光案内所にあるレンタサイクルを使えば、陶芸関連施設や窯元、ギャラリーなど周りやすいですよ。

伝統を守りつつも新しい要素を取り入れて発展している『笠間焼』。現代のライフスタイルに寄り添いながらも、土の温もりを感じる焼き物ならではの味わいはそのままです。
都内からも足を運びやすいので、笠間の地を訪れて実際に手に取り、お気に入りの器を見つけてみてくださいね。

記事/ケノコト編集部

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