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家のコト 2018.06.12

職人の手仕事を感じる。繊細で優美な絵付けの『京焼・清水焼』

『京焼・清水焼』は京都府(京都市、宇治市、亀岡市、城陽市、向日市、長岡京市)で主に生産される伝統的工芸品です。その歴史は古く、茶道や華道、香道などの京都の伝統文化とともに発展してきました。職人の手作業により施される繊細な装飾には、大量生産にはない深い味わいがあります。

優美な色絵を纏う『京焼・清水焼』

京都は古くから全国の焼き物が流入する巨大な市場でした。桃山時代に入り、織田信長や豊臣秀吉に仕えた、茶で有名な千利休の指導のもと、陶芸家の長次郎が焼き始めた楽茶碗が本格的な京焼・清水焼の始まりといわれています。楽茶碗以外にも様々な茶道具、器を作るようになり、茶人や宮家、公家、各地の大名、寺へ献上されるようになりました。

色絵の陶器が作られたのは、江戸時代に入ってから。京焼の祖と呼ばれた野々村仁清(ののむらにんせい)によって、優美な京都ならではの色絵が施されました。その後、尾形乾山(おがたけんざん)や青木木米(あおきもくべい)など、優れた陶工の活躍によってさらに技術技法が磨かれたそうです。

明治時代以降になると、茶陶の需要が大きく減ったことで廃業をしてしまった陶工達も多くいたそうです。その後、ヨーロッパの製陶法が取り入れられ、古来からの伝統技法を守りながらも京焼・清水焼は新しい魅力を加え、バリエーション豊富で高品質な陶磁器を現在も作り続けています。

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『京焼』『清水焼』の違いとは

江戸時代、京都市内には粟田口焼(あわたぐちやき)、八坂焼、音羽焼、御室焼(おむろやき)、御菩薩池焼(みぞろがいけやき)、修学院焼などがあり、それらをまとめたものを『京焼』と呼んでいました。『清水焼』は、もともと清水寺に向かう清水坂界隈の窯元で焼かれていた焼き物を指したのが始まりです。現在では、京都市東山区、山科区の清水焼団地、宇治市の炭山などで生産されているものをまとめて『清水焼』と呼んでいます。

その後、時代の流れとともに清水焼だけが残り、現在ではほぼ「京焼=清水焼」となっています。なお、経済産業大臣指定の伝統工芸品としての正式名称は『京焼・清水焼』となっています。

一つ一つの焼き物に職人の個性が光る『京焼・清水焼』

陶土になる原料が採れない京都では、各地から取り寄せた原料を独自にブレンドして焼き物を作っていました。また、作家や窯元など職人の個性や独自の手法によってさまざまな作品が生み出されていったのです。職人たちは、茶人や公家、武家、町衆といった目利きたちに評価されることで技や感性を磨いてきました。

京焼・清水焼は、備前焼や有田焼のように決まった技法があるわけではありません。手びねり、ろくろ、流し込みなどの成形技法と、染付や色絵、銹絵(さびえ)、交趾(こうし)などの装飾技法を組み合わせて、それぞれの職人が特徴的なオリジナルの作品を世に生み出し続けています。そのため、京焼・清水焼には「特徴がない」ともいわれているそうです。

技法や装飾において「特徴はない」といっても、その工程のほとんどを人間の手作業で行っています。一度焼き上げた後に施される絵付けは、京都らしい繊細で優雅な絵柄が多く、職人によっても多種多様です。一つ一つ丁寧に作られているため、生産できる量が少なく希少性が高い器です。この丁寧な手仕事は京焼・清水焼の特徴であり、魅力の一つではないでしょうか。

用途によって『京焼・清水焼』を使い分け

『京焼・清水焼』には磁器と陶器があります。
磁器は「石もの」と言われるように、陶石を原料としています。 陶器に比べ丈夫で、叩くと高く澄んだ音がします。また、吸水性がないので茶渋もつきにくく、上品な仕上がりで軽いものが多いです。京焼・清水焼の中で磁器は比較的新しい焼き物です。

対して、陶器は「土もの」と言われ、使う土によって黒や茶色から白っぽいものまでさまざまです。 釉薬(ゆうやく:陶磁器の表面を覆うガラス質の薄い膜)と素地との焼き上がりの収縮の違いにより「貫入(陶磁器の釉に細かいひびの入った状態)」が起こり、茶渋がつきやすいです。しかし、使う前にぬるま湯や水に浸しておくと比較的茶渋はつきにくくなります。また、使い込むほどに肌合いや色合いが変化し、陶器独特の優しく柔らかい風情が出てきます。
どちらも魅力的なので迷ってしまいますね。

京焼・清水焼は飲食器、花器、茶器、香道(こうどう)用品など様々な種類の器があるので、用途に合わせて磁器と陶器を選ぶのもおすすめです。また、美しい絵柄の器が多く、お正月や桃の節句、お誕生日など、日常生活の中に少し華やぎを求める時にもぴったりです。

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京都らしい優麗、巧緻な京焼・清水焼の器は、大量生産されていないからこその魅力があります。ぜび手に取って職人の息づかいを感じてみてください。

記事/ケノコト編集部

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