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食のコト 2018.06.07

暮らしに寄り添う『信楽焼』から感じる土の温もり

『信楽焼(しがらきやき)』は、滋賀県甲賀市信楽を中心に作られている陶器です。信楽焼といえばタヌキの置物のイメージがある方は多いのではないでしょうか。タヌキの置物で有名ですが、他にも多種多様な焼き物が作られています。

タヌキの置物で一躍有名となった『信楽焼』

日本遺産にも登録されている六古窯(ろっこよう)の一つである信楽焼は、天平時代に聖武天皇が紫香楽宮(しがらきのみや)を造るにあたって、屋根瓦を焼いたことから始まったと伝えられています。その後、鎌倉時代には水がめや種壷が作られました。室町・安土桃山時代には京都や奈良が近かったことから、茶道具の生産が盛んとなり、多くの名品が誕生。江戸時代には茶壺やみそ壺・徳利・土鍋など生活雑器の製造が進みました。

その後、金属製品の進出によって信楽焼は不況の時代を迎えます。それを打破すべく、これまで信楽では作られなかった建築タイルや植木鉢、傘立てなど様々な焼き物が作られました。

今も名物となっているタヌキの置物が作られたのは昭和初期の頃です。昭和天皇が信楽町行幸の際に、このタヌキを気に入られ歌を詠まれたことがきっかけとなり、一気に全国に広まったそうですよ。
タヌキは「タ=他」「ヌキ=抜く」ということで「他を抜く」という意味があります。このことから商売繁盛や招福、金運アップ、開運など縁起が良いものと考えられています。ご存知でしたか?

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炎が織りなす偶然の美を纏う『信楽焼』

信楽焼は質が良いことで名高く、ケイ石や長石が多く混じっているため、独特の肌の粗さが特徴です。主に使われている陶土は約20種類もあるそうです。柔軟性のある土でもあるので、小物から大物まで多種多様の焼き物を作ることができます。

信楽焼の織りなす模様は、釜の中での生まれた「偶然の美」といわれています。炎の動きや灰の降り積もり具合で、土中の長石との反応の仕方や長石の溶け方に違いがでます。これが信楽焼の面白さでもあるのです。焼成中に薪の灰による自然釉で淡黄、緑、暗褐色などに彩られます。
また、製作方法はひも作りやたたら作り、水挽き(ろくろ成形)、鋳込み成形などいろいろな手法があります。

焼成にもこだわりがあります。空気をよく通して焼く「酸化焼成」と、空気をあまり通さずに焼く「還元焼成」の2種類の方法で作られています。焼き方により仕上がりの色合いや感じが異なり、やわらかい感じを出したいときには「酸化焼成」、味のある色合いにしたいときには「還元焼成」といった感じに使い分けるそうですよ。

タヌキの置物をはじめ、『信楽焼』は味わい深い印象があります。これは、良質の陶土の土味と炎が生み出す独特の焼き上がりによるものではないでしょうか。この味わい深さは日本独自のわびさびや趣に通づるものがあると感じます。

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使い込むほど感じられる『信楽焼』の面白さ

タヌキの置物以外にも、花器や食器、傘立、置物、植木鉢、庭園用品など姿かたちを変えて信楽焼は生活の中に溢れています。

信楽焼の食器は独特の荒さやざらつきがありますが、土ものの温かい雰囲気が感じられます。吸水性があるので長時間水分を入れたまま放置されますと、底部から水分がにじみ出る場合がありますのでご注意ください。ただ、使う前に1時間くらい水かぬるま湯に浸け水分を充分吸収させてから使用すると、汁気や油分が器に染み込むのを防ぐことが出来ますよ。

ぬるま湯か水に浸けた時にグレーの斑点が出たり、貫入(細かいひび割れ)することがありますが、水分が土に浸透している現象なので心配いりません。使い込むほどに味わい深い表情に変化し、お料理が映えがするので、盛り付けが楽しくなりそうですね。

また、信楽焼の花器や金魚鉢も多くみられます。土本来の素朴さと窯の中で降りかかった灰による自然釉が、植物や金魚などとよく馴染むので、見ていて心が癒されるのではないでしょうか。

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信楽焼は、置物や花器、庭園用品、食器など普段の生活に自然と溶け込む焼き物です。購入したときには気が付かなかった趣や面白さは暮らしの中で使い込むことで徐々に気付くことが出来るでしょう。生活に土ものの温かさを取り入れて暮らしをより豊かにしてみませんか。

記事/ケノコト編集部

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