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道具 2018.05.30

食器もお風呂のタイルも。暮らしに寄り添う身近な焼き物『瀬戸焼』

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『瀬戸焼』よりも「せともの」という呼び方の方が、馴染みがある方も多いのではないでしょうか?瀬戸焼とは、もともと瀬戸の地域(今の愛知県瀬戸市周辺)で作られた焼き物のことです。
私たちの暮らしの中で瀬戸焼に触れる機会は数多くあります。どのようにして私たちの身近に存在するようになったのでしょうか。そんな、瀬戸焼の歴史をたどっていきましょう。

いち早く新しい要素を取り入れ、国内外で親しまれてきた『瀬戸焼』

昔から瀬戸市一帯は窯業が盛んな地域であり、瀬戸という地名も「陶都(すえと)」が転じて「せと」になったと言われています。さらに、焼き物の生産地として有名なことから、近畿以東を中心に日本の70%の地域で陶磁器のことを「せともの」と呼んでいるそうですよ。そのため、必ずしも瀬戸で作られたものに限らず、日本の陶磁器の代名詞として「せともの」という言葉が使われるくらい、瀬戸焼は全国に広がっています。

瀬戸焼の始まりは平安時代。瀬戸焼は日本を代表する陶磁器の産地で、六古窯(ろっこよう)の一つといわれています。鎌倉時代、焼き物といえば焼き締めが一般的になっていましたが、瀬戸は中国を模して釉薬(ゆうやく:陶磁器の表面を覆うガラス質の薄い膜)をかけた祭器や茶器を焼いていました。鎌倉時代では瀬戸が日本で唯一釉薬をかけた焼物を作っていたそうですよ。始めは中国の模倣でしたが、次第に模倣から離れ、日本的な趣のある表情を出し始めるようになりました。やがて日本の瀬戸焼は中国に次ぐ高級品として重宝されるようになりました。

安土桃山時代に入ると瀬戸の陶工たちは戦乱で各地に逃れ、瀬戸の窯は一時衰退してしまいます。さらに、江戸時代初期には有田焼の急速な発展により、瀬戸焼の販路は狭まってきてしまったそうです。しかし、江戸時代後期には、九州の有田などで磁器を学んできた加藤民吉が瀬戸に戻り磁器生産を本格化、瀬戸の焼き物を取り巻く状況は一変します。
明治時代には西洋の作陶技術も積極的に導入し、瀬戸の焼物は海外にも多く輸出されるようになりました。そして、戦後の日本経済の復興とともに瀬戸の陶磁器も立ち直り、国内外で多くの人に親しまれる焼き物となりました。

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時代の変遷とともに2つの顔を持つ『瀬戸焼』

鎌倉時代から室町時代中期にかけて、瀬戸で焼かれた陶器を「古瀬戸」と呼び、それ以降の瀬戸焼を「瀬戸」と呼びます。
また、江戸時代の後期になると、陶器だけではなく磁器が現れ始めます。陶器は「本業焼」、磁器は「新製器」と呼び分けられるようになりました。当時瀬戸焼の本業焼は、赤津焼をはじめとした様々な陶器が発明されていましたが、主流はやがて陶器から磁器になっていきました。

磁器は日本画のごとく華麗な筆致で描いた染付焼で、山水や花鳥、草花がより写実的に、より繊細に描かれています。その趣は他の産地の焼き物とは異なり、独特の世界観があるため「瀬戸染付焼」と呼ばれてます。

瀬戸焼は陶器と磁器の2つが混在することで、和食器や洋食器など、様々なライフスタイルの食卓に寄り添います。時代の流れに合わせて、器作りの新しい手法を取り入れ続けたからこそ現代まで伝統が受け継がれ、人々にとって親しみやすい焼き物となっているのでしょう。

焼き物の中で一番に釉薬を取り入れた『瀬戸焼』の魅力とは

瀬戸焼は古くから器に釉薬を施していました。多彩な釉薬で花や鳥などの装飾が施された器は、焼き具合によって色に濃淡が出るのも特徴の1つです。昔は灰釉、鉄釉薬、古瀬戸、黄瀬戸、志野、織部、御深井という7種類の技法があったそうですが、現在では瀬戸焼から生まれた赤津焼がその伝統を受け継いでいるそうですよ。

釉薬を使うことには美しい器に仕上げるだけでなく、様々な意味があります。素焼きした陶器の表面に釉薬を塗ることで、焼いたときに表面をガラス質が覆い、小孔を塞ぎ耐水性が増します。ツルツルの耐水性が高い質感で、実用的な食器が生まれます。
また、瀬戸層群と呼ばれる地層があり、焼き物の原料となる良質な陶土や、ガラスの原料となる珪砂(けいしゃ)を豊富に含んでいることも、瀬戸焼の質感を高めているのではないでしょうか。

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暮らしの中で身近に溢れる『瀬戸焼』

私たちの暮らしの中で、瀬戸焼を見かけないことがないくらい様々な場所で幅広く使われています。食器類はもちろんのこと、トイレの便器やお風呂のタイルなども瀬戸焼です。瀬戸焼というと食器類をイメージしますが、「せともの」と呼ばれることで、食器以外の瀬戸焼を身近に感じるのではないでしょうか。

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海外にも多く輸出されていることから、今では大量生産されている瀬戸焼は、かつて高級品と言われていた時代もありました。しかし、今では手頃な値段のものも多く存在します。私たちの生活に馴染み、幅広く使われている瀬戸焼の良さは、今も昔も上質でありながら、普段の生活に馴染む使い勝手がいいところではないでしょうか。暮らしに寄り添う瀬戸焼との出会いは、これからも続いていくでしょう。

記事/ケノコト編集部

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