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道具 2018.05.28

日本で最も親しまれている器。日常に深く溶け込む『美濃焼』

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『美濃焼(みのやき)』とは、岐阜県(多治見市、瑞浪市、恵那市、土岐市、可児市、可児郡御嵩町)で主に生産されている伝統的工芸品です。この地域は日本最大の陶磁器生産拠点で、日本の陶磁器生産量の約50%を占めています。普段何気なく使っている食器やタイルが実は美濃焼だ、なんてこともありそうですね。幅広く活躍する美濃焼のルーツを辿っていきましょう。

常に最先端の技術を取り入れ進化を続けてきた『美濃焼』

美濃焼の歴史は古く、今から1300年以上前まで遡ります。古墳時代に作られていた須恵器(すえき:古墳時代の後半から日本でつくられた陶質の土器)をルーツとしていましたが、平安時代には、灰釉(かいゆう)を施した白瓷(しらし)という、須恵器が改良され釉薬(ゆうやく:陶磁器の表面を覆うガラス質の薄い膜)を施した陶器が作られました。そして、鎌倉時代から室町時代は無釉陶器、いわゆる「山茶碗」が作られるようになります。

一方、室町時代後期になると、中国の焼き物を模倣して釉薬を施した陶器を焼いている瀬戸の窯が美濃の地へやって来ました。これによって美濃では瀬戸仕込みの施釉陶器が生産されるようになります。
安土桃山時代には武将の茶の湯の文化とともに、茶人の好みを反映した芸術性の高い茶陶が生み出されました。これが「桃山陶」です。

ところが江戸時代末期になると桃山陶が消えてしまいます。生活雑器が生産され、磁器の白さをめざす白釉を施した「太白」が誕生します。明治時代に入り、染め付け顔料の唐呉須(とうごす)の輸入開始により発色が安定し、銅板やスクリーンプリントなど様々な技法が開発されました。さらに、明治時代中頃には日常生活雑器の生産を開始し、低コストを実現するために製品別分業が発展します。そして、昭和時代に入ると高級品の生産やタイル製造もはじまり、『美濃焼』は日本一の生産量を誇る焼き物となったのです。

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多彩な魅力がある『美濃焼』

美濃が陶都として発展したのは、良い土に恵まれたことも理由の一つです。
そんな美濃焼の特徴は、多様な種類が存在すること。美濃焼は1つの様式を持たず、15種類が伝統工芸品として指定されています。江戸時代に茶の湯で使われた陶器、桃山陶の4種類が特に有名です。

・黄瀬戸:黄色の地に花文様などを刻まれたしっとりとした器肌の茶碗
・志野:絹のような白い釉薬をかけた茶碗
・瀬戸黒:窯から取り出して急冷することで生み出された漆黒の茶碗
・織部:色彩豊かで様々な形が特徴の茶碗

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日常のあちこちにある美濃焼

現代の美濃焼は非常にバリエーションが豊富で、様々な色彩や形を目にします。食器をはじめ、花瓶や置物などの装飾品、内外装用タイルなどの建築資材など、日常生活の中で何気なく使われ、気付かないうちに暮らしの中に溶け込んでいる焼き物、それが美濃焼です。美濃焼は、日本で生産される陶磁器の50%以上のシェアを占めていることから、日本の代表的な焼き物といえるでしょう。

美濃焼が全国に流通することになった最大の理由は、産地である東濃各地で製品の細分化が進んだことです。例えば、多治見市の市之倉地区では「さかづき」、土岐市の駄知地区では「どんぶり」を生産するなど、地域ごとに専門分けされることで生産量が増やすことができ、価格も抑えることができました。このようにして全国に誇れる良質な陶磁器を生み出せるようになったのです。

常に新しい技術とニーズをキャッチして進化を続けてきた美濃焼は、私たちの暮らしの中でいつしか当たり前の存在となりました。暮らしの中に、どんな美濃焼があるか探してみると面白いかもしれないですよ。

記事/ケノコト編集部

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