
5月の誕生花『カーネーション』~皐月の暮らし~
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5月の誕生花は、カーネーション。母の日の贈り物の定番でもありますが、世界では違う時の贈り物として使われている花だそうです。
母性と熱情。色々な意味があるカーネーション
カーネーションという名前の由来には諸説あり、ラテン語で「肉色の花」という意味で花色がピンクの物に由来する説や、冠飾りの花(コロネーションフラワー)の訛りという説があるのだそうです。
宗教的にも意味を持つ花であり、カトリックでは磔にされるイエスを見送った聖母の涙に例えられたり、イスラム世界では花の形の可愛らしさからバラやチューリップと同様に愛され、アラベスクの意匠のモチーフにもなったりしています。花びらの切れ込みやふんわりとしたシルエットは可愛らしい女の子のようなイメージがありますね。
日本でカーネーションといえば赤い花が代表的で、母の日の贈り物の定番ですね。花言葉も「母への愛」「敬愛」といった物があります。ですが、赤いカーネーションの花言葉には「熱烈な愛」という言葉が当てられる事もあります。濃い赤のカーネーションに至っては「欲望」という花言葉もあるそうです。
一見相反する言葉のようにも思えますが、実は赤いカーネーションは有名なオペラ「カルメン」のヒロインを飾る花でもあるのです。
「カルメン」を彩るカーネーション。スペインで愛されている花
カルメンと聞くとオペラよりフラメンコを連想される事が多いかもしれません。オペラのカルメンはフランス語で書かれていますが、スペインを舞台にした小説が元になっています。そして作中に演出としてフラメンコ舞踏が多く使われているのです。そのため、カルメン=フラメンコのイメージが定着しているのかもしれません。
ですが確かにカルメンと聞くとあの華やかなフリルのフラメンコ衣装を思い出します。カルメンがホセに花を投げる有名なシーンの演出としてバラが使われる事が多いので、日本でカルメンの花といえばバラが使われる事が多いのですが、実はカルメンの髪を飾っている花はカーネーションなのだそうです。
元々フラメンコはスペインのアンダルシア地方の踊りですが、カーネーションは地中海沿岸が原産で、スペインでは国花にもなっているのだそうですよ。そのためスベインで若い女性が髪に飾る花といえばカーネーションの方が一般的だったのだとか。実際にフラメンコのアクセサリーにはカーネーションの物も多いのだそうです。そしてスペインでは愛の告白など日本ではバラが使われがちな時に、赤いカーネーションの方が好まれて使われているそうです。同じ花なのに国によって使われるシーンやイメージが全く違うのですね。
世界で初めて「青いカーネーション」を作ったのは日本
意味は違っていても色んな国で愛されているカーネーションですが、その遺伝子には青い色素が全く含まれていません。そのためカーネーションに青い物はありませんでした。そんな中、交配による品種改良では作り出せない青系カーネーションの作出に挑んだのがサントリーフラワーズです。
1995年、ペチュニアなどが持つ青色を合成する遺伝子をカーネーションに組み込む事でそれまで存在しなかった青系の色素を持つカーネーションが作り出されます。青系カーネーションは「ムーンダスト」というブランドになっています。花言葉は「永遠の幸福」。ブランドの名前は豊穣、生産、母性などのイメージから月にちなむ言葉で名付けられたそうです。
現時点では濃い紫や薄紫の物が「青いカーネーション」と呼ばれていますが、近い将来青空のようなブルーやサファイアのような濃い青のカーネーションが生み出される日が来るかもしれません。カーネーションはお日様が好きな花で、日に当ててもらえないとせっかくのつぼみが開花しない事もあります。不可能に挑戦した人間の夢を叶えてくれたカーネーションは、晴れ空の青が好きなのかもしれませんね。
記事/ケノコト編集部
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