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まめ知識 2021.06.01

「旬花」雨を彩る日本の花『あじさい』〜水無月の暮らし〜

雨に映える花の印象が強いあじさい。品種改良された変わり咲きの品種も多いので最近は母の日や父の日のギフトにもよく使われています。あじさいの生まれ故郷は日本なのですが、むしろヨーロッパで好まれて品種改良され日本に戻って来ています。

万葉集にも登場する、歴史の古い花

あじさいの原産地は日本です。あじさいの花びらのような部分は実はガクで、真ん中の小さなつぼみのような部分が本当の花なのですが、あじさいの原種となっているのは房になって咲く時、縁に大きな花が付き真ん中が蕾のような形のままになっている物です。

あじさいの名前は万葉集にも登場し、「味狭藍」「安治佐為」といった字を当てられていたようです。現在、一般的に使われている「紫陽花」の方の字は、実はあじさいではなく中国でライラックを呼ぶのに用いられた物が平安時代の学者の誤用であじさいに当てられた、とされているそうです。
あじさいという呼び名の由来もいくつかあり、「集まって咲くもの」という意味や「藍色が集まった」という意味の「あづさい」が転じたとする説があります。

あじさいの色の変化は土壌の酸度による

あじさいの花の色は植えられた土壌によって変化します。土壌が酸性であれば青、アルカリ性が強ければ赤に傾きます。あじさいの語源の一説が「藍色が集まった」というのはある意味道理で、日本の土壌は酸性が強いため自然の環境であれば青い花は鮮やかな色になりやすいのです。

色の変化の仕組みは土壌の酸度で溶け出したアルミニウムがイオンとなってあじさいに吸収され、あじさいの持つデルフィニジンという色素と結合する事で起こります。酸性ではアルミニウムはイオン化しやすく、逆に中性の土壌やアルカリが強いとアルミニウムは溶け出さずあじさいに吸収されないので青みが強くなる作用は働きません。

ここで注意したいのは「土壌のpHの調節であじさいの色を好みに変えられるわけではない」という事です。あじさいを青くしたい時はみょうばん、赤くしたい時は苦土石灰をやればいいと言われていますが、それぞれのあじさいの品種によって元々持っている色素が異なるため、青い花がつくあじさいをピンクにしたり、逆に赤っぽいあじさいを藍色にする、というような事ができるわけではないのです。白いあじさいに至っては色素を持っていないために白いガクになっているので、土壌のpHを変えても青くなったり赤くなったりしません。(枯れ際には変色する事があります)

土のpHを調節する意味は、元々あじさいが持っている色をきれいに出すための育て方なので、同じあじさいを挿し木などで増やしてpH調節で違う色に咲かせる、というような事はかなり難しいといっていいでしょう。

日本よりも先にあじさいに美を見出したヨーロッパ

さて、日本では古くから存在を知られていたわりにあじさいは、実はそれほど愛でられた存在ではありませんでした。和歌や絵画でもモチーフにされた作品はあまりないのだそうです。理由ははっきりとはしないのですが、一つにはその花持ちの良さがあるかもしれません。

あじさいの場合、花びらに見える部分はガクなので、花が終わってもガクは散る事がありません。花が終わるとガクが老化現象で変色して萎れていくような形で花期を終えます。花の散り際を愛でる日本人の好みにはあまりマッチしなかったのかもしれません。

それとは逆にあじさいを歓迎したのはヨーロッパの人達です。江戸時代末期頃からあじさいはヨーロッパへと渡りますが、そちらでは花持ちの良さも含めてたいへん好まれ、「東洋のバラ」とも呼ばれたそうです。そして様々な品種改良がなされ、西洋アジサイとして日本に逆輸入されました。第二次大戦後、あじさいは次第に梅雨時の花として人気が高まって行きます。現在のあじさいに多い、花のようなガクが全体に付く手毬咲きの物は品種改良された物です。また、最近ではアメリカ原産のカシワバアジサイも人気です。

雨の日に似合う、日本の花あじさい。古くから親しまれたその花に思いを馳せてみましょう。

記事/ケノコト編集部

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