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まめ知識 2020.07.02

日本の暮らしの言葉『贈り物に関わる言葉たち』〜文月の暮らし〜

大暑も過ぎ、本格的に夏めいてきました。夏休みや帰省などでお出かけの機会が増えるシーズンですね。お土産のやり取りなどでどなたかに何かを贈る時、どんな風に言葉を添えて渡していますか?

お土産を渡す時に添えたい言葉

帰省のお土産などを渡す時、親しい相手であれば「◯◯のお土産です、どうぞ」と言って渡せますが、目上の方や親戚など少しかしこまった言い方をしたい相手の時、なんと言って渡すでしょうか。

「つまらない物ですが」という言い方が定番ですが、実際に使う時相手の好きなものと知って買ってきた時につまらない、という言い方だとちょっと場にそぐわない感じがしますね。本来この言い方をする時は、贈り物をもらう人が負担に思わないように謙遜するために使われてきた言葉です。最近では必要のない謙遜や卑下はかえって嫌味な印象を与えるという考え方をする人も増えています。

そんな時、おすすめなのが「印(しるし)ばかりの物」という言い方です。この場合の印は「ちいさな、ちょっとした物」という意味合いになります。「ささやかな物ですが受け取って下さい」というニュアンスなので嫌味がなく、贈る物の中身がなんであれ使える表現です。もう少し親しみがある言い方としては「気持ちばかりの物」という言い方もありますね。
こちらは贈る物その物より「貴方にこれを差し上げたいと思いました」という心遣いが感じられる表現です。

直接渡すのではなく宅配便などを使う時は添え状を付けたりしますね。そんな場合は「ご笑納(しょうのう)下さい」と書き添えるのがおすすめです。「ささやかな贈り物ですが笑って受け取って下さい」という意味合いなので相手を問わず使えます。
「旅行で◯◯に行ってきました。あちらでは□□が名産だそうです。ささやかですがお土産です。どうぞご笑納下さい」という感じの定型文を覚えておけば、お土産を贈る時に添え状に悩まずに済みます。短い文章ですが何もなく物だけ贈るよりずっと丁寧で気持ちの良い感じがしませんか?

いただき物などを分ける時に使える言葉

親戚が送ってくれたたくさんの季節の果物などを誰かに分ける時は「おすそ分け」という言い方が一般的ですね。その言い方の「おすそ」とは何の事かご存知でしょうか?

実はこれ、着る物の裾の事を言うのです。今だとパンツの丈直しなどで裾をカットした端切れと言うとわかりやすいかもしれませんね。「私にとっては不要な物ですがよかったらどうぞ」というのが元々の言葉の意味になるのです。食べきれない物など、余り物を譲って食べたり使ったりしてもらう時に「余り物ですがどうぞ」というのは失礼なので少し改まった言い方をした言葉になります。ですので、親しい人に負担を感じさせないように譲る時には適切な言葉ですが、目上の人に使うのは避けた方がいい表現なのです。

もし目上の人におすそ分けしたい場合は「お福分け(おふくわけ)」という表現がおすすめです。思いがけず良い物が手に入ったのでその幸運をお分けします、というニュアンスになりますし、縁起の良い感じがするので聞いていても気持ちのいい言葉です。

作りすぎた料理などを誰かに分ける時にもおすそ分けという言い方を使いますが、やはり目上の人にはちょっと失礼かな、と感じる時はどう言えばいいでしょうか。
この場合「お口汚し(おくちよごし)」という言葉があります。「口を汚してしまうだけのちょっとした物」という謙遜した言い回しです。季節の果物のジャムや野菜で作った保存食など「とてもおいしくできたからどうぞ」と言って渡せるのが一番ですが、この言い方だと「素人が作った物ですが」という感じで控えめな印象になります。

お付き合いに関わる日本の言葉はちょっとまどろっこしいな、と感じる事もありますが、柔らかく響く表現が多く、自分が口にする時も気持ちが穏やかに感じられます。ぜひ日常に取り入れて使ってみて下さい。

記事/ケノコト編集部

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