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ファッション 2018.10.24

世界に一着、私だけの定番服 ― 完全受注生産でつくるG.F.G.S.のボーダーシャツ ―

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カジュアル服の定番ともいえるボーダーシャツ。小栁雄一郎さん率いるファクトリーブランドG.F.G.S.では、サイズやカラーだけではなく、ボーダーのピッチや生地の厚みを自分好みに自在にカスタマイズしてこの世にひとつだけのピュアオーガニックコットンシャツ「ORDER BORDER」を作ることができます。
今回は新潟県・加茂市にある彼らのオフィスと工場を訪ね、社長の小栁さんにインタビューさせていただきました。

着る人のことを想いながら丁寧に仕立てられるボーダーシャツ

工房の中を覗かせていただくと糸から生地に編み立てるマシンが2台。リズムよく動いている編み機の様子とは裏腹に、ゆっくりのんびりと編みあがった生地が出てきます。1着のシャツを作るために4つのパーツの生地が必要なうえ、オーダーごとに違うカラーの糸を結び替えていくという、とっても地道な作業から作られている彼らのシャツは、丸一日フル稼働しても生産できる量はそう多くはありません。

工房に並ぶカラフルな糸は、シーズンごとにスタッフみんなで意見を出し合いながらカラーを決めて入れ替えているそうです。
アメリカ・テキサス産の100%ピュアオーガニックコットンの糸を選んで使う理由は、いくら洗ってもゴワつかない質の良さがひとつ。それに加えて、産地に雇用機会が生まれるという良い循環をもたらす付加価値も大切にしています。

刃物職人と縫製業の兼業からはじめたG.F.G.S.

そんなG.F.G.S.の活動拠点は新潟県のほぼ中央に位置する加茂市内にあります。ニット・縫製業が盛んなこの地で生まれ育った小栁社長のご実家は縫製業を営んでおられたそうです。

当時は家業を継ぐつもりはなく、小栁さん自身は大手機械メーカーに就職した後、手に職をつけようと隣町(三条市)で刃物職人になられたのだそう。

「リーマンショックの影響で実家が廃業への岐路に立たされた時、兼業農家があるなら兼業縫製業があってもいいよねって開き直って、週末やプライベートの時間を使って家業の手伝いと思い縫製業もやることにしたんです。2~3年は刃物と縫製の兼業の状態が続いていたと思います。そのうちに分量が変わってきて、結果、サラリーマンを辞めてG.F.G.S.に専念することにしました。
G.F.G.S.は始めてみて、ダメだったらやめようと思っていました。中学生の多感な頃にパンク全盛期だったから、下手でも演奏できるみたいな精神が染みついているのかもしれませんね。」

いかに小栁さんの人柄や経営理念に「音楽」が強く影響を与えているかは彼らのオフィスや工場を訪れれば一目瞭然です。手作業で壁に施したという数々のロックの名言や、パンクの女王パティ・スミスのカッティングシート。それらから伝わるメッセージには、人生観や生きていく上での心持ちの大切なヒントが隠されているような気がします。

トレードマークの金髪は苦い想い出がきっかけだった

まずは自分の着たいものをつくりたいという想いから始まったという「ORDER BORDER」。どうして完全受注生産という地道なスタイルを選んだのでしょうか。
「刃物職人だった頃、1日に600丁とかハサミを作るんだけど、こんなに必要?誰が買うの?って常に疑問に思っていました。そんなにたくさん作ったところで全部売れるはずもなくて、後から通販サイトに安売りされているのを見てショックを受けた実体験があります。ものづくりはそうではなくて、欲しいと思ってくれる人がいて、その人のために作るのが一番いいでしょう?だから、売れるからとか、ウケるから作るっていう考えは僕には全くありません。

「ORDER BORDERを始めた頃は、どうやって広めていったらいいかも分かりませんでした。友人のFacebook投稿で初めて「展示会」っていうものがあるって知って、そういうのがあるなら僕も出たい!と思って申し込みました。そしたら、初めて出展した時に僕らに与えられたブースが、誰も気づかないような端っこの目立たない袋小路で。もう悔しくて、なんとかして目立たないと!と思って金髪にして革ジャン着て行きました。それからずっと金髪にしています(笑)。」

そんな悔しさをバネに成長してきたG.F.G.S.。現在は加茂市内にオフィス、自社工場、作業場の3拠点で活動されています。
「オフィス、自社工場、作業場が加茂市内に点在しているので、全部一か所にまとめて一元化したほうが効率が良いんじゃないかと意見をいただくこともあるんですけど、僕は空いている場所に入れさせてもらえれば良いっていう考え方なんです。それで加茂市や商店街に人が来てこの町が元気になってくれるならありがたいじゃないですか。現在、県外に常設店はあるのですが、県内・市内に常設店はなく、今年中に店舗兼作業場になるような場所を加茂に新たに構えようと計画しています。」
「また全国から声を掛けていただいているイベントや店舗での受注会・ポップアップが好評ですので、是非、WEB・SNSでチェックしていただきお近くで実際の製品を見て触って試着してほしいです!」

ミリオンセラーでなくとも歴史に残る名曲のように、世の中に価値あるものを作りたい

音楽、アート、カルチャーに溢れるG.F.G.S.のオフィス空間。それもそのはず、彼らの活動範囲は服づくりに留まらず、デザイン、音楽レーベル、そして出版にまで及んでいます。

100万枚売れても忘れられるCDもあれば、10万枚しか売れてなくても歴史に残るものもありますよね。僕はこの世に価値を残せるものを作りたいと思っています。それに今元気がない産業にこそチャンスがあると思っています。音楽も雑誌もやってるのはそういう理由もあります。」

カスタムオーダーはものづくりの理想形

G.F.G.S.のメンバーは現在6名。みんなそれぞれオリジナルのボーダーシャツが似合っていたのが印象的で、それはORDER BORDERへの愛情と誇りの証のようにも映りました。

そんな彼らの活動に共感をする人も多く、一昨年にスタッフ募集をしたら1名の枠に30名近くもの応募があったそう。(しかも半分は県外からのエントリー!)
「働くことを通じて大きなことを成し遂げたいというのではなく、等身大で自分のやりたいことができて、ずっと続けていける何かを求められる時代になったんだと思います。」

もう、不特定多数の誰かに向けたモノづくりは過去のやり方なのかもしれません。
ボーダーシャツという定番服だからこそ、メーカーは同じものの大量生産に走ってしまいがちですが、効率化とか一元化という既成概念を取り払えば、実はこのカスタムオーダー式が最もシンプルで無駄のないものづくりの理想形のようにもみえます。
G.F.G.S.で働くスタッフのみなさんが、自分たちのつくるシャツを誇りに思い、袖を通してくれる人の笑顔を想像しながら1着ずつ丁寧に仕立てていく姿を見ていると、普段ボーダーを着ない人でも欲しくなるというのも納得です。みなさんも、長く愛用できる自分の定番服をORDER BORDER で作ってみてはいかがでしょうか。

 

取材・記事/ケノコト編集部

 

G.F.G.S.は、ニット・縫製業が盛んな新潟県加茂市にあるファクトリーブランド。地場の高い技術を生かし、100%ピュア・オーガニックコットンを使用したボーダーカットソーを完全受注生産しています。
G.F.G.S. = Good Feel, Good Style. 『心が動くことを、私たちらしいやり方で。』
新しいアイデア、厳選した素材、積み重ねた技法の全てをボーダーカットソーに落とし込み、誠意ある物作りを続けています。

 

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