
暮らしの手仕事 良いこと尽くしの『干し野菜』
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冬の朝の凛とした空気が好き。目覚めると、寒いと分かっていながらも、カーディガンを羽織って縮こまりながらも笊を抱えてベランダへ。
この季節の私の密かなお楽しみ。冬のカラッと乾燥した空気は干し野菜作りに最適なうえ、旬の野菜の美味しさと栄養をキュっと凝縮して閉じ込めてくれます。しかも保存も利くのだから良いこと尽くし。
好きな形に切って干すだけだから、小さな子どもも楽しみながらお手伝いしてくれます。白菜のような大ぶりな葉物野菜はまるごと干すのもよし。大根や人参は薄切り、千切り、ピーラーなど気分や用途によって切り方も変えてみたり。
毎日のご飯づくりの過程で、野菜の半端に余った部分や、食べれるけれど捨ててしまいがちな皮やヒゲも、全て一緒に笊に並べて。
食材の嵩を減らすことができるので冷蔵庫の野菜室の整理整頓もずいぶん楽になるし、野菜をまるごと使い切るからゴミがほとんど出ないのも干し野菜の魅力です。慌ただしく過ぎていく日々の中で、毎日台所に立ってごはんを作るだけでも大変だけど、無駄をなくせばハードルが下がり暮らしを楽しむ心のゆとりが生まれてきます。
疲れて買い物に行く気力がない時も、食材を買い損ねてしまった日も、あと一品が欲しい時も、干し野菜はいつだって強い味方。煮物や和え物、漬物や炊き込みご飯などなど、目立たないながらも様々な料理に形を変えながら食卓に彩を添えてくれることでしょう。
干し野菜の作り方
1. お好みの野菜を食べやすい大きさに切って、水気を取っておく。
2. 笊や干し網に並べて天日干しする。日が暮れたら取り込んで、また次の晴れの日に日光に当てて乾燥させる。これを2~3日繰り返して水分が抜けたら完成。密閉容器に入れて、カラっと乾いているフルドライの野菜は常温保存でOK。セミドライの場合は目安として冷蔵庫で1週間、冷凍庫で1ヶ月で使い切るのがベストです。
(フルドライにしたつもりでも、水分が残っていると傷みやカビの原因になります。乾燥剤と一緒に保存することをおすすめします。)
使う時はさっと水洗いしたのち、水かお湯で戻してから調理してください。
「今夜はお鍋にしよう」と思ったら、白菜などの葉物を日中2~3時間程度お日様に浴びせておくだけでも野菜の甘みが増すのでおすすめです。
彩りの良い干し野菜が仕上がったら、ちょっとした贈り物にも喜ばれます。
昔ながらの保存食のある暮らし。ご自宅でもぜひ取り入れてみてくださいね。
記事/わたなべさやか
伝統発酵醸師・薬膳アドバイザー。おばんざいと日本酒の店-煮炊きや おわん-初代女将。育児の傍ら食や暮らしにまつわる執筆活動、商品開発、レシピ考案を行っている。日本の古き良き食文化を、日々の暮らしを通じて伝えていきたいという想いから、季節の仕込みもののワークショップや発酵食品を使ったおつまみレッスンを都内で開催。
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