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まめ知識 2019.01.21

日本の暮らしの言葉『寒仕込み』は日本酒の歴史から生まれた言葉

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「寒仕込み」という言葉はお醤油やお味噌、日本酒を「寒」と呼ばれる時期に仕込む事を言います。発酵食品を作る上で雑菌が混入しにくい事や発酵に時間がかかる事でゆっくりと熟成させる事ができるという色々なメリットがあります。
今では一般的に使われている「寒仕込み」という言葉ですが、日本酒の製造で使われた「寒造り」という言葉が元になっているようです。

日本酒の仕込みが冬に限定されたのは江戸時代から

実は寒の時期に日本酒を作るという事は日本酒の歴史に取って大きな意味があります。
江戸時代の日本酒の製造は、幕府による多大な干渉を受ける状態にありました。当時、日本酒の原料であるお米は主食である他にも税であり、通貨に近い役割も持っていたため、米の生産量によって日本酒を作る事ができる量が大きく変わっていたのです。お米が足りない時はお酒を作る原料に回せるお米は減りますし、逆に豊作でお米が余った年はお酒をたくさん作る事でお米の流通価格の下落に歯止めをかけるなど、日本酒の醸造が公定歩合の調整のような意味合いも持っていたのです。

「寒造り」は幕府の制定した酒造統制の一つで、寒の時期以外の日本酒の製造を禁止するという物でした。寒の時期に仕込むと他の時期より醸造の失敗が少なく、出来が良いお酒になるという事もありますが、この決まりができる以前は季節ごとに合わせた醸造法で四季を通じて日本酒が作られていたのだそうです。
日本酒の仕込みが冬季に限定された事で農閑期にあたる農民の出稼ぎ先ともなり、各地域の蔵毎に特徴を持つ「杜氏」の集団が生まれます。特に人数が多く有名な日本三大杜氏は岩手の南部杜氏、新潟の越後杜氏、灘の丹波杜氏で各地の名酒の担い手です。

今では温湿度計や顕微鏡といった道具がありますが、そんな物がなかった時代の酒造りは肌で感じる感覚や匂い、目に見える変化など人間の五感が頼りでした。日本各地に酒処がありますが気候などの条件が異なる事もあり、地域によって杜氏の流派がありました。腕の良い杜氏として認められると「御殿が建つ」とさえ言われ、憧れの職業の一つでもあったようです。名酒として名高い醸造地の杜氏が他の地域の酒蔵に高給で雇われる…という事もあったのだとか。

日本酒の仕込みは冬の早朝から行われるため、醸造に携わる人達にとっては過酷な仕事でもありました。日本酒に限らず「寒仕込み」という文字を見ただけで身の引き締まるような環境で、雑菌の少ないきれいな水を使って作られた…と容易に想像する事ができますね。

この時期にしか作れない、寒さが育む美味しいものとは?

寒さがおいしさを作る事を表す言葉は他にもあり、「寒晒し」や「寒風干し」は寒い時期にしか作れないおいしさを作り出します。
寒晒しは和紙や布の染色でも行われる事がありますが、食べ物では寒天や凍り豆腐の製造過程で欠かせない他、白玉粉やそばにも用いられる事があります。寒天と凍り豆腐の場合、寒晒しにする事で水分を凍結させた後自然解凍を繰り返す事でいわゆるフリーズドライの効果を得る事ができます。寒天の名前は「寒晒しにしたところてん」から来ているのだとか。

寒風干しは魚の干物に用いられる方法で塩に漬けた魚を冷たい浜風に当てるなどして熟成させながら水分を抜いた物です。作り方によっては生ハムのようにそのままスライスして食べられる物もあるのだとか。逆に一ヶ月以上干してカラカラにして食べる事もあるそうです。暖かい季節はかなり塩をかけても腐敗しやすく時間をかけて熟成させる、というのは難しい物です。

寒さが美味しさを育てる事もある、そんな思いが寒の食べ物にまつわる言葉から伝わってくる気がしますね。

記事/ケノコト編集部

 

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